リウマチ膠原病のQ&A

日常診療で出会ったギモンに取り組んでいきます!

TNF阻害薬

生物学的製剤、JAK阻害薬の継続率(ANSWER cohort)

生物製剤bioを評価する際、「継続率」とは有効性と安全性の両方に影響される大切な指標と思います。 The Kansai Consortium for Well-being of Rheumatic Disease Patients (ANSWER) cohortにおいて、2018年に7つの生物学的製剤、2020年にJAK阻害薬を加えた…

最初にTCZ、ABTで治療されたRA患者は2剤目にどの薬剤へのスイッチが良いのか?

TNFiファーストの時代からTCZやABTから始めるというプラクティスもありな時代です。 リウマトロジストもfirst bioはTNFiに限らず、活動性が高く若い患者ではTCZ、高齢者ではABTを提案することがよくあります。 では、それらのbioで開始して無効中止や副作用…

バイオフリー寛解(Biologic-free remission)に関連する要因(ANSWER cohort)

Factors associated with the achievement of biological disease-modifying antirheumatic drug-free remission in rheumatoid arthritis: the ANSWER cohort study. Hashimoto M, et al. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30075810/ Background: いくらか…

ETNの減量は可能か

Full dose, reduced dose or discontinuationof etanercept in rheumatoid arthritis. van Vollenhoven RF, Østergaard M, et al. Ann Rheum Dis. 2016 Jan;75(1):52-8. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25873634 ABSTRACT Background 「MTX+ETNによるS…

ETN投与中に授乳をしてもよいか

臨床現場でとても役立つケースレポートだと思います。 Etanercept during pregnancy and lactationin a patient with rheumatoid arthritis: drug levels in maternal serum, cordblood, breast milk and the infant's serum. Murashima A, Watanabe N, Ozaw…

高用量MTXに併用するときのGLMの臨床効果(GO-FORWARD)

<Clinical scenario> あなたはリウマチ外来デビューしたての後期レジデント。 66歳女性のRA患者の診療を任された。 罹病期間は10ヶ月。MTXは16mgに耐用できているが、SDAI17(中等度活動性)。 自己注射を勧めたが、どうしても抵抗があると。 指導医に相…

低用量MTXに併用するときのGLMの臨床効果(GO-FORTH-24wk)

<Clinical scenario> あなたはリウマチ外来デビューしたての後期レジデント。 55歳男性のRA患者の診療を任された。 罹病期間は17ヶ月。皮疹のためMTXは6mgまでしか増量できないが、中等度の活動性が持続し(SDAI12)、就労に支障をきたしている。 自己注射…

C-OPERA;日本人の早期RAにおけるMTX vs MTX+CZP

少し、ほとぼりもさめてきたところですので、注意喚起しておきましょう。 C-OPERA試験はMTX-naïveのEarly RAを対象に16mg/週までのMTX vs CZPを比較したDouble blind placebo-controlled RCTです。 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26139005 Abstract Ob…

GLM100mg単剤の安全性

<Scenario case> 77歳男性、RA、SDAI32(高活動性) じん肺による低肺機能あり、MTXの投与を控えております。SSZ投与も効果不十分・・・ 関節注射でしのいでおりましたが、腫脹関節は15個におよび、有効な抗リウマチ剤を考慮しなければなりません。 ゴリム…

早ければ本当にBeSt?

(2011年10月のpptより) オランダで行われたBeStスタディです。Behandel-Strategieën、オランダ語で治療戦略の意味です。 120名あまりを4群に振り分けました。 もっとも大切な点は私たちが日常診療で行っているSequentialmonotherapyにくらべ、はじめからMTX…

TNF阻害薬 vs その他の生物製剤 ②

生物学的製剤の比較に関する大切な論文を見逃しておりました(ADAの講演会で知りました)。 リウマトロジストはMTX-IRには抗TNF阻害薬を第一選択としておりましたが、それを支持する論文がないと長い間、思っておりました。 https://oiwarheumatology.hatena…

TNF阻害薬 vs その他の生物製剤 ①

リウマトロジストはMTX-IRには原則としてTNF阻害薬をお勧めしています。 それは、各ガイドライン(EULAR@2013、JCR@2014)でTNF阻害薬がその他の生物製剤と同等に扱われていてもその姿勢は変わっていません。 ※極めて個人的な見解なので注意が必要です。メ…

TNF阻害薬で重症感染症のHR1.1-1.8、メラノーマのHR1.5

Safety of synthetic and biological DMARDs: a systematic literature review informing the 2013 update of the EULAR recommendations for management of rheumatoid arthritis. Ann Rheum Dis. 2014 Mar;73(3):529-35. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubm…

TNF阻害薬とリンパ腫③

TNF阻害薬はリンパ腫の原因になるのでしょうか。 GLMの3年の安全性の報告を読んでいて、そんな疑問がわいてきました。 https://oiwarheumatology.hatenablog.com/entry/13368952 その論文のDiscussionには関連性を否定する二つの論文が引用されていました。 …

TNF阻害薬とリンパ腫② (GLM 3yr safetyの引用)

前項にてGLMの3年間の安全性についてまとめました。 https://oiwarheumatology.hatenablog.com/entry/13368952 そこで引用されていた文献44)45)をまとめておきます。いずれも、TNF阻害薬とリンパ腫との関連を否定した報告です。 (ref 44) 「RAでリンパ腫のリ…

TNF阻害薬とリンパ腫① -ゴリムマブの3年間の安全性 -

TNF阻害薬はリンパ腫の発生に関係するのでしょうか。 GLMについて興味深いデータがでました。 GLM 100mgで1000人中1.8人のリンパ腫が発生したというものですが、プラセボ→GLM 50mg→GLM 100mgと用量依存性に増えているようです。 しかし、有意差はつきません…

セルトリズマブ(CPZ)は胎盤を通過しにくい

RAではないのですが、炎症性腸疾患の妊娠に関するデータはリウマトロジストにとっても重要でしょう。 Placental Transfer of Anti–Tumor Necrosis Factor Agents in Pregnant Patients With Inflammatory Bowel Disease Clin Gastroenterol Hepatol 2013;11:…

どのTNF阻害薬が一番安全ですか?

The Comparative Safety of TNF Inhibitors in Rheumatoid Arthritis - A Meta-Analysis Update of 44 Randomized Controlled Trials. Michaud TL, et al. Am J Med 2014;127(12):1208-32 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24950486 Abstract OBJECTIVE: …

TNF阻害薬による非感染性肺病変

1)間質性肺疾患(ILD) http://blogs.yahoo.co.jp/oiwarheumatology/10579896.html 2)リウマチ結節 一般に肺のリウマチ結節は0.5-7cmの境界明瞭な結節・腫瘤状陰影とされている。通常、胸膜に隣接する肺野末梢に位置し、多発性であることが多い1)。結節…

TNF阻害薬を使用中のその他の呼吸器感染症

結核同様、肉芽腫の形成を要する感染症が抗TNFα抗体製剤で誘発されやすい可能性が考えられる。1998年から4年9ヶ月の間、FDAに届いた副作用報告(Adverse Event Reporting System;AERS)の集計によると、アスペルギルス症、クリプトコックス症などが挙げられ…

TNF阻害薬投与中に発生する肺炎と結核

1)肺炎(細菌性肺炎、異型肺炎) TNF阻害薬投与中の細菌性肺炎の報告は多彩である。重症肺炎球菌感染症1)-4)、黄色ブドウ球菌感染症5)、レジオネラ肺炎6)-9)、ノカルジア症10)-13)などが挙げられる。異型肺炎としてはクラミジア肺炎の報告がある14)。 イン…

TNF阻害薬を使用中に起きる間質性肺疾患(ILD)

TNF阻害薬による間質性肺疾患(ILD)の頻度は日本の市販後調査において、インフリキシマブ(IFX) 0.5%、エタナセプト(ETN )0.6%、アダリムマブ(ADA)0.6%と報告されている1) 2)3)。詳細の記述はないが、これらの報告は細菌性肺炎、結核、ニューモシスチス肺炎(PCP)を別に示して…

TNF阻害薬を使用中に発生するニューモシスチス肺炎

本邦のTNF阻害薬の全例調査によると、ニューモシスチス肺炎(PCP)の頻度はインフリキシマブ(IFX )0.4%、エタナセプト(ETN) 0.2%、ヒュミラ(ADA)0.3%とされる1) 2)17)。とくにIFX投与中のPCPは詳細に検討されており、危険因子として、65歳以上、プレド…

OPTIMA試験

(2011年10月) RAのBiologicsに関するRCTは、メーカーがお金を出しているものがほとんどです。 いずれも、Double blindで質が高いので、一流Journalに掲載されます。 しかし、結果がメーカーに不利益だったらどうでしょうか。 OPTIMA試験は、Early RAを対象…