リウマチ膠原病のQ&A

日常診療で出会ったギモンに取り組んでいきます!

2012-08-29から1日間の記事一覧

ステロイド内服を静注にするときに1.5~2倍に増量する!?

(2011年2月) <Clinical senario> ある先生より質問を受けた。 「ステロイド内服を静注にするときに1.5~2倍に増量する」と言われましたが、本当ですか? <Pubmedで調べてみる> たいへん深い問題です。 じつは、リウマトロジストも「静注なら2倍」ルール…

オレンシアとアクテムラ

(2011年5月) RA診療ではTNF以外の新たな分子をターゲットとした生物学的製剤が使われています。 T細胞(CD80/86)を阻害するAbatacept(商品名オレンシア)、IL-6を阻害するTocilizumab(商品名アクテムラ)です。 ともに、TNFinhibitor failure(TNF阻害…

Cochraneのネットワーク・メタ解析 2011(もっとも安全なバイオとは?)

(2011年6月) もっとも安全なbioはなんでしょうか? 2009年、Cochrane※がbio同士を比較しました。 http://blogs.yahoo.co.jp/oiwarheumatology/15017073.html 直接比較されていない2つの薬剤を間接的に比較する方法です※。 「副作用中止」のOdds ratioに基…

猫も杓子もD-dimer

<Clinical scenario> ※実際のケースを一部アレンジしております。 頬部紅斑、関節炎、腎炎、抗dsDNA抗体>400を有する活動性SLEの32歳女性が入院しました。3ヶ月前より関節炎、発熱に対しPSL7.5mg投与中、抗カルジオリピン抗体IgG陽性にてバイアスピリン※投…

さよなら、ウェゲナー

(2011年7月) 血管炎の国際会議が今年の5月にアメリカのChapelhillで開かれ、ANCA関連血管炎3疾患の病名変更がなされました。 Wegener granulomatosis → Granulomatosis with polyangiitis(多発血管炎性肉芽腫症) Churg-Strauss syndrome → Eosinophilic …

バクタが飲めないSLE患者

バクタって、SLEの半数が副作用を経験するって知っていました? <Clinical Scenario> ※実際のケースを一部アレンジしております。 22歳女性、ループス腎炎にたいし、PSL高用量とTacrolimusを投与して1ヶ月。ニューモシスチス肺炎の予防のためバクタを投与…

TNF阻害薬に効果不十分なRA患者

(2011年8月) <Clinical Senario> 60歳女性。RA発症1年2ヶ月。 ※実際のケースを一部アレンジしております。 関節炎のコントロール不良のため、約1年前よりMTX、エンブレル(ETN)にて治療中である。疾患活動性は低下したものの、依然としてHigh disease a…

TNF阻害薬に効果不十分なRA患者、その2

(2011年9月) 日常診療に決して役立つことのない話題をひとつ。 なぜか日本のRA診療に導入されなかった生物学的製剤、リツキシマブについてです。 この薬剤はAbataceptとTocilizumabと同様、TNF阻害薬に効果不十分なRA患者において有効性が証明されておりま…

そのRA患者さんはEarlyですか? それともEstablishedですか?

(2011年9月) ついに、RA診療に6番目のBiologics、Golimumabが承認されてしまいました。 5剤だけでも混乱しているというのに。。 遅ればせながら、5剤についてUpdateしておきます。 いずれのBioとも、概ね二つずつ大切なRCTがあります。 すなわち、まずはMT…

OPTIMA試験

(2011年10月) RAのBiologicsに関するRCTは、メーカーがお金を出しているものがほとんどです。 いずれも、Double blindで質が高いので、一流Journalに掲載されます。 しかし、結果がメーカーに不利益だったらどうでしょうか。 OPTIMA試験は、Early RAを対象…

CASPERではなく、CASPAR

< 乾癬性関節炎 > 乾癬性関節炎の診断は、2006年に報告されたCASPARの分類基準を参考にしましょう(特異度98.7%、感度91.4%)。 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16871531 CASPAR基準を満たすためには以下の5カテゴリーのうち、3ポイントを満たす炎症…

B型肝炎の既往を有する関節リウマチの患者さん

(2011年12月) RAにMTXを使用中(中止後)、B型肝炎が再燃することが知られています。 再燃したB型肝炎は時に劇症化し、死にいたることがあるのです。 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11229464 これらはHBsAg+の人(キャリア)における報告です。 なの…

Intermittent arthritis(間欠性関節炎)

(2012年2月) 関節痛で紹介されたのに、来院時、「今は痛くない」と言われることがあります。 <Clinical senario> 70歳女性 ※実際のケースを一部アレンジしております。 3ヶ月前より右第2MCP、右第4MCP、右手に次々に関節痛が出現した。その都度、近くの…

ATTEST (IFX vs ABT)

(2012年2月) Bio同士の対決です。 ATTESTは、 オレンシア vs プラセボ レミケード vs プラセボ を比較したDouble-blind RCTですが、 オレンシアがレミケードを凌駕したという結果が注目されました。 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18055472 対象はMT…

潜在性結核の治療にリファンピシンを使うとき

(2012年3月) 潜在性結核に対する予防投薬は、リウマトロジストにとって共通の認識になってきております。 まずはイスコチン(INH)を使うのですが、肝障害で中止せざるおえないことをしばしば経験します。 つぎに、リファンピシン(RFP)を考慮するわけで…

ACR recommendation 2012

( 2011年12月30日 ) 2011年11月のACRで2008年のRecommendationがUpdateされました。 “2012 update” とされているところを見ますと、2012年のArthritis Rheumに掲載されるものと思われます。 2011年のうちに片づけておきたいので、Upしておきます。 ACR2008…

強皮症の間質性肺炎

(2011年1月22日) 強皮症の治療法は皮膚が柔らかくなるとか、とびきりのものがありません。 ある薬に期待が寄せられては、RCTで否定されることを繰り返しています。 有効な治療法がない今の時代に患者さんにどう言ってあげたらよいのでしょうか。 <Clinica…

血管炎の定義-CHCC2 Definition-

(2012.4/8) 3月、AP-VASという血管炎の国際学会が日本で開かれました。 2011年のChapel hill国際会議(CHCC2)で、ウェゲナー、チャーグ・ストラウスの名前がなくなったことを以前、お知らせしました。1994年のChapel hill会議のNomenclature(用語体系)…

抗リン脂質抗体陽性のSLE

(2012.5月) よく議論になります。 くりかえし訪れるこのシチュエーションに、自分なりの見解をもっておきたいものです。 <Clinical senario> 不明熱で入院した60歳女性。 ※実際のケースを一部アレンジしております。 頬部紅斑、口腔潰瘍、血小板減少、抗…

わたしの皮膚はやわらかくなりますか?

(2012.6月) リウマトロジストが、心痛める患者さんからの言葉 「わたしの皮膚はやわらかくなりますか?」 どう答えていますか? 「はい、この薬を使えばよくなります。」 それとも、 「残念ながら、皮膚をやわらかくすることが分かっている薬はありません…

巨細胞性動脈炎GCAにアスピリンは有効か?

(2012.6月) 実際、研修医に出した問題です。 みなさんは、どう取り組みますか? <Clinical scenario> ※実際のケースを一部アレンジしています。 側頭動脈炎疑いの79歳男性が治療目的にて入院してきた。 症状は8ヶ月前から続く発熱、寝汗、側頭部痛、PMR…

B型肝炎キャリアの関節リウマチ

このBioの恩恵が受けられる時代に、B型肝炎キャリアだけがとり残されていると感じませんか? <Clnical scenario> ※実際の症例を一部アレンジしております。 34歳女性、HBVキャリアのRAの患者さんが紹介された。 B型肝炎のserologyはHBsAg+、HBsAb-、HBeAg-…

ひらめくように診断する

診断推論のアプローチには、 ・仮説演繹法(候補をいくつか挙げ、臨床情報から確率を吟味する) ・徹底的検討法(VINDICATE-P) ・アルゴリズム法(貧血、低Na血症など) ・パターン認識(ひらめくように診断する方法) があるとされています(誰も教えてく…