リウマチ膠原病のQ&A

日常診療で出会ったギモンに取り組んでいきます!

ETN投与中に授乳をしてもよいか

臨床現場でとても役立つケースレポートだと思います。

Etanercept during pregnancy and lactationin a patient with rheumatoid arthritis: drug levels in maternal serum, cordblood, breast milk and the infant's serum.
Murashima A, Watanabe N, Ozawa N, Saito H,Yamaguchi K.
Ann Rheum Dis. 2009 Nov;68(11):1793-4.
 
(本文より)
妊娠7wk2回の流産例のある40歳の活動性RAの患者 (51.5 kg; 153 cm; BMI 22)ETN25 mg2回の治療を開始された。その薬が劇的なRAの改善をもたらしてすぐに妊娠し、妊娠中ETNPSL9mg/日の治療を継続することを強く望んだ。過去の報告に基づいて、彼女からICを得た後ETNを継続することを決めた。彼女は妊娠36週と2日で帝王切開により1906gの健康女児を出産した。1分後、5分後の新生児のApgar score89で、異常はなかった。
妊娠期間中にETN血中濃度の変化を決めるため、そして妊娠中の胎児への薬剤の移行を決定するため、妊娠の各trimesterにおいて母体の血液、および出産直後の臍帯血のETN濃度を測定した。母体の血液濃度は妊娠期間中stableであり、胎児の血液中の濃度を表すと考えられる臍帯血の濃度は母体の約1/30であった。出産後、母乳へのETN濃度を測定の移行の程度を確かめるため、授乳中の胎児の血液中に薬剤が検出される可能性を調べるため、母乳中と胎児のETN濃度を測定した (see table 1)。胎児は完全に母乳で育てられ続けたが、胎児の血中濃度は急速に減少した。出産後12週までにETNは胎児の血清に検出されることはなかった。母乳には検出されていて、新生児 (3885 g; 51.9 cm height)は少なくとも800ml/日の母乳を飲んだ。授乳を継続していたのにもかかわらず、時間とともに胎児の血清中のETN濃度が減少していったことはETN胎盤を通過するが、母乳からは胎児に移行しないことを表す。これらの所見はETNが授乳中も比較的安全であることを示唆する。

 
イメージ 1



リウマトロジストのコメント>
リウマトロジストは、妊娠を希望されていれば、MTXで安定した頃に計画するか、40前後など差し迫った問題があればETNCZPを提案しています
 
ETNは妊娠判明時にいったん中止を提案し(添付文書)、妊娠中悪化したら再投与について相談するようにしています。授乳を希望されれば↑のケースレポートを説明して、ETNが継続できるかもしれないことを説明します。人工ミルクも提案することを忘れずに。