リウマチ膠原病のQ&A

日常診療で出会ったギモンに取り組んでいきます!

OPTIMA試験

(2011年10月)
 
RABiologicsに関するRCTは、メーカーがお金を出しているものがほとんどです。
 
いずれも、Double blindで質が高いので、一流Journalに掲載されます。
 
しかし、結果がメーカーに不利益だったらどうでしょうか。
 
OPTIMA試験は、Early RAを対象に、
MTX + placebo
MTX + Adalimumab
を比較したDouble blind RCTです。
 
もちろん、メーカーがスポンサーだったのですが、結果は想定外だったことでしょう。
 
なんと、半年の間にADA+MTX515例中6例(1.2%)が感染症で死亡してしまったのです。
 
コントロールMTX群では517例中1例(0.2%)のみでした。
 
medpageTODAYという医療ニュースが、EULAR(ヨーロッパリウマチ協会)の講演を取り上げているので、ご紹介します。
 
 
EULAR:死亡率の高さが早期RAにおけるAdalimumabの試験の名声を傷付けた」
 
By John Gever, Senior Editor, MedPage Today
 
 
ローマにて-
 
ここに提示されるデータによると、早期RAAdalimumab (Humira)を用いた78週の試験において、予想以上に死亡数が多かったため、同剤の効果への期待が損なわれた。
 
Vienna 医科大学Josef Smolen 医師は報告した。
 
OPTIMA試験において、Adalimumab + MTXに振り分けられた515人中6人がプラセボコントロールの始めの26週の間に死亡したのだ。対するMTX単剤は517例中1例であった。
 
6例の死亡は全て感染症によるものであると、EULAR会議で出席者に述べた。
 
1%を超える死亡率は、「過去の試験よりも高い。」とSmolenは述べ、調査者たちはこの死亡率について十分な説明ができていないことを付けくわえた。
 
OPTIMAはこの死亡率にもかかわらず、継続されている。プロトコール寛解維持、レントゲン上の進行、安全性を調べるためもう1年の期間を必要とする。
 
Smolenによると、この試験は早期の死亡率の問題以外、MTX-naiveの患者においてTNF阻害薬の好ましい中間結果に寄与した。
 
1032例が1年未満のRA(平均4.2ヶ月)と診断され、登録された。DAS28>3.2でベースラインの平均は6.0であった。
 
さらに腫脹関節≧6、圧痛関節≧8ESR28mm/hまたはCRP1.5mg/dLが必要とされ、レントゲン上、ひとつ以上の骨びらんが必要とされた。
 
Adalimumab40mgを隔週で投与され(同剤のラベル情報によると通常量)、MTXの標準量とともに投与された。コントロール群の患者はMTXとともにプラセボを隔週で投与された。
 
Smolen26週時のDAS28寛解(≦2.5)がADA+MTX群の33.8%で得られ、コントロール群の16.4%よりも高かった (P<0.001)
 
DAS28<3.2で定義される低疾患活動性は46.6%で見られ、コントロール群の25.5%よりも高かった (P<0.001)
 
ADAの同様の効果はHAQACR20/50/70を含むその他の有効性の指標でも確認された。とSmolenは述べた。
 
死亡率が高かったが、それ以外の新たな副作用、予測しえない副作用は認められなかったと述べた。
 
重症の感染症ADAでより多く、患者の2.5%に起きた。これにたいし、コントロール群では1.2%だった。皮膚の基底細胞癌2例もADA+MTX群におきた。
 
Smolen6例中4例は65歳よりも高齢者であり、これはひとつの(死亡しやすい)因子かもしれない。
 
ステロイドの使用もひょっとすると、調査期間中に寄与したかもしれない。と述べた。
 
彼はさらに、死亡のほとんどはTNF阻害薬がUSや西欧ほどよく使用されない国で起きたことを述べ、その地域の調査者はTNF阻害薬の重症感染症の可能性を十分に認識していおらず、感染の可能性があるときに速やかに対応できていなかった可能性があることを示唆した。
 
彼はいずれの感染症日和見感染症とは考えられなかったと述べた。
 
Smolenの講演会場にいたAudienceにとって、死亡率が明らかな関心ごとであった。フロアからのすべての質問が死亡率についてだった。
 
しかし、セッションの座長、Roberto CaporaliUniversity of Pavia in Italy)はMedPage Todayにたいし、死亡率が高いことは"surprising"であるが、とくに気にするほどのことではないと述べた。
 
感染症の割合は過去のRCTや市販後調査で報告されたものと同様だと述べた。
 
「私はこの件について懸念していない。」しかし、彼は高い死亡率に寄与した可能性のある因子を調査すべきだと付け加えた。
 
そのような調査のひとつのアウトカムとして、ひょっとすると、高齢の早期RAの患者にはこの薬剤を注意して用いるということなのかもしれないと、提案した。
 
この研究はAbottが出資している。
 
SmolenAbottとの関連があることを告知した。ひとりの共同演者はAbottの社員である。その他の著者もAbottとの関連、AmgenCentocorPfizerBMSLexiconGenentechとの関連を告知した。
 
座長のCaporaliAbbott, BMS, and Merck/Schering-Ploughとの関連を告知した。
 
 
Primary source: Annals of the Rheumatic Diseases
Source reference: Smolen J, et al "Adalimumab plus methotrexate vs. methotrexate monotherapy for early rheumatoid arthritis: 26-week results (first phase) from the 78-week OPTIMA study" Ann Rheum Dis 2010; 69: 102.