(2011年10月)
RAのBiologicsに関するRCTは、メーカーがお金を出しているものがほとんどです。
いずれも、Double blindで質が高いので、一流Journalに掲載されます。
しかし、結果がメーカーに不利益だったらどうでしょうか。
MTX + placebo
MTX + Adalimumab
を比較したDouble blind RCTです。
もちろん、メーカーがスポンサーだったのですが、結果は想定外だったことでしょう。
medpageTODAYという医療ニュースが、EULAR(ヨーロッパリウマチ協会)の講演を取り上げているので、ご紹介します。
「EULAR:死亡率の高さが早期RAにおけるAdalimumabの試験の名声を傷付けた」
By John Gever, Senior Editor, MedPage Today
ローマにて-
ここに提示されるデータによると、早期RAにAdalimumab (Humira)を用いた78週の試験において、予想以上に死亡数が多かったため、同剤の効果への期待が損なわれた。
1%を超える死亡率は、「過去の試験よりも高い。」とSmolenは述べ、調査者たちはこの死亡率について十分な説明ができていないことを付けくわえた。
Smolenによると、この試験は早期の死亡率の問題以外、MTX-naiveの患者においてTNF阻害薬の好ましい中間結果に寄与した。
1032例が1年未満のRA(平均4.2ヶ月)と診断され、登録された。DAS28は>3.2でベースラインの平均は6.0であった。
ADAの同様の効果はHAQ、ACR20/50/70を含むその他の有効性の指標でも確認された。とSmolenは述べた。
死亡率が高かったが、それ以外の新たな副作用、予測しえない副作用は認められなかったと述べた。
Smolenは6例中4例は65歳よりも高齢者であり、これはひとつの(死亡しやすい)因子かもしれない。
ステロイドの使用もひょっとすると、調査期間中に寄与したかもしれない。と述べた。
彼はさらに、死亡のほとんどはTNF阻害薬がUSや西欧ほどよく使用されない国で起きたことを述べ、その地域の調査者はTNF阻害薬の重症感染症の可能性を十分に認識していおらず、感染の可能性があるときに速やかに対応できていなかった可能性があることを示唆した。
Smolenの講演会場にいたAudienceにとって、死亡率が明らかな関心ごとであった。フロアからのすべての質問が死亡率についてだった。
しかし、セッションの座長、Roberto Caporali(University of Pavia in Italy)はMedPage Todayにたいし、死亡率が高いことは"surprising"であるが、とくに気にするほどのことではないと述べた。
「私はこの件について懸念していない。」しかし、彼は高い死亡率に寄与した可能性のある因子を調査すべきだと付け加えた。
そのような調査のひとつのアウトカムとして、ひょっとすると、高齢の早期RAの患者にはこの薬剤を注意して用いるということなのかもしれないと、提案した。
この研究はAbottが出資している。
SmolenはAbottとの関連があることを告知した。ひとりの共同演者はAbottの社員である。その他の著者もAbottとの関連、Amgen、Centocor、Pfizer、BMS、Lexicon、Genentechとの関連を告知した。
Primary source: Annals of the Rheumatic Diseases
Source reference: Smolen J, et al "Adalimumab plus methotrexate vs. methotrexate monotherapy for early rheumatoid arthritis: 26-week results (first phase) from the 78-week OPTIMA study" Ann Rheum Dis 2010; 69: 102.