リウマチ膠原病のQ&A

日常診療で出会ったギモンに取り組んでいきます!

セルトリズマブ(CPZ)は胎盤を通過しにくい

RAではないのですが、炎症性腸疾患の妊娠に関するデータはリウマトロジストにとっても重要でしょう。
 
 
Placental Transfer of Anti–Tumor Necrosis Factor Agents in Pregnant Patients With Inflammatory Bowel Disease
Clin Gastroenterol Hepatol 2013;11:286–292
 
BACKGROUND & AIMS:
炎症性腸疾患の女性患者は時に妊娠中TNF阻害薬を必要とする。これらの薬剤が胎盤を通過し、胎児に移行するかどうか、その後胎児から排除されるかどうかについては分かっていない。また構造的に異なるTNF阻害薬が以降の程度に違いがあるかどうかについても分かっていない。
 
METHODS:
私たちはIFX, ADA, CZPを投与中の炎症性腸疾患の妊娠女性31例を研究した(各々111010例)。薬剤の血清濃度を出産時に母体と胎児、臍帯血において測定し、胎児についてはその後毎月、薬剤が検出されなくなるまで測定した。出産時における臍帯血と胎児の薬剤の濃度を母体のそれと比較した。
 
RESULTS:
IFXADAでは出産時、母体よりも胎児と臍帯血で有意に高かった。CZPではそうではなかった。胎児と新生児のCZPの濃度は<2[1]g/mL。臍帯血におけるIFXの濃度の中央値は母体にたいして160%ADAでは153%だったが、CZPでは3.9%だった。
 
CONCLUSIONS:
IFXADA胎盤を通過し、出産時に胎児で検出された;薬剤は胎児より最大6ヶ月まで検出され続けた。CZPは出産時の臍帯血、胎児で測定された値に基づけば、3剤のなかで最も胎盤通過が低いレベルであった。
 
 
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※Table 4の右側は省略したので説明しておきます。左側のCPZに対し、右側はPEGでした。一例を除く全例において、検出感度未満でした。一例は検体がないため、測定できていませんでした。
 
※Results-Certolizumabの最後のパラグラフに乳汁のCZP濃度を測定した一例について記載がありました。
Patient 2は乳児が1ヶ月の時に2回目の血中濃度を測定した。母はCZP 400mgを4週間毎に投与され、分娩の1週間前と分娩の3週間後に投与されていた。乳児は母乳で育てられた。分娩から4週間目に母体のCZP血漿濃度は22.93 μg/mLで乳児では 0.84 μg/mLだった。PEGの値は母体で29.3 μg/mL、乳児では検出できなかった。乳汁を分娩から1週間ごと2週間後に採取した。さらに3回の乳汁を採取した;分娩後最初の注射(3週後)で注射から4時間後、その注射から3日後、および6日後。乳汁サンプル5検体においていずれにおいてもCZPは検出できなかった。
 
→注射から4時間後、3日後、6日後の乳汁でCZPは検出されなかったとのことです!