リウマチ膠原病のQ&A

日常診療で出会ったギモンに取り組んでいきます!

診断学

Segmental arterial mediolysis (SAM)のSR - Discussion ー

Skeikらの論文はSRをもとに総説まで記載されています。SRに基づいて見解を述べるという、素晴らしい論文ですね。ではDiscussionを訳していきます。 Introduction & Methods https://oiwarheumatology.hatenablog.com/entry/2020/08/15/110000 Results https:…

Segmental arterial mediolysis (SAM)のSR - Results ー

SAMの勉強をしています。 https://oiwarheumatology.hatenablog.com/entry/2020/08/15/110000 ResultsChart review自験例の17例のカルテレビューをした。Demographic data はTable 1。報告例のdemographics、主訴、バイタルサイン、画像検査はTable 2に示す…

Segmental arterial mediolysis (SAM)のSR -Introduction to methodsー

SMAの壁肥厚と複数の動脈瘤を来たした症例を経験し、久しぶりにPANのやっかいな鑑別疾患である、SAMを勉強しようと思いました。 以下、Differential diagnosisには聞いたことがあるようなないような病気たちが出てきますね。※ Referenceに引用を示しています…

プロテインS欠乏症

<Clinical scenario> 29歳の女性、先月の出産がFGRであった。抗リン脂質抗体陰性だったが、プロテインS活性が27%と低下していたため相談を受けた。 (症例は架空です) <Uptodate> UptodateでProtein Sdeficiencyを調べました。 Pathophysiology PSは最…

PNと紛らわしい病気、Segmental Arterial Mediolysis

AJR Am J Roentgenol 2018 [Epub ahead ofprint] Segmental Arterial Mediolysis: AbdominalImaging of and Disease Course in 111 Patients. Naidu SG, et al. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29446669 111例のSystematic reviewによると、腹痛(74%),…

Pel-Ebstein Fever

<Clinical scenario> 不明熱で紹介されてきた40歳女性。4日解熱のあと再度高熱が続いた。 診察上、リンパ節腫脹なし。皮疹なし。 肝障害(トランス100~200、LDH400~500)、フェリチン1500 sIL2R2000、ANA80倍、DNA-RIA陽性。 血液培養陰性。t-spot陰性。 造影CT…

Macro CK ー筋炎診断のピットフォールー

<Clinical Scenario> 45歳女性、CK高値のため紹介。筋力低下はなし。CK値は1500、CKMBも軽度上昇している。MMTは正常であったが、大腿MRIを施行したところ、やはり筋炎を示唆する所見は得られなかった。CK以外は概ね健康。(架空の症例です) (症例は架空…

DPP-4阻害薬による関節炎

最近、話題のDPP-4阻害薬による関節炎ですが、日本人の報告を紹介します。 RS3PE in association with dipeptidylpeptidase-4 inhibitor: report of two cases. Yamauchi K, et al. Diabetes Care. 2012 Feb;35(2):e7. doi:10.2337/dc11-1995. https://www.n…

爪は語る

爪の話を。 研修医レクチャーの小ネタです。 おおむね、記述はAm Fam Physicianのレビュー(AFP 2004)より主だった爪の所見を意訳しています。 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15053406 http://www.aafp.org/afp/2004/0315/p1417.pdf 画像はAFP2004に…

視神経症(Optic neuropathy)②

Optic neuropathyが紹介されてきたのですが、鑑別が思い浮かびません。 UptodateでOptic neuropathyの原因について勉強をしています。 https://oiwarheumatology.hatenablog.com/entry/14910112 <Uptodateのつづき> Toxic and metabolic causes — 中毒性代…

視神経症(Optic neuropathy)①

<Clinical scenario> 78歳女性、3週間の発熱、3日前からの左眼の視力低下のため紹介された。 眼科の所見は前部の虚血性視神経症。MRIにて両側性の視神経の周囲にT2 highを認めた。 側頭動脈炎を念頭に診察をしたが、頭痛、側頭動脈の異常はなかった。 HbA1…

「ANA陽性のため、膠原病が疑われます」

リウマチ科医にとって、よくあるコンサルテーションのパターンです。 最近では健康診断で、抗核抗体やリウマトイド因子を測定されることも多く、ANAやRF陽性を指摘された方々がお見えになります。 もちろん、そういう方が膠原病である可能性はかなり低く、多…

Multicentric reticulohistiocytosis (多中心性細網組織球症)の治療法

< Scenario case > Multicentric reticulohistiocytosis (多中心性細網組織球症)が紹介された。 MTX 16mg/週、PSL 5mg投与中であったが、皮膚結節は増悪傾向で、多関節炎が持続している。 追加治療が必要と判断した。 < 疑問、発生! > 最善の治療は?…

血管内大型細胞リンパ腫 (Intravascular large cell lymphoma)

不明熱診療でもっともchallengingだと思っている疾患です。 同僚が診断したケース(DLBCL+Hemophagocytic lymphohistiocytosis)をはたから見ましたが、自分で診断をつけたことはありません。 いつかの日のためにまとめておきます。出典、いつものUptodate・…

anaplastic large cell lymphoma, ALK positive

不明熱で苦労したので、まとめました。 <Scenario case> 症例 60歳代男性 (架空のケースです) 病歴 2週間前からの発熱で入院。リンパ節腫脹なし。DMあり。血液培養陰性。造影CTにて熱源なし。PETで多発性の骨病変。骨髄生検、皮膚生検を繰り返すも診断つ…

感染性心内膜炎、Infective endocarditisの診断について

感染性心内膜炎、Infective endocarditisの診断について、Updateしました。 素因(%) 虫歯 25 留置カテ 5 IV drug user 2 ステロイド剤 4 アトピー性皮膚炎1 血液透析 6 糖尿病 10 高脂血症 4 高血圧 11 IEの既往 4 →虫歯は4人に一人。 原因菌(%) Staphyl…

DSO vs CRMO vs CNO vs SAPHO

<Clinical Senario> 下顎骨の慢性骨髄炎、Diffuse sclerosing osteomyelitis(びまん性硬化性骨髄炎)の15歳女性が紹介された。 勉強しなければ・・ ※実際の症例とは異なります。 <Pubmedで検索> DSO+mandibleで検索、CRMO + Bisphosphonate[mesh]、CNO…

発熱、全身性リンパ節腫脹にて紹介された20歳女性

<Clinical senario> 20歳の女性が5週間前からの発熱、咽頭痛、全身性リンパ節腫脹、血球減少(WBC3000前後、Plt10-15万)のため紹介された。発熱は40℃までが5週間前から続き、リンパ節は両側頸部、腋窩、縦隔、腹腔内におよんだ。AST, ALT, LDHの上昇あり…

Multicentric reticulohistiocytosis - その1 -

Multicentric reticulohistiocytosisが紹介されました。 非常にまれな病気で、リウマトロジストは10年あまりの経験で2例目です。 概略をつかみたいので、reviewを探します。 Pubmedでmulticentric reticulohistiocytosis を検索し、左上のArticle typesをrev…

Multicentric reticulohistiocytosis - その2 -

(↓のつづき) https://oiwarheumatology.hatenablog.com/entry/10521785 Best Practice & Research Clinical Rheumatology 26 (2012) 543–557 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23040366 ******************************…

リウマチ科を受診する内分泌疾患

リウマトロジストの目の前を何度となく通り過ぎて行ったであろう。。 (2010年) ●● 副腎不全を診断しよう! ●● Uptodate17.3の”副腎不全におけるACTHに対する反応の評価”をまとめました。Critically illである場合、診断や治療に関するconsensusは得られて…

Intermittent arthritis(間欠性関節炎)

(2012年2月) 関節痛で紹介されたのに、来院時、「今は痛くない」と言われることがあります。 <Clinical senario> 70歳女性 ※実際のケースを一部アレンジしております。 3ヶ月前より右第2MCP、右第4MCP、右手に次々に関節痛が出現した。その都度、近くの…

ひらめくように診断する

診断推論のアプローチには、 ・仮説演繹法(候補をいくつか挙げ、臨床情報から確率を吟味する) ・徹底的検討法(VINDICATE-P) ・アルゴリズム法(貧血、低Na血症など) ・パターン認識(ひらめくように診断する方法) があるとされています(誰も教えてく…