リウマチ膠原病のQ&A

日常診療で出会ったギモンに取り組んでいきます!

血管炎(AAV以外)

Segmental arterial mediolysis (SAM)のSR - Discussion ー

Skeikらの論文はSRをもとに総説まで記載されています。SRに基づいて見解を述べるという、素晴らしい論文ですね。ではDiscussionを訳していきます。 Introduction & Methods https://oiwarheumatology.hatenablog.com/entry/2020/08/15/110000 Results https:…

Segmental arterial mediolysis (SAM)のSR - Results ー

SAMの勉強をしています。 https://oiwarheumatology.hatenablog.com/entry/2020/08/15/110000 ResultsChart review自験例の17例のカルテレビューをした。Demographic data はTable 1。報告例のdemographics、主訴、バイタルサイン、画像検査はTable 2に示す…

Segmental arterial mediolysis (SAM)のSR -Introduction to methodsー

SMAの壁肥厚と複数の動脈瘤を来たした症例を経験し、久しぶりにPANのやっかいな鑑別疾患である、SAMを勉強しようと思いました。 以下、Differential diagnosisには聞いたことがあるようなないような病気たちが出てきますね。※ Referenceに引用を示しています…

皮膚科医Carlsonによる皮膚血管炎のレビュー②

皮膚科医Carlsonによる皮膚血管炎のレビューを勉強しています。 https://oiwarheumatology.hatenablog.com/entry/2020/07/01/000000 この度は後半です。英語が難しく?が多くてすみません。 Incidental vasculitis 血管炎に関連するその他の組織学的所見 直…

皮膚科医Carlsonによる皮膚血管炎のレビュー①

とある血管炎の講演で伺った論文です。↓のFigure 1が印象に残っていて、読んでみました。結構太いので、前半と後半の2回に分けてアップします。 (前半) 血管炎の分類 皮膚生検の役割 疫学と臨床所見 臨床と病理の関連 生検のタイミングと部位 血管炎の組織…

結節性多発動脈炎PANの診断基準、7-item criteria (2019)

結節性多発動脈炎(PAN)のACR分類基準が発表されたのが1990年のこと。 https://oiwarheumatology.hatenablog.com/entry/16671450 以降、国際的にアクセプトされたPANの分類基準、診断基準は開発されておりません。 2019年、PAN診断のための簡便な基準、7-it…

結節性多発動脈炎(PAN)のACR分類基準1990

Table 2 結節性多発動脈炎(PAN)のACR分類基準1990 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/1975174 1.体重減少;ダイエットなどのその他の要因によらない発症後の4㎏以上の体重減少 2.網状皮斑;四肢や体幹の一部に斑な網状パターン 3.精巣痛または圧…

FVSGによるCHUSPAN;PAN+MPAバージョン①

<Clinical scenario> 55歳男性、8日前からの腹痛のため来院。38.5度。腹部CTにて腸管壊死が疑われ、緊急的に右半結腸切除を施行。第21病日、病理結果にて中型の筋性動脈に血管炎の所見を多数指摘された。診断は、結節性多発動脈炎による腸管壊死。さて、治…

Cogan症候群②

Cogan's syndromeについて勉強しています。 https://oiwarheumatology.hatenablog.com/entry/15273523 Results Table 1 Ocular manifestations. 定義によってTypical CSの17例全例がIKを有し、16例が両側性。IKは13例で単独でおき、そのうち3例で結膜炎、2例…

Cogan症候群①

<Clinical scenario> 27歳女性、2週間前からの発熱のため入院。耳鳴り・聴力障害、肝障害、リンパ節腫脹を認め、耳鼻咽喉科で右耳の聴力障害を、眼科で強膜炎を指摘された。(架空の症例です) (架空の症例です) < 疑問、発生!> Cogan’s syndromeにつ…

白血球破砕性血管炎、Leukocytoclastic vasculitis③

< Clinical scenario > 62歳男性の白血球破砕性血管炎(Leukocytoclastic vasculitis;LCV)の分類をしています。 ① 過敏性血管炎とは・・ https://oiwarheumatology.hatenablog.com/entry/13232756 ② 悪性腫瘍に合併する白血球破砕性血管炎 https://oiwar…

白血球破砕性血管炎、Leukocytoclastic vasculitis②

(白血球破砕性血管炎①の続きです) https://oiwarheumatology.hatenablog.com/entry/13232756 < Clinical scenario > 62歳男性の白血球破砕性血管炎(Leukocytoclastic vasculitis;LCV)の分類をしています。 Uptodateで調べる限り、LCVはMicroscopic po…

白血球破砕性血管炎、Leukocytoclastic vasculitis①

< Clinical scenario > 62歳男性。 1年前からの下腿の紫斑のため、皮膚科に紹介された。 皮膚生検の結果、白血球破砕性血管炎(Leukocytoclastic vasculitis;LCV)との診断であった。 血管炎の分類・診断のため、リウマチ科にコンサルトがあった。 紫斑以…

潜在性甲状腺機能低下症

<Clinical scenario> 50代女性、手指の関節炎のため紹介された。 諸検査の結果、関節リウマチ(RA)と診断した。 軽度の下腿浮腫を認め、甲状腺機能もオーダーしていたが、TSH 7.0 mU/L, free T4正常。 陰性;倦怠感、寒がり、便秘、筋痛、体重増加 喫煙歴…

1型クリオグロブリン血症に関する36例の報告

1型クリオグロブリン血症について勉強していて、最近の報告を見つけました。 Pubmedで"Cryoglobulinemia"[Mesh]を検索したら、2517件。もっと絞ろうと思っていたら、3番目にType1に関するn=36の研究がありました。 ラッキー! もったいないのでAbstractだけ…

混合型クリオグロブリン血症

基礎知識として、徒然なるままに述べます。出典は主に数年前のUptodateです。 クリオグロブリン(CG)とは、寒いと固まってしまう免疫グロブリンのこと。 以下の3型に分けられ、2種類のCGを含む2型と3型は本態性混合型クリオグロブリン血症と呼ばれ、小さな…

Henoch-Schönlein purpura (IgA vasculitis)の消化管障害

<Clinical scenario> 40歳男性が2週間前からの皮疹、関節痛、下血にて入院した。 バイタルは保たれているが、顔面蒼白で冷や汗あり、右腹部に強い圧痛と筋性防御を認めた。 両下肢、両前腕に紫斑が多発しているが、関節炎はなし。 造影CTにて、空腸に強い…

血管炎の定義-CHCC2 Definition-

(2012.4/8) 3月、AP-VASという血管炎の国際学会が日本で開かれました。 2011年のChapel hill国際会議(CHCC2)で、ウェゲナー、チャーグ・ストラウスの名前がなくなったことを以前、お知らせしました。1994年のChapel hill会議のNomenclature(用語体系)…