リウマチ膠原病のQ&A

日常診療で出会ったギモンに取り組んでいきます!

C-OPERA;日本人の早期RAにおけるMTX vs MTX+CZP

少し、ほとぼりもさめてきたところですので、注意喚起しておきましょう。
 
C-OPERA試験MTX-naïveのEarly RAを対象に16mg/週までのMTX vs CZPを比較したDouble blind placebo-controlled RCTです。
 
Abstract
Objectives
予後不良因子を有するMTX-naïveの早期RAの第1選択薬としてMTX単独と比較した、MTX+CZPの効果と安全性を評価すること。
Methods
発症12ヶ月以内で抗CCP抗体高値を有し、RF陽性 and/or 骨びらんを有するMTX-naïveの早期RAが二重盲検RCTに登録された。患者はCZP+MTX or PBO+MTX1:152週間ランダム割り付けされた。Prmary endpoint52週後のX線の進行の阻害(改訂mTSSにおけるベースラインからの変化)。Secondary endpoints24週時のmTSS24週・52週時の臨床的寛解
Results

CZP+MTX (n=159) or PBO+MTX (n=157)にランダム割り付けされた316例が早期RAの所見を反映する同等なベースラインの特徴を有した (平均罹患期間: 4.0 vs 4.3ヶ月; DAS28-ESR: 5.4 vs 5.5; mTSS: 5.2 vs 6.0)CZP+MTX群は52週後、PBO+MTXに比べX線の進行を大きく阻害した (mTSS CFB=0.36 vs 1.58;p<0.001)24週でもそうであった (mTSSCFB=0.26 vs 0.86; p=0.003)CZP+MTX群の臨床的寛解率(SDAI, Boolean and DAS28-ESR)は24週、52週時ともCZP+MTX群で有意に高かった。両群の安全性の結果は同様であり、MTXCZPを追加することで見られる新たな安全性の問題はなかった。

Conclusions
予後不良因子を有するMTX-naïveの早期RA患者において、CZP+MTXは構造的ダメージを阻害し、RAに関連した所見・症状を減少させた。これらの患者においてCZPの有効性を示した。



<リウマトロジストのコメント>
Primary outcomeであるchange from baseline in modified Total Sharp Score≦0.5を達成するためのNNT100/ARR=100/(82.9-70.7)=8.1→NNT=952wks)という素晴らしい成績でした。

(9人を最初から併用で治療すれば、1年後の画像的寛解(≦0.5)を達成する人が一人現れる計算になる
 
この優れたRCTでリウマトロジストが注目したのは、やはり「安全性」です。
 
CZP+MTX PCP 3(1.9%ILD 5(3.1%)

 MTX群  PCP 3(1.9%)   ILD 1(0.6%)

でした。
 
PCPILDかを急性期に区別をつけることは困難であり、しばしばステロイドST合剤のEmpiric治療が必要です。RAを診療する医師にとって、臨床的なインパクトは同様ではないでしょうか。
 
そこで、PCP+ILDの頻度を計算してみたところ、

CZP+MTX8(5%)MTX単独で4(2.5%)

100PYでいうと各々5.8%3.4%となりました。



もちろん、PCPILDPCP+ILDの頻度に有意差があるかどうかを検定するために設定された臨床試験ではないので、ここを有意差検定する必要はありません。
 
でも、よく考えてみてください。

Early RAで比較的お元気な患者さんにはじめから併用すると、

PCPまたはILDの頻度が5%5.8/100PY)ですよ!



今年も、リウマトロジストのもとには多くのEarly RAの患者さんが訪れてくれました。

果たして、わたしたちリウマチ専門医はEary RAの患者さんに5%の確率で肺を障害する治療法を提案できるのでしょうか。
 

Table 3

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