リウマチ膠原病のQ&A

日常診療で出会ったギモンに取り組んでいきます!

視神経症(Optic neuropathy)②

Optic neuropathyが紹介されてきたのですが、鑑別が思い浮かびません。

UptodateでOptic neuropathyの原因について勉強をしています。
 

<Uptodateのつづき>
Toxic and metabolic causes — 中毒性代謝性の原因は可能性のある薬剤の広範囲なリストを含む。典型的には障害は両側性;発症は急性でも緩徐進行性でもよい。
 
Drugs and toxins — 多数のトキシンと薬剤が視神経症に関連する(Table 3)。

Table 3
Toxins・・・一酸化炭素、エチレングリコール、メタノール、Perchloroethylene、タバコ、トルエン、スチレン
Drug reactions (direct effect on the optic nerve)・・・
・抗生剤・・・ClioquinolChloramphenicol、ダプソン、エサンブトール、イソニアジド、Iodochlorhydroxyquinoline、リネゾリド
・免疫調整剤、免疫抑制剤・・・シクロスポリン、タクロリムス、αインターフェロン2b、抗癌化学療法、5FU、シスプラチン、カルボプラチン、Nitrosureas: BCNU(carmustine), CCNU (lomustine), and methyl-CCN (semustine)、パクリタキセル、ビンクリスt
・その他・・・アミオダロン、ChlorpropamideBenoxaprofen、シメチジン、DisulfiramMelatoninsertraline hydrochloride (Zoloft)、高タンパク食
Drug reactions (indirect effect on the optic nerve) ・・・シルデナフィル (バイアグラ)、インフリキシマブ
 
トキシン暴露の多くのケースにおいて視力障害は重症で、永続的。薬剤の副作用として、視力障害を経験した患者は視力障害が早期に分かって、薬剤を中止できれば後遺症は少なくなりうる。これらの薬剤のほとんどは視神経に対して直接的な中毒性の効果を有すると信じられている。これらの中でも、エサンブトールは恐らく最もよく特徴づけられている。
その他の薬剤はその他の機序を介して間接的に視神経に作用すると信じられている。
●infliximabは自己免疫性の視神経炎を起こすと信じられている。
グリア芽腫に対してbevacizumabで治療された患者において重症の視神経障害のケースが2009年の報告でサマライズされている。機序は分かっていないが、血管の問題、薬剤の放射線に対する感受性の増加、直接的な作用が可能性としてはある。
勃起不全に処方されるシルデナフィルとその他の薬剤が非動脈炎性虚血性視神経症 (NAION)を起こすことが報告されている。関連性は分かっていないが、発症と時期的に近い薬剤投与より原因であることを示唆する。
アミオダロンの視神経症への関連はControversial。いくつかのケースはNAIONと区別がつかないようだ。その他に、より緩徐に発症し進行し、両側同時の視神経症の症例報告が複数あり、より直接的な中毒性作用を示唆する。

Nutritional deficiencies — 戦時中の捕虜のような状況下において栄養不足が流行性の視神経障害の役割を有したことが予測された(例、199年台のキューバ第二次世界大戦中の東南アジア)。特異的なビタミンB12B1葉酸の欠乏が原因として示唆されている。ほとんどの栄養障害による視神経症はタバコによって悪化するようだ。恐らくアルコール依存症によっても。視力障害は片側性でも両側性でもありえ、急性、亜急性、または緩徐進行性でもよい。MRIは典型的には正常。早期のビタミン補充and/or禁煙がanecdotalには視力の回復に関連したが、確かなこととは言えない。
 
Radiation — 放射線による視神経and/or視神経交差のダメージが放射線治療6-24ヶ月後に起きうる。通常鼻の癌。鼻か副鼻腔領域の癌に対し放射線治療を受けた219例のシリーズによると、網膜症は7例、失明に至る視神経症8例、視神経交差のダメージが1例に起きた。これらの合併症は50Gy未満の線量では稀。視力障害は通常緩徐進行性で、有効であることが証明された治療法はない。MRIは視神経の信号異常と造影効果を示す。
Trauma — 
 
<まとめ>
・前部(視神経乳頭)と後部(球後)に分類され、おのおの原因として動脈炎性虚血性視神経症AIONvs非動脈炎性視神経症NAION)がある。前部の障害はいずれもあるが、球後の場合は動脈炎によるものが多い。

非動脈炎性虚血性視神経症NAION)は虚血性視神経症の最もコモンな型。視神経頭を栄養する球後毛様体動脈の動脈硬化により、通常50歳以上、高血圧、糖尿病あり。急性、単眼性、無痛性が特徴。視神経乳頭の浮腫を伴う。NAION例において反対眼の発症リスクは5年で14.7%;数ヶ月から数年のインターバルがあり、両眼の障害は動脈炎を強く示唆する。

動脈炎性虚血性視神経症はまず、通常70歳より高齢の患者に起き、通常、巨細胞性動脈炎(GCA)。

・視神経炎(Optic neuritis)は多発性硬化症MS)にしばしば関連する炎症性、脱髄性の病態。2/3で球後性、1/3は乳頭炎を呈する。Gd造影MRIは視神経の炎症を95%で検出する。

・リウマチ性疾患の候補としては、SLESjogren、ウェゲナー肉芽腫症、ベーチェット、炎症性腸疾患。Paraneoplasticであることもあるし、薬剤性のこともある。特殊な状況として、遺伝性、腫瘍による圧迫性、栄養障害、放射線治療、外傷。
 

Scenario caseの経過>
前部の虚血性視神経症の原因の候補としては、動脈炎(側頭動脈炎)、非動脈炎性(糖尿病)のいずれもあり得るようだ。
SLESjogren、ウェゲナー肉芽腫症を示唆する臨床症状に乏しかったが、関連する血清学的検査を測定することにした。側頭動脈炎、悪性腫瘍のチェックのため造影CTを追加した。側頭動脈生検を計画した。
疑わしい薬剤の投与歴はなく、上述の特殊な状況にも該当しなかった。
 
ps; 日本眼科学会のものも参考になりました。抗アクアポリン4抗体(抗NMO-IgG)も測定しました。