爪の話を。
研修医レクチャーの小ネタです。
おおむね、記述はAm Fam Physicianのレビュー(AFP 2004)より主だった爪の所見を意訳しています。
Clubbing(ばち状指)
爪甲近位の軟部組織の肥厚による爪近位部のスポンジ化。Schamrothサイン※が有効。
※Schamroth sign
※Tierney’s Best Pearls (ティアニー先生の診断入門)
Beau’s line(ボーライン)
爪を横断する線状の溝。ほとんど全ての爪に同じ距離のところにできる。
→爪の成長を障害する全身疾患でおきる。その他、外傷やレイノーなど
※坊主の散髪は10日に1回(爪の成長する速度=10日で1mm)
(AFP 2004)
(化学療法後のBeaus’s line;QJM 2012)
Yellow nail(黄色爪)
爪の成長が緩徐なため積み重ねられながら伸びる。爪の辺縁は過剰に凸性となる。
Splinter hemorrhage(線状出血)
(EGPAにみられた線状出血;Intern Med2016)
Muehrcke’s lines(ミュルケライン)
爪半月と並行で爪を完全に横断する。爪床の血管の異常なので、爪の成長とともに移動しない。→低アルブミン血症
※爪の下がみえるけ?
(転移性の肉腫;NEJM 2007)
本文より;Muehrcke’s linesは蛋白を産生できないほどの代謝性ストレスで生じる。この患者はMuehrcke's linesを呈して3ヶ月後に肉腫の進行のため死亡した。
Mees’ lines(ミーズライン)
横断性の白色帯で爪の成長に伴なって移動する。
※三重のとなりで起きたヒ素中毒
(毒入りカレー事件;Br J Dermatol2003)