リウマチ膠原病のQ&A

日常診療で出会ったギモンに取り組んでいきます!

視神経症(Optic neuropathy)①

Clinical scenario
78歳女性、3週間の発熱、3日前からの左眼の視力低下のため紹介された。
眼科の所見は前部の虚血性視神経症MRIにて両側性の視神経の周囲にT2 highを認めた。
側頭動脈炎を念頭に診察をしたが、頭痛、側頭動脈の異常はなかった。
HbA1c9の糖尿病あり、インスリン使用中。
原因は? リウマチ性疾患?
(症例は架空です)
 
< 疑問、発生!>
神経症の原因について勉強しよう。
 
Uptodate
Optic neuropathyEtiologyを読みます。
 
ETIOLOGIES — 視神経炎は若い成人におけるもっともコモンな視神経障害の原因。虚血性視神経症は高齢者に多いが。視神経症の原因、臨床所見についてTablesにサマライズする。
 
Ischemic optic neuropathy —虚血性視神経症50歳以上で最も多い。虚血性視神経症は一般に前部(視神経乳頭を障害する)と後部(球後)に分類される。また動脈炎vs非動脈炎に分類される。前部の障害は通常動脈炎性(AION)と非動脈炎性(NAION)の虚血性視神経症ともによくみられる。後部の虚血性神経症(PION)も動脈炎性、非動脈炎性でも起きうるが動脈炎の可能性を上げる。急性の体液量の喪失、低血圧、心臓や脊髄の手術のような外科的処置に合併することのような非伝統的な原因はPIONにより多い。
 
Nonarteritic ischemic optic neuropathy — 非動脈炎性虚血性視神経症NAION)は虚血性視神経症の最もコモンな型。特発性の視神経頭の虚血性傷害であり、特徴として急性、単眼性、無痛性であることがあり、視神経乳頭の浮腫を伴う。視力障害は視神経頭を栄養する球後毛様体動脈の循環の悪化に起因する。患者は通常50歳以上で、しばしば高血圧、糖尿病、その他の血管の危険因子を有する。
患者はよく朝起きたときに視力障害を自覚する。通常視力低下と上下の視野欠損がある。視神経乳頭は腫脹しているように見え、splinter hemorrhageを有するかもしれない。もし他眼に小さなカップを有していれば、将来の虚血性イベントのリスクと考えられる。MRIは通常造影効果を有さないか、視神経に異常信号を呈さない。これはMRIで常に異常を呈する視神経炎とは対照的。視力回復の予後は比較的悪い(視神経炎とは異なり)。有効な治療法はない;視神経の減圧術は有効でない。同眼の再発性のイベントは非常に稀。その後の5年間における反対側の眼の累積リスクは14.7%。通常これらのイベントから数ヶ月か数年のインターバルがある。両目の障害は動脈炎を強く示唆する。抗血小板療法が反対足の傷害のリスクを減らすというエビデンスはないが、ほとんどの患者が基礎疾患の動脈硬化のリスクを元に抗血小板剤で治療される。
 
Arteritic ischemic optic neuropathy — 動脈炎性虚血性視神経症はまず、通常70歳より高齢の患者に起き、通常、巨細胞性動脈炎(GCA)。GCAPMRに関連し、ESRCRPの有意な上昇を伴って顎跛行、近位筋の疼痛、関節痛、頭髪部の疼痛、頭痛、倦怠感を含む症状の集合体と関連する。
眼底所見は蒼白で腫脹した乳頭、周囲の出血、網膜動脈分枝閉塞・中心網膜動脈閉塞症、あるいは綿花様のスポットを伴う。側頭動脈生検が診断のGold standardであるが、ステロイド治療は生検や結果に遅れるべきではない。血小板増多はGCAの永続的な視力障害の高リスク。両眼の障害は1/3におき、しばしば1日以内。
 
Optic neuritis — 視神経炎は多発性硬化症MS)によく関連する炎症性、脱髄性の病態。MSの経過中のどこかのタイミングで患者の50%に起きる。
患者は典型的には急性で有痛性の視力障害を呈する。通常、片方の眼。典型的には18-40歳。2-3日から数日かけて発症し、2週間以内に最大に達する。ほとんど(2/3)で球後性であり、正常の眼底所見を呈する。1/3は乳頭炎を呈するが。Gd造影MRIは視神経の炎症を95%で検出する。視力の回復はよくあり、通常完全;ほとんどの患者が1年後、視力20/40よりもよくなる。初診時に重症の視力障害を呈した患者では視力の回復はより少ないが、それでもよくある。
最終的な視力予後は治療に影響されないが、回復はメチルプレドニゾロン・パルス療法で早くなるかもしれない。経口プレドニゾンは再発性視神経炎のリスク上昇がひとつの臨床試験でみられたため推奨できない。MRIを元に評価され、MSのリスクが高い患者は免疫調節療法の利益があるかもしれない。
 
Infections — 視神経炎はいかなる原因の髄膜炎脳炎に合併しても良い。感染微生物の直接的な作用としても二次性の血管炎の型であったとしても。とくに西ナイルウイルスは髄膜炎に合併した視神経炎を起こすことが報告されている。典型的にはこれらの病気では、その他の症状・所見はMRI、髄液検査と同様に根底にある原因を示唆する。結核、クリプトコックスといったいくつかの原因のように髄膜炎がはっきりしない場合は視神経症が初発症状になってもよい。
猫ひっかき病、トキソプラズマのような急性ウイルス感染も眼だけの感染症を起こしうる。これらは典型的には視神経乳頭とともに網膜の炎症を引き起こす。いわゆる視神経網膜炎。
眼底所見は通常、視神経乳頭の浮腫に加え、黄斑浮腫を呈する。黄斑の滲出物は数日以内に形成され、しばしば星状パターンを呈し、“macular star”(黄斑の星)という。この所見は視神経炎より視神経網膜炎を鑑別する。適切な全身性の抗生剤、ステロイドは改善をもたらすことが報告されている。
梅毒性の視神経炎は片眼でも両眼でもよく、硝子体の炎症と関連する。硝子体の炎症は視神経炎よりこの疾患を区別するのに役立つ所見である。抗生剤治療は改善と関連するが、患者は再発するかもしれない。Lyme病は球後視神経炎のはっきりしない原因であるが、乳頭炎を起こしても良い。
 
Inflammatory optic neuropathies — 炎症性の視神経症は感染に随伴する原因で起きたり、全身性の膠原病で起きたり、その他の局所的あるいは全身的な炎症病態で起きるかもしれない。
 
Parainfectious — ウイルス感染症後の視神経炎は麻疹、ムンプス、水痘、インフルエンザ、EB感染に関連する。典型的には臨床的な感染症から1-3週間後。成人よりも小児において、視神経炎よりも頻繁に両眼性に置き、免疫に介在されたプロセスがありそうだ。しばしば網膜炎とともに、乳頭炎がコモン。典型的なMRI所見と髄液所見を呈する髄膜脳炎もあってもよい。視力の改善は通常すばらしく、無治療であってもそうである。ステロイドは回復を早めるかもしれないし、早めないかもしれない。しかし、この治療は両側性の重症の視力障害では考慮することはもっともだ。急性散在性脳脊髄炎の不完全型と考えるものもいる。
ワクチンの副反応として起きる視神経炎は多くの症例報告があるが、症例対照試験はワクチンと視神経炎やその他の脱髄疾患との関連を確認していない。両側性の視神経炎はGuillain-Barré症候群でも起きる。この病気では乳頭炎がコモン。マイコプラズマ肺炎の先行感染とGBSの治療後の回復がよく報告されている
 
Sarcoidosis — 神経症はサルコイドーシスの約5%に置き、初発症状かもしれない。臨床所見は視神経炎と同様。両側性の視神経症24-64%報告されている。視神経乳頭は結節状の様相で、肉芽腫様の浸潤を呈するかもしれない。MRIは異常信号を検出し、全体、または結節状、または髄膜性のGd造影を伴う神経の肥厚を検出するかもしれない。MRIでその他の脳実質病変とより広範な髄膜炎がみられるかもしれない。ステロイド治療後に視力はしばしば回復するが、永続的な視力障害を呈する患者もいる。短期間のステロイド治療後に視力障害が再発することはこの疾患の特徴である。
 
Chronic relapsing inflammatory optic neuropathy — 慢性再発性炎症性視神経症CRION)は稀な再発性の自己免疫性の視神経炎であり、ほかに既知の全身疾患が見つからないもの;これらの患者はサルコイドーシス、SLEMSNMOやその他の原因を有さない。初診時の臨床所見は視神経炎であり、MRIで検出される視神経の造影硬化を含む。視神経炎の患者とは対照的に、CRIONの患者はAZPMTX+CZP群、CYIVIgのようなステロイド・スペアリングの薬剤のような慢性の免疫抑制療法を要する。診断的なワークアップはその他の全身性、代謝性、中毒性、傍悪性腫瘍性の視神経症の原因を除外することであり、NMO-IgGを含む。
 
Systemic autoimmune disease — 視神経炎はその他の全身性炎症性疾患や膠原病の稀な症状であり、通常診断が確定している時に起きる。視神経症の発症機序と臨床所見は疾患によって様々。いくつかのケースでは視神経炎は全身性疾患の初発症状というよりはむしろ自己免疫性疾患と同時発症するかもしれない。
●SLE。視神経炎はSLE患者の1%に起き、原因は血管炎でも抗リン脂質抗体症候群による血栓症でもよい。
●Sjögren症候群(SS)。視神経炎はSSの主な症状であることがある。8年間にわたる82例の後ろ向き研究では16%が視神経炎を有した。
ウェゲナー肉芽腫症。鼻腔・副鼻腔の炎症の伸展によって視神経炎を起こしうる。通常その他の眼窩の所見を伴う。
ベーチェット病。重症の髄膜炎を起こすにもかかわらず、この病気で視神経炎は稀。
●Inflammatory bowel disease. 炎症性腸疾患では予測よりも多い頻度で視神経炎が起き、自己免疫疾患の合併を反映するかもしれない。
 
Paraneoplastic disease — Paraneoplasticな視神経炎が少数報告されている。通常Paraneoplasticな小細胞肺癌に合併する脳脊髄枝や網膜炎を伴って。
 
Compressive optic neuropathies — この病態の分類では徐々に視神経障害が出現することが多い。加除な腫瘍の増大に伴うことが予測されるように。しかしながら、急性になることもある。痛みは様々。脳と眼窩のMRIは閉塞性視神経症を確認したり除外するであろう。ステロイドは網膜の浮腫を減らすため早期の視力回復をもたらすかもしれない。そのため、根底にある原因をMisleadingするかもしれない。
Neoplasia — 
Others — 
特発性の頭蓋内圧亢進症や偽脳腫瘍が両側性の視神経症を来すかもしれない。患者は通常頭痛を呈し、時々水平性の複視を合併する。視力障害は緩徐に進行性であるが、急性になることもある。眼底は乳頭浮腫を呈する。視野欠損は盲点の拡大and/or全身性の視野狭窄で特徴付けられる。治療されないと失明するかもしれない。
 
Genetic causes — 二つのよくある遺伝性の原因がある。Leber遺伝性視神経症Kjer's disease
Leber's hereditary optic neuropathy — 
Kjer type autosomal dominant optic atrophy —