リウマチ膠原病のQ&A

日常診療で出会ったギモンに取り組んでいきます!

Cogan症候群②

Cogan's syndromeについて勉強しています。

Results
 

Table 1
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Ocular manifestations.
定義によってTypical CS17例全例がIKを有し、16例が両側性。IK13例で単独でおき、そのうち3例で結膜炎、2例で表層性角膜炎を合併した。Atypical CSで、眼の症状は15例中14例で両側性: 6例がIKを呈し、1例が単独、5例が結膜炎、ぶどう膜炎、上強膜炎または緑内障を合併した。残り9例のうち、7例がぶどう膜炎を呈し、合併症として、結膜炎2例、表層性角膜炎2例、デスメ膜炎1例があった;残り2例は結膜炎を伴った表層性角膜炎。
 
Audiovestibular manifestations
二群において、聴力前庭症状は典型的であり、回転性めまい、耳鳴り、運動失調、嘔気・嘔吐のような様々な症状を伴って急に起きる前庭症状であった;これらはしばしば数日以内に治まるが、後に様々な重症度の進行性聴力障害が出現した。聴力前庭症状のないケースがAtypicalの1例のみ (pt 32)Typical群では、眼と聴力前庭症状との遅れは定義上、2年未満とされた。しかし、ほとんどのケースにおいて二つの症状は近い間隔で発症し、5例は同時だった (平均2ヶ月, 中央値4週間, 範囲0–12 ヶ月)Atypical群では眼と聴力前庭症状の平均の間隔は27.1ヶ月(中央値 4 週間, 範囲0–15)

Table 2
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Systemic manifestations (Table 2)
私達の32例のうち25 (78%) (12 typical13 atypical)が発症して2ヶ月以内に全身症状を起こした。それらは65種類あり、9グループに分けた:
1. 全身症状 (10: 6, 4)として、発熱、倦怠感、体重減少。
2. 筋骨格症状 (15: 8, 7)。関節痛、筋痛、関節炎を4例に認めた。
3. 心血管症状 (8: 6, 2)。大動脈炎4例は大動脈不全3例、腸骨・冠動脈・腎動脈狭窄2例)、心膜炎(2例)、レイノー現象(1例)。
4. 消化管症状 (10: 4, 6)。腹痛(5), 脾腫(2), 肝炎(2), 食道炎(1)脂肪肝(1).
5. 神経症 (12例: typical 5atypical7)。頭痛6例、リンパ球性髄膜炎 (7), 脳炎2, 末梢神経障害4例(多発性単神経炎3例、組織学的証明のある血管炎2例、顔面神経麻痺1例)
6. 皮膚粘膜所見または軟骨炎 (7:2 typical,5 atypical)。皮疹 (3)、血管炎の組織学的所見がある皮疹2例、日光過敏症(1)、回転性めまい(1)、口腔潰瘍(2)、軟骨炎(2)
7. 泌尿器科系の症状。atpical1例が睾丸炎を伴うLapeyronie’s disease
8. 腎障害。atypical1例が膜性増殖性腎炎を呈し1年後に末期腎不全に至った。
9. リンパ節腫脹。atypical1例。
 
後に5例が新たな全身症状を伴った (2 typical, 3 atypical): 手術を要する大動脈瘤 (CS診断の3年後), 大動脈炎, 頸動脈・鎖骨下動脈狭窄 (1例でCS診断から6ヶ月後), monoclonal gammopathyを伴いネフローゼで発症した腎アミロイドーシス (1例で12年後), 多発性軟骨炎(1例で2年後)、sarcoidosis(1例で2年後)1980年のHaynesらのレビューから私達のシリーズにおいて、CSは様々な全身症状に関連していた。眼と耳に限局していたのはtypical17/52 (33%)atypical7/59 (12%) (P<0.01)typicalatypicalの臨床所見の分布を比較したところ、atypicalは有意に筋骨格と神経症状とリンパ節腫脹が多かった (Table 2)
 
Laboratory investigations
4例を除く全例で診断時にESRが上昇した(>15 mm/h)。平均ESR2群において65mm/h (範囲 4–120mm/h)。ほとんどの患者が発症時に広範な感染症の検索を行った。梅毒感染の血清学的所見を呈した者はいなかった。血液培養は陰性であった。全例に行ったわけではないが、血清学は1例を除く全例で、様々な微生物に関して陰性であった(略)1例は最近のクラミジア感染の血清学検査が陽性であった。2(pts 7,21)は抗蝸牛抗体の検査を受け1例が陽性、もう1例は陰性。2例は中等度のANA 1/160を有した。一方、その他のANAは陰性か低値陽性。16例中2(pts 11, 24)が循環する抗凝固抗体を有し、検査が行われた6例中1 (pt 9)が陽性。ANCAの検査を行った20例のうち1例が陽性で、40倍という低値陽性であったが(pt 8p-ANCApatient 15c-ANCAを有した)ELISAで抗原特異性の検査は行われなかった。リウマトイド因子は29例中1例で陽性(pt 8)。クリオグロブリン血症を有したのは24例中2 (pts 8, 9)

 
Treatment and outcome (Table 3)
・平均フォロー期間は7.3 (範囲1ヶ月-50)3例がフォロー中に死亡し、1例が腎腫瘍 (pt 4)1例が CSによる大動脈炎に合併した大動脈瘤破裂(pt 6), 残りの1例がアミロイドーシス (pt 19)IBD1例が直腸癌になった。
21例が眼疾患の1回再発し、11 (typical 3, atypical 8)は再発を繰り返した。
・フォロー終了時に9(4, 5)は有意な視力障害に至った。25例が聴力前庭症状の再発を1回、7例(4, 3)が1-13年後に再発を繰り返した。フォロー終了時、11例(6, 5)が聴力障害者となり19例(10, 9)が有意な聴力低下を来した 10 (5, 5)が補聴器で改善し2例が蝸牛インプラントを行った。2例のみ(1,1)は聴力障害は全くなし。Haynesらのレビュー~私達のシリーズを含んだ111例のうちtypical 28/52 (54%)atypical 22/59 (37%)が両耳の聴力障害者となった。経過中、合併症をatypical4例に認めた(IBD、血小板減少性紫斑、HLA-B27陽性の脊椎関節炎、sarcoidosisを各1例)。1 (pt 30)を除く全例ステロイドで治療;PSN0.5 - 2.0 mg/kgを経口投与した。18例は最初に高用量のmPSL静注を1-5日投与した。17例ではステロイド治療は眼科的症状、全身症状をコントロールしたが、ステロイド治療で聴力が改善したのは4 (pts 3, 4, 18, 22)のみ。残りの15例(6, 9)では効果が不十分か高用量PSNに依存したため、追加の治療、通常免疫抑制剤を要したが改善は稀であった。様々な薬剤が処方され、シクロフォスファミド10(2例、免疫グロブリン療法と併用された1例で成功した), AZA 6, cyclosporin 3, MTX 6(成功は2), mercaptopurine 1, chlorambucil 1, disulone 2例。

 
Scenariocaseの経過>
間質性角膜炎ではなかったが、強膜炎と内耳障害が同時期に発症していた。肝障害もCSで報告例を確認できたため、Atypical CSと判断した。病状説明とステロイドについてICを行った。