リウマチ膠原病のQ&A

日常診療で出会ったギモンに取り組んでいきます!

COVID-19の管理

<臨床的疑いと検査基準>

●COVID-19の可能性はまず発熱と呼吸器症状(咳、息切れ)を有する患者で考慮されるべき。原因が定かでない、重症の下気道症状を有する場合にも考慮されるべし。これらの症候群ではその他のウイルス性呼吸器疾患でも起きうるが、以下の場合、COVID-19の尤度が高い。

 

ー SARS-CoV-2の流行地域に14日内に旅行をした者、あるいは居住していた者。

 

ー COVID-19の確定例や疑い例との濃厚接触が14日以内にあった者。医療施設で働いた者も含め。濃厚接触とは、personal protective equipment (PPE)をつけずに長時間、あるいはPPEを付けずに約2m以内にいた事、PPEを付けずに感染分泌物に直接触れた事

 

●緊急にケアを要さないCOVID-19の疑いの患者は医療施設を受診する前に電話するよう説明をすべき。多くの患者は電話で検査の必要性を評価できる。医療施設の患者にとっては感染コントロールの方法はCOVID-19の可能性が疑われる場合すぐに行われるべき。

 

●診断は培養検査がない場合確定することはできないが、capacityの問題で全ての疑い例を検査することは不可能。USではCDCとIDSAが検査の優先順位を提案した。優先すべきは入院患者(とくに原因不明の重症患者)、有症状の医療者、重症疾患の可能性のある有症状患者。

 

●USではCDCが鼻咽頭スワブ標本をSARS-CoV-2の検査のために推奨する。口腔咽頭スワブは収集できるが、本質的ではない。もし収集できれば鼻咽頭の材料として同じ容器に入れられるべきだ。口腔咽頭、中鼻甲介または鼻のスワブは鼻咽頭スワブが得られない有症状の患者には容認できる。

 

●湿性咳嗽のある患者では喀出痰を採取すべき。ただし喀痰の誘発は推奨されない。挿管されている患者では下気道の吸引物やBALは考慮されるべき。他の情報はCDC websiteを参照。

 

SARS-CoV-2 RNAはreverse-transcription PCRで検出される。USではCDCで、公衆衛生科、病院で行われる。

 

SARS-CoV-2の陽性結果はCOVID-19の診断を確定する。ただし偽陽性はありえる。

 

●上気道の材料で偽陰性となることが報告されている。最初の検査が陰性で、COVID-19の可能性が残る場合、感染コントロールが重要な場合、私たちは検査を繰り返している。WHOはこのようなケースでは可能であれば下気道の材料で検査することも勧めている。繰り返しの検査が行われている間はCOVID19の感染コントロールは継続すべきである。

 

SARS-CoV-2の検査の正確さ、的中率は系統的に評価されていない。検査の感度はとれた材料の種類はもちろん、正確に検査が行われたかによるため。胸部CTでウイルス性肺炎が疑わしいのにもかかわらず口腔咽頭スワブRT-PCR検査が陰性であったというパターンがSARS-CoV-2が最終的に陽性となった何人かの患者で報告されている。

 

●下気道の材料はウイルス量がより多く、上気道の材料よりも陽性結果が得られやすい。様々な場所から採取された205例のCOVID19の患者の研究においてウイルスRNA検査が最も陽性率が高かったのはBAL(95%、14/15)、喀痰(72%、72/104)、咽頭口腔スワブ(32%、126/398)であった。この研究のデータはウイルスRNA量は口腔材料に比べ鼻で検出された材料の方が高かったことを示唆した。鼻腔からは8例だけしか検査されなかったが。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32159775

 

●一般に入手可能となり次第、十分に評価され次第、血清学的検査はPCR検査が陰性でも、現在または過去に感染した患者を同定することができる。臨床的、画像的、疫学的にCOVID-19が疑われたが、SARS-CoV-2 PCR検査が陰性であった58例の研究においてIgM ELISAは93%で陽性であった(そしてCOVID-19のアウトブレイクより前に採取された血漿材料では陰性であった)。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32198501

 

USでは血清学的検査は中等度・高度の検査を行う実験室の使用についてFDAで認可された。

 

<マネージメント>

●軽症例(呼吸困難のない発熱、咳and/or筋痛)または無症状の感染患者で、外来セッティングで十分検出することができる。このような患者の管理は他人への拡散の予防と入院を要するような臨床的悪化のモニタリングにフォーカスを置くべき。入院を要する患者の管理は適切な感染コントロールと対症療法である(酸素、ARDSに対する人工呼吸器)。

 

<予防>

●医療施設・・・医療施設に入る際のCOVID-19の臨床所見のスクリーニングは感染コントロール予防を追加しないといけない人を同定するのに役立つ。これは施設に入る前に電話越しでなされうる。ルーチンの訪問はこれらの症状のある患者のために遅らせるべき;もし医療ケアが必要な場合はフェースカバーをすることを助言すべき。呼吸器症状を有する患者のために隔離された待合エリアを作るべきである。可能であれば通常の待合から6フィート離れて。

 

●流行地域では全ての選択的な処置や緊急でない受診、バーチャル訪問(ビデオなど)が医療施設での曝露リスクを減らす有効な手段になるかもしれない。

 

●CDCは長期療養施設のようないくつかの環境で未診断の呼吸器感染の全ての患者にたいして目の保護に加えて標準プリコーション、接触プリコーション、飛沫プリコーションを推奨している。いくつかの施設では医療マスクをすべての臨床セッティングに着用することを施設の方針としている。これらの方針は疑われていないウイルスキャリアからの感染リスクを減らすかもしれない。

 

●コミュニティーで疑いのある個人は受診の前に呼吸器分泌をカバーするフェイスカバーを着用するようアドバイスすべき。

 

●医療施設における感染者または歌会社における感染コントロールはWHOとCDCが少し異なる推奨を行っている。

 

ー WHOの推奨は標準プリコーション、接触・飛沫プリコーション(例、ガウン、グローブ、医療マスク)、目または顔の予防。空気予防策(例,respirator)はエアロゾル発生装置の場合に推奨される。

 

ー CDCはCOVID-19の疑いまたは確定の患者をドアと専用のバスルームがついた一つの部屋に滞在させるよう推奨する。陰圧個室のような空気感染用個室は、エアロゾルを発生させる処置を行う際に温存しておくべき。しかし、疑いまたは確定例は陽圧個室にはいさせるべきでない。

 

●疑いor感染者がいる部屋に入る全ての人は適切なpersonal protective equipment (PPE):ガウン、グローブ、目の保護、respirator(N95 respiratorなど)を着用すべし。もしこれらの供給が限られているのであれば医療マスクが容認される選択肢となる(接触プリコーション、目の保護に加え)。しかしrespiratorsはエアロゾル発生の処置の間は着用すべき。

 

エアロゾル発生処置には挿管、抜管、非侵襲的な換気、挿管までの用手呼吸、気管支鏡、high-flow酸素の導入またはネブライザー投薬、気管切開、心肺蘇生、上部の内視鏡が含まれる。CDCは鼻咽頭または口腔咽頭の採取を隔離が必要なエアロゾル発生処置とは考えていないが、密閉した個室で行うべきであり、部屋にいる人はrespiratorを装着すべきだ。

 

●医療者はcontaminationを避けるためPPEの適切な着脱を心がけるべき。疑いor感染者は部屋から移送される時(検査のため等)は医療マスクをつけるべき。SARS-CoV-2の伝染を防ぐための医療マスクの効果は分かっていない。ある研究ではサージカルマスクの着用は季節性コロナウイルスの感染者の呼気からウイルスRNAの検出を防いだ。

 

SARS-CoV-2の拡散を防ぐために感染コントロールで重要な事はいくつかの研究で証明されている。COVID-19の138例の中国からの研究において、院内感染は43%に及んだ。ワシントン州では感染コントロール処置の次善的な使用によって感染は入院患者81例、スタッフ34例、訪問者14例であった。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32031570

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32214083

 

●COVID-19曝露のリスクがある医療者のためCDCはguidelines for work restriction and monitoringを提供した。そのアプローチは曝露の期間と患者の症状、患者の医療マスク着用の有無、医療者のPPEのタイプ、エアロゾル発生処置の有無による。いくつかの地方の施設は医療従事者が曝露から14日間、咳や手指衛生に注意をし、医療マスクを着用していた場合、曝露後に職場に戻ることを許可している。そして毎日呼吸器症状と発熱をモニターし、急速な個人の隔離をするように注意をした場合。

 

<PPE不足に対する対策>

●PPEの不足は世界中で、疑いor確定例の医療ケアを難しくする。USではCDCが施設のPPEのcapacityを脅かす患者の増加があった時のためにPPE供給の適切化に関するguidanceを提供する。

 

●PPEの再利用のための汚染除去にも興味があるところだ。とくにN95 respirators。CDCは供給が難しくなった時の3つの方法を強調した。

 

ー 紫外線・・・UVによる汚染除去はH1N1インフルエンザのpandemicで評価された;実験的なモデルにおいて、UV照射はrespiratorの機能を脅かす閾値よりも低い線量でN95 respirator表面のH1N1 influenzaの生存を減らした。コロナウイルスもUVshousha de不活化するが、SARS-CoV-2の比較的な研究は行われていないし、ウイルスを不活化するための線量も分かっていない。Nebraska medicineは表面のsingle-stranded RNAウイルスの不活化に要する線量に基づいて、COVID-19 pandemicにおけるN95 respiratorのUV照射のプロトコールを実行した。

 

ー Hydrogen peroxide vapor・・・過酸化水素ガスは環境表面におけるnon-coronavirusのsingle-stranded RNA virusesを不活化することが観察されている。Duke大学の医療システムは過酸化水素ガスを用いた組織内のプロトコールを作成した。ある地域では過酸化水素ガスを用いた大規模な汚染除去プランが行われている(例えば毎日1万のrespirators)

 

ー 温式加熱がN95マスクの表面のH1N1 influenzaの濃度を減らすことが分かっている。この研究では底部に1 Lの水道水を入れ、水の上に乾燥した水平ラックを入れた容器を準備して、温式加熱が行われた;容器を密封し、オーブンで65°Cに少なくとも3時間温めた;次に、それを開け、レスピレーターをラックに置き、容器を再び密封してオーブンに戻し、さらに30分間置いた。H1N1 influenzaの感染性は見られなかった;いくつかの研究では、60°C、30-60分でSARS-CoVの不活化が観察されている。

 

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COVID-19のオーバービュー

https://oiwarheumatology.hatenablog.com/entry/2020/04/19/222005

 

COVID-19の潜伏期

https://oiwarheumatology.hatenablog.com/entry/2020/04/10/232500

 

COVID-19の重症化・死亡のリスク

https://oiwarheumatology.hatenablog.com/entry/2020/04/19/135836

 

COVID-19の臨床所見

https://oiwarheumatology.hatenablog.com/entry/2020/04/19/141511

 

COVID-19の画像所見

https://oiwarheumatology.hatenablog.com/entry/2020/04/19/142538

 

COVID-19の無症候性キャリア

https://oiwarheumatology.hatenablog.com/entry/2020/04/19/144436