リウマチ膠原病のQ&A

日常診療で出会ったギモンに取り組んでいきます!

COVID-19の重症化・死亡のリスク

<疾患の重症度>

●症状は軽症から重症まで様々。とくに約44500例の中国CDCの報告では

・軽症で肺炎なし or わずかは81%、

・重症 (呼吸困難、低酸素、24-48hで肺の50%に及ぶ)は14%

・critical (呼吸不全、ショック、多臓器不全)が5%

 

※全体的な死亡は2.3%。noncriticalで死亡は報告なし。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32091533

 

●WHO-China合同のfact-finding missionによると、症例死亡率はWuhanで5.8%、他の中国の地域で0.7%。モデルとなる研究において調整症例死亡率は中国本土で1.4%

 

●重症あるいは致死的な感染の割合は地域によって様々。例えばイタリアではCOVID-19全例の12%、入院患者の16%がICUに入った;推定症例死亡率は3月半ばで7.2%。反対に韓国では3月半ばで0.9%であった。これは感染の患者背景の違いに関連しているかもしれない。すなわち、イタリアでは中央値64歳、韓国では40歳台であった。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32167538

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32203977

https://www.cdc.go.kr/board/board.es?mid=a30402000000&bid=0030

 

<重症化の危険因子>

●重症の病気は健常人にも起きるが、主には高齢者や基礎疾患のある成人に起きるかもしれない。報告された重症に関連する併存疾患は

・心血管疾患

・糖尿病

・高血圧

・慢性肺疾患

・がん

・CKD

 

US-CDCも免疫不全、高度肥満(BMI)≧40、肝疾患を重症の可能性のある危険因子に含めた。

 

●高齢者と基礎疾患を有する患者はしばしば重症化する。例えばSARS-CoV-2のアウトブレイクワシントン州のいくつかの長期療養施設で起きた。入居者101例の年齢は中央値83歳、94%が慢性の基礎疾患を有した。入院は55%、暫定的な死亡率は34%

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32220208

 

●中国とイタリアでは男性が死亡しやすかった。

 

●特定のラボ・データが予後不良に関連する;リンパ球減少、肝障害、LDHCRP、フェリチン、DD (>1 mcg/mL)、PT延長、トロポニン、CPK、AKI

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32171076

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32167524

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32211816

 

●ある研究では進行性のリンパ球減少とD-dimerの上昇は死亡者に見られた。生存者ではより安定していた。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32031570

 

<年齢のインパクト>

●任意の年齢がSARS-CoV-2に罹患しうるが、中年以上は最もコモンに侵され、高齢者は重症になりやすい。

 

●COVID-19確定の入院患者のいくつかのコホートにおいて、年齢の中央値は49-56歳。約44,500例を含む中国CDCでは、87%が30-79歳。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32091533

 

●同様に中国本土からのデータに基づくモデリング研究ではCOVID-19の入院率は年齢とともに上昇し、20-29歳で1%、50-59%で4%、>80歳で18%。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32240634

 

●高齢は死亡率にも関連する。中国CDCの報告では症例死亡率は70-79歳で8%、80歳以上で15%。全体コホートの2.3%と対照的だ。同様の所見はイタリアからも報告されており、症例死亡率は70-79歳で12%、80歳以上で20%。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32091533

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32203977

 

●USでは2/12-3/16にCOVID-19と診断された2449例の年齢、入院、ICU情報が入手できる;67%が45歳以上で、中国と同様。死亡率は高齢者で多く65歳以上で80%。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32214079

 

●子供では有症状の感染は稀;もし起きれば通常軽症。重症例の報告もあるが。

 

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COVID-19のオーバービュー

https://oiwarheumatology.hatenablog.com/entry/2020/04/19/222005

 

COVID-19の潜伏期

https://oiwarheumatology.hatenablog.com/entry/2020/04/10/232500

 

 

COVID-19の臨床所見

https://oiwarheumatology.hatenablog.com/entry/2020/04/19/141511

 

COVID-19の画像所見

https://oiwarheumatology.hatenablog.com/entry/2020/04/19/142538

 

COVID-19の無症候性キャリア

https://oiwarheumatology.hatenablog.com/entry/2020/04/19/144436

 

COVID-19の管理

https://oiwarheumatology.hatenablog.com/entry/2020/04/19/214838