●胸部X線は早期には正常、あるいは軽度の陰影であるかもしれない。香港からの64例に関する後ろ向き研究で、20%が経過中、一度も胸部X線異常を有さなかった。よくある異常は浸潤影とすりガラス状陰影(GGO)で、両側性で末梢有意、下葉有意の分布;肺病変は疾患の進行に伴って増加し、発症後10-12日後に最も重症となる。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32216717
●胸部CTはX線より感度が高いようであり、またCOVID-19に特徴的なCT所見もあるかもしれないが、完全にCOVID-19と診断したり、除外できる所見はない。USでAmerican college of radiologyはCOVID-19のスクリーニングや診断の目的で胸部CTを行わないよう推奨しており、入院患者で管理を要する者に温存するよう勧めている。CTが行われれば、Radiological society of north americaがCOVID19として典型的、中間、非典型的に分類することを推奨した。
●COVID-19患者の胸部CTはGGOが最も特徴的であり、浸潤影は伴ったり伴わなかったりする。これらはウイルス性肺炎に矛盾しない所見である。ケースシリーズでは胸部CT異常はより両側性で、末梢有意の分布をとり、下葉を侵しやすい。より稀な所見として胸膜肥厚、胸水、リンパ節腫大がある。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32105637
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32125873
●COVID-19の評価のためにRT-PCRと胸部CTを施行したWuhanからの1014例の報告において、2人の放射線科医のコンセンサスに基づく、COVID-19のCT所見陽性はPCR検査をreferenceとした時に感度97%であった。しかし特異度は25%。特異度が低い事は同様のCT所見を呈するその他の原因に関連しているのかもしれない
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32101510
●中国からのCOVID-19の患者219例とアメリカにおけるその他の原因によるウイルス性肺炎205例を比較した別の研究によると、COVID-19のケースは以下の所見を有しやすかった;
・末梢優位(80% vs 57%)
・GGO(91% vs 22%)
・血管束肥厚(59% vs 22%)
・reverse halo sign (11 vs 1%)
・稀ながら中心かつ末梢分布(14% vs 35%)
・air bronchogram (14% vs 23%)
・胸膜肥厚(15% vs 33%)
・胸水(4% vs 39%)
・リンパ節腫大(2.7% vs 10%)
その研究の放射線科医のグループのCOVID-19の判断は高い特異性と低い感度を有した。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32155105
●重症の呼吸促拍を呈さないCOVID-19の患者21例の報告では胸部画像上の肺の異常は発症後約10日で最も重症になった。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32053470
しかし胸部CT異常は症状が出現する前で検出されることも、上気道の材料でウイルスRNAが検出される前であっても検出された。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32105637
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32049601
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COVID-19のオーバービュー
https://oiwarheumatology.hatenablog.com/entry/2020/04/19/222005
COVID-19の潜伏期
https://oiwarheumatology.hatenablog.com/entry/2020/04/10/232500
COVID-19の重症化・死亡のリスク
https://oiwarheumatology.hatenablog.com/entry/2020/04/19/135836
COVID-19の臨床所見
https://oiwarheumatology.hatenablog.com/entry/2020/04/19/141511
COVID-19の無症候性キャリア
https://oiwarheumatology.hatenablog.com/entry/2020/04/19/144436
COVID-19の管理
https://oiwarheumatology.hatenablog.com/entry/2020/04/19/214838