リウマチ膠原病のQ&A

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中華レストランで起きたCOVID-19アウトブレイク ーエアコンの影響ー

中国のレストランのエアコンの影響によって1mを超える飛沫感染が起きたことが疑われた事例です。3密は避けられているとは思いますが、エアコンが効いた部屋での食事にも要注意!?

https://wwwnc.cdc.gov/eid/article/26/7/20-0764_article

  

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https://wwwnc.cdc.gov/eid/article/26/7/20-0764-f1

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Thumbnail of Sketch showing arrangement of restaurant tables and air conditioning airflow at site of outbreak of 2019 novel coronavirus disease, Guangzhou, China, 2020. Red circles indicate seating of future case-patients; yellow-filled red circle indicates index case-patient.

 

 

2020/1/26-2/10、COVID-19のアウトブレイクが中国Guangzhouのエアコンが共通したレストランで食事をした3家族(Families A-C)、10人に発生した。1家族はWuhanから旅行でやってきたばかりであった。私たちはこの10例を関連づける詳細な調査を行った。本研究はGuangzhouのCDCの倫理委員会に承認された。

 

2020/1/23、family AがWuhanより旅行でGuangzhouを訪れた。1/24、発端となる患者 (patient A1)が家族の3人(A2 -A4)とレストランXでランチをとった。その他の2家族BとCも同じレストランで隣のテーブルに座っていた。その後patient A1は発熱、咳を自覚し、病院を受診した。2/5までにfamily Aの4人全員、family Bの3人、family Cの2人がCOVID-19を発症した。

 

family BとCの感染患者にとって唯一確認された曝露はレストランでのpatient A1であった。私たちはウイルスがfamily Bの1人以上とfamily Cの1人以上がレストランで感染を起き、さらにBとCの家族内感染が起きたと判断した。

 

レストランXはエアコンが着いた5階建てのビルで窓がなかった。3階のダイニングエリアは145m2の広さで、各のフロアには各のエアコンが着いていた。各のテーブルの間は約1m離れていた。family AとBが一緒にいた時間は53分、family AとCが一緒にいたのは73分だった。中央のエアコンの空気の排出・回収の孔はtable Cの上に位置していた。

 

1/24、合計91人(客83人、スタッフ8人)がレストランにいた。このうち合計83例が3階の15個のテーブルでランチをとった。83人の客のうち10例がCOVID-19になった;その他に73例が濃厚接触者であり、14日間隔離された。その間、彼らに症状は出ず、SARS-CoV-2 PCR咽頭スワブは陰性。エアコンの排出・回収の孔の各3か所から採取した6つのスメアも陰性であった。

 

この研究における可能性感染ルートの解析結果より、私たちはこのアウトブレイク飛沫感染が原因であったようであると結論した。発端患者のpatient A1はランチの時には無症状であったが、発症前の感染が報告されている。family Bの潜伏期間を加味すると (appendix)、もっともありそうなシナリオはfamily Bの3人はpatient A1より直接感染したというものだ。しかし、B2とB3が、最初に発症したB1から感染したという可能性も否定できない。family Cにとって可能性のあるシナリオはC1とC2がA1から直接感染したというものだ;もうひとつの可能性としてC1が1/27に発症していたC2の介護の際に感染したということもありえる。

(appendix)

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このアウトブレイクにおけるウイルス感染は飛沫感染だけでは説明ができない。大きな呼吸飛沫(>5 μm)は空中に残るのは短期で、通常1m未満しか飛ばない。A1とその他のテーブルにいた人たち、とくにTable Cの人たちは全員1mより離れていた。しかしエアコンからの強い風は飛沫をtable Cからtable Aに、ついでtable B、そこから戻ってCに飛ばしたかもしれない。

 

小さなウイルス含有のエアロゾル化飛沫(<5 μm)は1mを超えて空中に残り移動するかもしうる。SARSとMERSのエアロゾル感染が報告されている。しかし、レストランXのスタッフやその他の食事をしていた人は感染していない。さらにエアコンのスメア材料はPCR陰性であった。この所見はエアロゾル感染を支持しない。しかしエアロゾルは空気の流れに乗りやすかったかもしれないし、より離れた場所での低濃度のエアロゾルはレストランのその他の場所で感染を起こすほどではなかったのかもしれない。

 

本研究のlimitationsとして空気感染をシミュレーションした実験的研究を行っていない事が挙げられる。またスワブで陰性の無症候性の家族メンバーと感染リスクがあったその他の食事をしていたメンバーの血清学的検査を行っていない事が挙げられる。

 

私たちはこのアウトブレイク飛沫感染がエアコンで促進されたと結論した。感染の鍵となる要素はエアコンの向きであった。とりわけpatient B3は発熱がなく、このアウトブレイクの患者の1%が無症状であり、公共におけるアウトブレイクの可能性のある感染源を提供した。COVID-19の拡散を予防するため、私たちは温度モニターの調査を強化すること、テーブルの距離を開けること、換気を改善することを推奨した。

 

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