リウマチ膠原病のQ&A

日常診療で出会ったギモンに取り組んでいきます!

日本の巨細胞性動脈炎GCA患者の観察研究

日本で稀と言われている巨細胞性動脈炎、Giant cell arteritisGCA)。

日本人のGCA患者の臨床所見の特徴をまとめてみます(ACR基準を満たすもののみ記載)

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まずは1998年の全国調査から。厚生省の班会議のお仕事ですね。人口の高齢化にともなって最近の有病率、発生率はより多いかもしれませんね。あと、当時はリウマチ科、総合診療科は少なかったですから。
(Kobayashi 2003)
 
1998年に全国調査が行われ、内科(44%)、眼科(27%)、神経内科15%)などより計66例のGCA患者が登録された。その結果、1997年の有病率は50歳以上の10万人あたり1.47人とされ、米国の200人、スペインの60人よりも少なかった。
 
・日本のGCA患者は平均平均年齢72.5歳、男女比は1:1.75であった。
 
GCAの重大合併症である視力障害、脳梗塞は発症時に各32%1.5%にみられたが、経過中に各44%12%まで増加した。
 
次いで同じ著者より、日本のGCA患者の眼症状についてまとめられています。
(Kobayashi 2003;letter)
 
・体重減少があったのは眼症状のある2/34 (5.9%)のみであり、眼症状のない12/32 (35.3%)よりも有意に少なかった(P<0.005)
 
PMRは眼症状のあった4/34 (11.8%)のみであり、眼症状のない16/32 (50.0%)よりも有意に少なかった(P<0.005)
 
・側頭部痛は眼症状のある21/34 (61.8%)であり、眼症状のない30/32 (93.8%)よりも有意に少なかった(P<0.01)
 
CRP上昇>2.0mg/dLを認めたのは眼症状のある18/34 (52.9%)であり、眼症状のない31/32(96.9%)よりも有意に少なかった(P<0.01)
 
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日本のGCA2番目に大きい観察研究ではないかと思います。静岡赤十字病院神経内科からの報告です。19例について頭痛の性状を詳細に問診されていて、勉強になります。
(Imai 2011)
 


・頭痛は17/1989.5%)に認められ、残りは耳と顎の痛みが各1例でした。頭痛の部位は側頭部(69.2%)、後頭部(10.5%)、前頭部(10.5%)の順でした。


 
・頭痛の強さは重度42.1%、中等度36.8%、軽度21.1%でした。強い頭痛が多いイメージでしたが、半分弱のようです。
 
・性状は拍動性52.6%、非拍動性47.4%、持続性が57.9%、発作性が42.1%でした。漠然と非拍動性が多いと思っていましたが、さにあらず。半数ずつです。持続性と発作性も半数ずつと覚えてよいでしょう。

・側頭動脈の異常を19/19(100%)に認め、側頭動脈生検の感度は11/14=79%と計算されます。いいですね。
 
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つぎに日本で一番大きい観察研究かと思います。九州医療センターのリウマチ科からの24です。
(Suematsu 2015)
 
・著者らは病型を3つに分け、24例の内訳はCranial9例、Large-vessel12例、全身型(Cranial+Large-vessel3例でした。表にはACR基準を満たすケースのみ記載しました。
 
・抗リン脂質抗体(抗CL、抗β2GP1抗体、LAC)を9/2438%)に検出しております。血栓症との関連はないということです。38%は偶然ではなさそうです。かくいうリウマトロジストも抗リン脂質抗体陽性のGCA2例経験しました。再燃と関係するという報告があります。
 
・側頭動脈の腫脹・圧痛を24例中10例に認めており、感度42%と計算されます。
 
・側頭動脈生検TAB12例に施行され、Cranial7例中7例、全身型の3例中3例、Large-vessel型の2例中0例で陰性でした。感度は83%と計算されます。

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最後にn=8ですが、神戸大学のリウマチ科からの報告。CDUSについてまとめられています。
(Morinobu 2008)

 ps;↓でGCAのreviewを執筆させていただきました!


 

 

以下でEGPAのreviewを執筆をさせていただきました!