リウマチ膠原病のQ&A

日常診療で出会ったギモンに取り組んでいきます!

EULAR recommendations for LVV 2018(大型血管炎のEULAR推奨2018)

2018 Update of the EULAR recommendations for the
management of large vessel vasculitis

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31270110

Ann Rheum Dis  2020 Jan;79(1):19→2018年の推奨ですが、論文は2020ですね。

 

大型血管炎(巨細胞性動脈炎、高安動脈炎)のEULAR recommendationsが発表されました。トシリズマブ、Tocilizumabが躍進をした画期的なRecommendationになったと思います。

 

Table 3

EULAR recommendations for the management of LVV - 2018 update

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LoEは各推奨の異なるパートごとに決められた(*または§のように参照されている)。level of agreementは0-10のスケールで計算された。
FVは最終投票の結果で、その推奨に同意をしたexpert panel membersの割合%

 

 

 

包括的指針

A. LVVの患者は、効果・安全性・コストを考慮した、患者とリウマトロジストの間で共有された意思決定に基づいて、ベストのケアを受けるべきだ。

 

B. 患者はLVVの影響、その危険な症状と治療(治療関連の合併症も含めて)にフォーカスを当てた教育へのアクセスを持つべき。

 

C. LVVの患者は治療に関連した合併症、心血管系の合併症のスクリーニングを受けるべき。私たちは心血管系リスクと治療関連合併症を減らすための予防療法と生活習慣のアドバイスを勧める。

 

Recommendations

1.GCAを疑う全ての患者はさらなる多方面的なworkupと管理のため専門医チームに緊急で紹介されるべきだ。

 

2.TAKを疑う所見と症状を呈する全ての患者はさらなる多方面的なworkupと管理のため専門医チームに紹介されるべきだ。

 

3.LVVの疑いとは画像検査(側頭動脈またはその他の頭蓋動脈のための超音波*またはMRI§、大動脈・頭蓋外の動脈#のための超音波、CT、PET-CTまたはMRI)あるいは組織検査(側頭動脈生検*)に基づくべき。

 

4.活動性のGCA& or TAK+の寛解導入のために高用量ステロイド療法(40–60 mg/day prednisone-equivalent)を 速やかに開始すべき。一旦疾患がコントロールされれば、私たちはステロイドの投与量を2-3ヶ月で15–20 mg/日、そして1年後にGCAでは≤5 mg/、TAKでは≤10 mg/に減量することを推奨する。

 

5.tocilizumab**を用いた、追加的な治療は難治性または再発性のGCAステロイドの副作用・合併症のリスクが高い、一部の患者に使用すべき。MethotrexateはTocilizumabの代替療法としてもよい§§

 

6.生物学的製剤でない疾患修復の薬をTAKの患者全てにステロイドとともに投与すべき。TocilizumabやTNF阻害薬は従来型抗リウマチ薬#に抵抗性の難治性または再発性の患者に考慮してもよい。

 

7.メジャーな再発を起こした場合(虚血性の所見または症状、あるいは進行性の血管の炎症)、私たちは新規発症で推奨される程度のステロイドの再投与または増量を推奨する。## マイナーな再発では、私たちは少なくとも最後に有効であったステロイドの投与量*に増量することを推奨する。追加的な治療の開始または変更はとくに再発性の疾患が再発した後に考慮すべき&&

 

8.抗血小板剤や抗凝固療法はLVVの治療のためにルーチンで使用されるべきではない。その他の理由がない限り(例、冠動脈疾患、脳血管疾患etc)。血管の虚血性合併症や心血管系のハイリスクのような特別な状況では、ひょっとすると個々のケースに応じてこれらの治療を考慮してもよいかもしれない。

 

9.LVVにおいて選択的血管内インターベンションや血管形成術は疾患が寛解している時相で行われるべき。しかし動脈の解離やcriticalな血管虚血は血管チームに早期に紹介しなければならない。

 

10.LVV患者において定期的なフォローアップと疾患活動性のモニタリングが推奨される。まずは症状と所見、ESR/CRPの値に基づいて。

 

 

Figure 1.

The 2018 EULAR algorithm for pharmacological treatment of GCA

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1臨床診断は画像か生検で行う;2急性の視力障碍、一過性黒内障;3または最後の有効投与量よりも5-15mg/day多い量;4治療ターゲットは持続寛解(活動性GCAの臨床所見、症状がなく炎症反応陰性) plus 再発なく個々のターゲットにステロイドを減量できること;5see table 2; 6推奨される投与量は162㎎;7推奨される最小量は15㎎;8ここに応じて決定すること(エビデンス)はない;9GCAの眼症状を有する患者ではPrednisone 60mg/dayでステロイド開始をすることを考慮。

 

<リウマトロジストのコメント>

やはり推奨8

「抗血小板剤や抗凝固療法はLVVの治療のためにルーチンで使用されるべきではない(その他の理由がない限り)」

の根拠が知りたいので、もう少し勉強しておきます。

よほどの根拠がないかぎり、プラクティスは変えたくないので。

 

GCAにおけるアスピリンの是非(EULAR推奨2018)

https://oiwarheumatology.hatenablog.com/entry/2020/05/18/082708

 

※ ↓ご参考までに 

 
GCAの治療
 

 

 ps;↓でGCAのreviewを執筆させていただきました!