リウマチ膠原病のQ&A

日常診療で出会ったギモンに取り組んでいきます!

ベンリスタ皮下注射200㎎オートインジェクター(200mg/週)の効果と安全性①

belimumab、ベリムマブの有効性と安全性について勉強します。リウマトロジストの施設では、ベンリスタ皮下注射200㎎オートインジェクターが採用されており、この投与法(200mg/週)に基づいたRCTを読んでいきます。

 

Pubmedでbelimumab lupusを検索し、RCTでlimitsします。29件のうちsubcutaneous belimumabを検証した2つのRCTをチェックしました。最初のStohl 2017@ARはSLE全般を対象としたRCTですが、Doria 2018@ARはそのサブ解析(抗dsDNA+低補体血症を有する症例のみを対象)のようです。

 

 

Efficacy and Safety of Subcutaneous Belimumab in Systemic Lupus Erythematosus: A Fifty‐Two–Week Randomized, Double‐Blind, Placebo‐Controlled Study

Stohl W, et al. Arthritis Rheumatol. 2017 May;69(5):1016-1027

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28118533/

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/pdf/10.1002/art.40049

 

Efficacy and Safety of Subcutaneous Belimumab in Anti-Double-Stranded DNA-Positive, Hypocomplementemic Patients With Systemic Lupus Erythematosus

Doria A, et al. Arthritis Rheumatol. 2018 Aug;70(8):1256-1264.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29671280/

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/pdf/10.1002/art.40511

 

まずはStohl 2017@ARから

 

Abstract

Objective: SLE患者におけるSC belimumabの効果と安全性を評価すること

 

Methods: 中等度―重症SLE患者(SELENA-SLEDAI≧8点)が2:1で52wkのSC belimumab 200mg/wまたはplacebo(シリンジにあらかじめ仕込まれた)に無作為に割り付けられた。SLEの標準治療を継続した上で。

 

Results: ランダム割り付けされた839例中のうち836例(belimumab群 556 vs placebo群 280)が治療を受けた。計159例が研究終了までに脱落した。登録時、平均SELENA-SLEDAIスコアはbelimumabで10.5、placebo10.3。belimumab投与の患者の方がplaceboに比べより多くSRI-4 responderとなった(61.4% vs 48.4%; OR 1.68 (95%CI 1.25-2.25; P = 0.0006)。belimumab群では重症再発までの時間、重症再発のリスクともに改善され (中央値 171.0 日 vs 118.0 日; hazard ratio 0.51 [95% CI 0.35-0.74]; P = 0.0004)、より多くの患者がweeks 40-52の間、ステロイド量を≥25% でかつ ≤7.5 mg/dayに減量できた (18.2% vs. 11.9%; OR 1.65 [95% CI 0.95-2.84]; P = 0.0732)。有害事象AEsの発生率は同等; 重症AEsはbelimumab群で10.8%、placebo群で15.7%。grade2以上のIgG hypoglobulinemiaはbelimumab群で0.9%、placebo群で1.4%。

 

Conclusion:中等度―重症SLEの患者において標準治療に加えたSC belimumab 200mg/wはplaceboに比べSRI4 responseを有意に改善し、重症再発を減らした。SLEの標準治療に加えても、安全性プロフィールは同等であった。

 

 

#批判的吟味をしながら読んでいきます。チェックすべきポイントに下線を引いております。

 

 

Patients and Methods

研究デザイン

・2011/11-2015/11に行われた国際的な二重盲検RCT

 

18歳以上のACR基準に基づいて診断されたANA and/or 抗dsDNA抗体を有する患者で、スクリーニング時にSELENA-SLEDA≥I8点を有する事とした。尿蛋白>6g/24hかそれに相当するUPCR、または血清Cr >2.5 mg/dLで定義される重症のループス腎炎、重症CNS lupusは除外された。

患者は2:1でbelimumab 200mg/w or placeboに無作為割り付けを受け、SLEの標準治療に上乗せされた。(#Randomizationの方法は不明)

RandomizationはSELENA-SLEDAI score(≦9点vs≧10点)、補体レベル(low C3 and/or C4の有無)、人種(黒人vs黒人以外)に層別化された。

・登録前までの30日間SLEの治療は同じでなければならなかった。

・背景のSLE治療には制限があり、プロトコール違反の投薬や投与量を受けた患者は治療失敗とみなされ、その日から52wkまでnon responderとみなされた(#Non-responder imputationのこと;ここは良心的ですね)。

 

Endpoints and assessments

primary end pointはweek 52のSRI4 response。SRI4の定義はSELENA-SLEDAI scoreで≧4点の減少、physician’s global assessment(0-10cmのVASでbaselineから<0.3の増加#0-3のメモリなので10㎝なら1㎝分に相当するかと)、52週時にbaselineに比べBILAGのA臓器ドメインスコアor2つの新しいB臓器ドメインスコアがないこと。

 

・sensitivity analysesにおいて、52wk時のprimary end point はthe completer and per-protocol populationsにおいても繰り返された(#ITT populationだけではなく)。

 

・primary end pointを支持するend pointには受診によるSRI4、受診によるSRI4構成成分、受診によるSRI5-8も含まれた。SRI5–8の定義はSRI4と同じでSELENA–SLEDAI score の低下5–8 pointsのこと。

 

・最初のSRI4に到達するまでの期間も52wkまでは評価された。SRI4 responseとbaselineからのSELENA–SLEDAI score(抗dsDNAと低補体血症を除く)の変化はpost hocで解析された。

 

・Key secondary end points は重症再発までの期間 (the SLE flare indexのうちSELENA–SLEDAI score >12の増加の項目を除外したもので定義#)、ステロイドの減量 (baselineでステロイド量が>7.5 mg/day の患者のうちweeks 40–52の期間、baselineから平均で25%以上の減量で、かつ7.5mg/日以下への減量ができた者の割合).

 

#SELENA-SLEDAI https://oiwarheumatology.hatenablog.com/entry/2020/06/22/000000

 

・その他のあらかじめ設定されたステロイド使用に関するend pointsにはステロイド増量を経験した患者の割合、baseline>7.5 mg/dayから≤7.5mg/dayに減量された患者の割合、総投与量が含まれた。

 

・SRI4はサブグループでも解析された;baseline SELENA–SLEDAI score (≤9 and ≥10), 人種 (黒人and 非黒人), baselineのステロイド使用の有無, and 体重の四分位(<55.05 kg, ≥55.05 kg to <65.15 kg, ≥65.15 kg to <78.25 kg, and ≥78.25 kg). サブグループ解析はpost hocでHispanic or Latino の人種でも行われた。(略)

 

・52wkにおける最初の腎再燃がbaselineの尿蛋白<0.5g/24hの患者において解析された。腎再燃は再現性のある(次の受診時にも確認できる)以下の3所見のうち1つ以上:

  1. 24h尿蛋白が<200 mgなら>1,000 mgへの増加、baselineが200–1,000 mgなら>2,000 mgへの増加、>1,000 mgなら>2倍の増加;
  2. GFRの>20%の減少で、かつ以下のいずれか;尿蛋白>1,000 mg/24 hours, 尿潜血(≥4 RBCs/ hpf), and/or 細胞性円柱(RBC円柱 and WBC円柱); and
  3. 新たな尿潜血(≥11–20 RBCs/hpf)またはbaselineから2段階の増加。いずれも>25% の形態異常のある糸球体由来のRBCを含み、24h尿蛋白の800mgの増加または新たなRBC円柱を含むこと。

 

・安全性は報告された有害事象(AE)、ラボデータ、免疫学的検査で評価された。AEsはthe Medical Dictionary for Regulatory Activities system organ classに基づいて、好ましい用語で報告された。重症AE (SAE) は以下のoutcomeに至るAEと定義: 死亡, 生命を脅かす(緊急に生命に関わるもの), 入院, 入院の延期, 持続的 or 有意な身体障害/不全, 先天性奇形/出生異常, または医学的に重要なもの (すなわち上述のアウトカムを予防するために治療を要すること).

 

・薬効動態の解析のためにすべての割り付けられた患者から以下の各の皮下注射の前に血液検査が採取された;weeks 0, 4, 8, 16, 24, and 52 and at the 8-week follow-up visit.

 

Statistical analysis.

・サンプルサイズ816例(belimumab 544、placebo 272)は少なくとも90% power があると計算された。有意水準を0.05として、week 52時にbelimumabがplaceboに対して真の治療の改善の差が12%あると仮定すると。この12%の差はphase III belimumab IVに基づくものだ

 

intent-to-treat (ITT) populationはランダム化され1回でも治験薬の投与を受けた患者と定義した。completer population (52 weeksの治療を完遂した患者) and a per-protocol population (ITT解析の患者でメジャーなプロトコール違反がない者)がsensitivity analysesに含まれた。pharmacokineticの対象は少なくとも1回の治験薬の投与を受け、belimumab投与後の薬物動態サンプルを少なくとも1回採取された患者の全てとした。

 

・ステップダウンの検証方法がprimary end pointと2つのkey secondary end points のために使用された。全体的なType I error rate (真の帰無仮説を誤って否定してしまうこと)を防ぐために。あらかじめ設定された統計学的有意差(両側検定のα=0.05)を評価するための順序は以下の通り:

1) 52wk時のSRI4反応率;

2) 最初のSLEの重症再燃までの時間; and

3) ステロイド減量の患者の%

この順序のendpointの検証は前のendpointの検定全てが有意な場合にのみ行ってよいこととした。52wk時のSRI4の割合はlogstic回帰モデルを用いて両群間で比較された。その他の有効性のend points (all 2-sided with a significance level of 0.05)は多重比較にはならなかった。脱落または治療失敗が想定される患者はprimary endpointの解析ではnonresponderとして解析された。

 

 

Results

 

Table 1. Demographic and clinical characteristics of the study patients at baseline, by treatment group*

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Patient population

・ITT populationは836例で、全体で159例が脱落した。もっともコモンな脱落の理由はAEs、患者の要求、疾患の進行/無効(Figure 1)。大多数が女性で (belimumab群93.7%, placebo群95.7%)、平均年齢は38.6歳(belimumab群38.1歳、placebo群39.6歳)、baseline SELENA–SLEDAI score の平均は10.4、中央値は10.0 (belimumab群10.5/10.0, 10.3/10.0) (Table 1). 患者の大多数 (86.5% belimumab, 86.1% placebo)がbaselineでステロイドを内服しており、 約1/3が抗マラリア薬とステロイドを投与された。ほぼ半数が免疫抑制剤を内服しており(43.9% belimumab, 48.9% placebo)、アザチオプリンが最もよく投与されていた (Table1)。自己報告による皮下注射のコンプライアンスはBelimumabで平均±SD96.4±9.37%、placebo群で96.4± 9.75%。

 

Figure 2.

A, SRI4 responses over time in patients randomized to receive placebo or belimumab 200 mg subcutaneously (SC).

B, Percentage of patients with responses on the individual components of the SRI4 at week 52: the SELENA-SLEDAI, the physician’s global assessment (PGA), and the BILAG domain, by treatment group. 

 

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 (*P≤0.05; †5P≤0.01; ‡5P≤0.001; §5P≤0.0001.)

 

C, SRI5, 6, 7, and 8 responses over time in the 2 treatment groups.

D, Time to first SRI4 response that was maintained through week 52 in the ITT population, by treatment group. 

 

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(*P≤0.05; †5P≤0.01; ‡5P≤0.001; §5P≤0.0001.)

 

 

SRI4 response. 

52wk時においてbelimumab 61.4%がSRI4 responders となったが、placebo群では48.4%であった(odds ratio [OR] 1.68 [95% confidence interval (95% CI) 1.25–2.25]; P=0.0006) (Figure 2A)。SRI4 responseはbelimumab群でplaceboに比べ16wkの時点ですでに多かった。有意差は52wk時まで持続した2 (Figure 2A)。52wk時にbelimumab群はplaceboに比べSRI4が多かった;completer population (n=677) (72.9% versus 63.1%; OR 1.54 [95% CI 1.07–2.20]; P=0.0185) and the per-protocol population (n=789) (61.9% versus 48.3%; OR 1.75 [95% CI 1.29–2.37]; P=0.0003)のいずれにおいても。

 

・SRI4の全てのcomponentsにおいて52wk時に有意差がみられた(Figure 2B)。免疫学的、筋骨格、皮膚粘膜、血管のSELENA-SLEDAI臓器系はbelimumab群でplaceboに比べ有意に高かった (data not shown)。その他の臓器系(腎を含む)の改善はbelimumabで数的に好ましい結果であったが、これらの解析にはsmall sample sizeのためlimitationがあった。baselineのBILAG A or Bの臓器ドメインスコアを有した患者では血管炎、皮膚粘膜、筋骨格のドメインplaceboに比べ52wk時に有意な改善が見られたが、その他のドメインでは見られなかった。

 

placebo群に比べ、SRI5 responseはbelimumab群で12-52wkの間有意に高かった(Figure 2C)。SRI6, SRI7, and SRI8 responses は各8-52wkで有意に高かった (P≤0.0001 for each comparison at week 52). 52wkを通して最初のSRI4までの期間の中央値はbelimumab群で235.0日(IQR 85.0–not calculable)、placebo群で338.0 days (IQR 141.0–386.0) (hazard ratio [HR] 1.48 [95% CI 1.21–1.81]; P=0.0001) (Figure 2D).

 

・post hoc解析でSELENA-SLEDAIの抗dsDNA抗体と補体のコンポーネントを除外した場合、SRI4 response rateはplaceboに比べbelimumab群で有意に高かった (59.6% versus 48.0%; OR 1.58 [95% CI 1.18–2.13]; P=0.0023)。抗dsDNA抗体と補体を除外したSELENA-SLEDAI socreのbaselineから52wk時までの変化の最小二乗の平均±SEM?は群間差はなかった(-3.96±0.246 for belimumab, -3.47±0.295 for placebo; P=0.0997)。

 

Figure 3. Time to severe flare in patients randomized to receive placebo
or belimumab 200 mg subcutaneously (SC).

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Time to severe flare.

・重症再発までの期間はbelimumab群でplaceboに比べ49%重症再発を経験しにくかった(HR 0.51 [95% CI 0.35–0.74]; P=0.0004)。重症再発を経験した患者のなかで重症再発までの期間の中央値はbelimumab群で171.0 days (IQR 57.0–257.0) (n=59 [10.6%])、placebo群で118.0 days (IQR 62.0–259.0) (n=51 [18.2%]) (Figure 3)。任意の程度の再発リスクもbelimumab群でplaceboに比べ低かった (60.6% versus 68.6%; HR 0.78 [95% CI 0.65– 0.93]; P=0.0061).

 

Changes in corticosteroid dosage.

・baselineでbelimumab群335例、placebo群168例が>7.5mg/ day (全体の60.2%)を内服しており、この解析の対象となった。Belimumabを投与された患者はweeks 40–52の期間placeboに比べより多くステロイドを≥25%減量させて≤7.5 mg/ dayにできた (18.2% versus 11.9)。統計学的有意差には到達しなかったが (OR 1.65 [95% CI 0.95–2.84]; P=0.0732)。belimumab群でplaceboに比べより少ない患者が (8.1% [45 of 556] vs. 13.2% [37 of 280]) week 52までにステロイドの増量を経験した(OR 0.55 [95% CI 0.34–0.87]; P=0.0117); week 20-52の時期ではwk32を除いて有意であった。52wk時にステロイド量をbaselineの>7.5mg/dayから≤7.5 mg/daに減量できた患者はbelimumab群で20.0% (67 of 335)、placebo群で14.3% (24 of 168) (P=0.1181)。52 weeksの累積ステロイド量の平均±SDは633.50 mg (3,933.863±660.76 for belimumab and 4,567.3±5981.53 for placebo; P=0.4299)。

 

 

Figure 4. Systemic Lupus Erythematosus Responder Index (SRI4) subgroup responses at week 52 in patients randomized to receive belimumab 200 mg subcutaneously (SC) versus placebo.

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OR, belimumab 200 mg SC vs placebo

 

Subgroup responses at week 52.

・サブグループ解析の結果を各のサブグループの数を含んでFigure 4に示す。52wk時、SELENA-SLEDAI score≥10点の患者においてbelimumab群ではplaceboに比べ有意に多い患者がSRI4 responderとなった。SELENA-SLEDAI score≤9ではbelimumab群でplaceboに比べ有意ではないものの、SRI4 respondersが多い傾向があった (Figure 4).

 

・非黒人におけるSRI4 responseはbelimumabでplaceboに比べ有意に高かった (OR 1.75 [95% CI 1.29–2.39]; P=0.0004) (Figure 4). 黒人ではweek 52のSRI4 responseはbelimumabで数的にplaceboよりも高かったが、有意差に到達せず。Post hoc解析では belimumabを投与されたHispanic or Latinoの患者のうち73.8% (118 of 160)がweek 52のSRI4 responseを経験したが、placeboでは50.0% (40 of 80)であった (P=0.0003). non-Hispanic or Latino民族では, 56.3% (belimumab) and 47.7% (placebo)がresponders (P=0.0407)。 いずれの民族でもbelimumabの投与でweek 52時に有意に改善していることが報告された (placeboに比べて)。この数値的な違いはHispanic or Latino groupで大きかった。

 

・baselineの体重の第3四分位群、第4四分位群ではbelimumabを投与された患者で、placeboに比べてより多くの患者がSRI4 responderになった。第1-2四分位群の患者では差は統計学的有意差に達さなかった。

 

・baselineでステロイドを内服していた患者のうち、52wkのSRI4はbelimumab群でplaceboに比べ有意に高かった(Figure 4)。ステロイドを内服していなかった患者ではbelimumabとplaceboの間で有意差はなし。

 

 

Time to first renal flare.

・baselineで尿蛋白>0.5 gm/24 hoursの患者においてbelimumab群は腎再燃を有した割合がplaceboよりも有意に少なかった (11 of 99 vs 13 of 48) (11.1% versus 27.1%; HR 0.40 [95% CI 0.18–0.90]; P=0.0272). baselineの尿蛋白>0.5 gm/24 hoursの患者で再燃を経験した者において最初の腎再燃までの期間の中央値はbelimumab群で83.0 days (IQR 33.0–192.0)、placebo群で113.0 days (IQR 85.0–229.0)。全体の人口においてbelimumab群はplaceboに比べ有意ではなかったものの、腎の再燃を起こした患者が有意に少なかった (4.7% vs 7.5%; HR 0.57 [95% CI 0.32–1.01]; P=0.0532)。全ての腎再燃はbelimumabで40wkまで、placeboで48wkまでに起きた。

 

 

 Table 2. Summary of AEs reported during the study*

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* Values are the number (%) of patients reporting the event.
† Adverse events (AEs) that occurred in $20% of patients in either
treatment group are listed.
‡ Serious adverse events (SAEs) that occurred in .2% of patients in
either treatment group are listed.
§ As adjudicated by GlaxoSmithKline physicians.

 

 

Safety.

・全体でbelimumab群の449例(80.8%)、placebo群の236例(84.3%)が少なくとも1回のAE (Table 2)を経験した。最もコモンなAEは感染症。SAEsはbelimumab群の10.8%、placebo群の15.7%。最もコモンなAEは感染症、腎・尿路疾患と神経疾患。治療関連AEsはbelimumab群の31.1%、placebo群の26.1%に報告された。さらに詳細はSupplementary Tables S1 and S2(#↓に貼り付けました)。

 

 

Supplementary Table S1. AEs occurring in ≥5% of patients in either treatment group (preferred term)

Number of patients reporting an event (%)

Placebo
N=280

Belimumab 200 mg SC
N=556

Any event

236 (84.3)

449 (80.8)

Headache

26 (9.3)

57 (10.3)

Viral upper respiratory tract infection

24 (8.6)

49 (8.8)

Nasopharyngitis

22 (7.9)

38 (6.8)

Nausea

22 (7.9)

38 (6.8)

Bacterial urinary tract infection

18 (6.4)

42 (7.6)

Back pain

16 (5.7)

28 (5.0)

Bacterial upper respiratory tract infection

14 (5.0)

30 (5.4)

Arthralgia

11 (3.9)

32 (5.8)

Diarrhea

14 (5.0)

28 (5.0)

Cough

19 (6.8)

22 (4.0)

Hypertension

14 (5.0)

25 (4.5)

Insomnia

20 (7.1)

18 (3.2)

 

 

Supplementary Table S2. Treatment-related AEs occurring in ≥2% of patients in either treatment group (preferred term)

Number of patients reporting an event (%)

Placebo
N=280

Belimumab 200 mg SC
N=556

Any event

73 (26.1)

173 (31.1)

Herpes zoster

9 (3.2)

12 (2.2)

Viral upper respiratory tract infection

4 (1.4)

16 (2.9)

Nausea

8 (2.9)

11 (2.0)

Bacterial urinary tract infection

4 (1.4)

15 (2.7)

Nasopharyngitis

4 (1.4)

13 (2.3)

 

 

・局所の注射部位反応がbelimumab群で34例 (6.1%)、placebo群で7例 (2.5%)。全て軽症か中等症で重症例は報告なし。過敏反応は両群で同様。

 

・3例の死亡がbelimumab群で(0.5%; 感染症 [細菌による敗血症、尿路からの敗血症、CNSの結核]、placebo群で2例報告された (0.7%; 1血管系 [心臓死]、SLE関連1例 [血小板減少])。

 

・Herpes zoster はbelimumab群で18例(3.2%)、placebo群で13例(4.6%); belimumab群の1例は重症。

 

・belimumab群の15例 (2.7%)、placebo群の10例(3.6%)がうつ病を経験した; 重症はなかった。2例が自殺念慮 (GlaxoSmithKlineの医師で判定されたところでbelimumab群の0.4%)。自殺企図はなかった。

 

・各群2例ずつ、計4例がgrade 0-2のIgG hypoglobulinemia (belimumab群0.7%、placebo群1.4%)。追加の1例でgrade 0-4がbelimumab群で起きた(0.2%)。

 

・両群ともAEsの頻度は体重が最も大きい四分位群(≥78.25 kg; belimumab群86.3% vs placebo群90.0%)において最も小さい四分位群と比較して高かった(<55.05 kg; 各76.3% vs 77.1%).

 

 

Pharmacokinetics.

・belimumab群の血漿濃度の中央値はweek 4 (65.0 mg/ml)からweek 24 (104.8 mg/ml)まで上昇し、week 52 (86.8 mg/ml) で少し減少した。 (Supplementary Figure 1).

 

 

<リウマトロジストのコメント>

SLEの標準治療にbelimumab or placeboを追加したRCTにおいて、belimumabはAEsを増やさず、反応率を増やしました。ITT解析で、脱落は159例、追跡率は677/836=81%。脱落をNon-responder imputationしても(脱落を悪い結果として計算しても)、primary endpointのSRI4 responseは61.4% vs 48.4で、NNT=100/13=7.7→1年で8人と計算されました。

 

さすがに、recommendationに記載されるだけはありますね。

 

 

ps

↓SLEの緊急病態

 

 

 

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