EULAR 2020で報告されたBLISS-LNの結果についてまとめます。まだ論文にもなっていないので、気が早いかもしれませんが、ループス腎炎の標準治療が変わりそうな予感です!
EULAR 2020のホームページ→abstract presentationより抄録集をダウンロードします。
https://www.congress.eular.org/myUploadData/files/eular_2020_abstracts_final.pdf
OP0164
BLISS-LN: A RANDOMISED, DOUBLE-BLIND, PLACEBO-CONTROLLED PHASE 3 TRIAL OF INTRAVENOUS BELIMUMAB IN PATIENTS WITH ACTIVE LUPUS NEPHRITIS
Furie1, et al.
Background:
SLEの重症の病態、Lupus nephritis (LN)はハイリスクのグループで約70%を侵す。腎機能を温存するために早急で有効な治療を要する。医療の進歩にもかかわらず、びまん性増殖性腎炎ではESRDへの進行が15年間で>40%にみられる。5歳以上の活動性SLEの患者に承認されているBelimumab (BEL)はPhase 3 trialsのpost hoc解析でbaselineの腎のパラメーターを改善した。
Objectives:
活動性LNの患者において標準療法との併用で静注BEL vs placebo (PBO)の効果と安全性を評価すること。
Methods:
BLISS-LNはPhase 3の104週の二重盲検プラセボコントロールの無作為化試験(GSK Study BEL114054, NCT01639339)。SLEと生検で証明されたLN (class III, IV, and/or V)が標準治療に加えmonthly BEL 10 mg/kg IV or PBOに1:1でランダム割り付けされた。
▶Primary endpoint
・104週時におけるUPCR ≤0.7でeGFRが悪化前の20%以内であるか≥60 ml/min/1.73m2であること、さらにレスキュー治療を行っていないことと定義されたPrimary Efficacy Renal Response (PERR)。
▶Key secondary endpoints
・104週時におけるUPCR <0.5でeGFRが悪化前の10%以内であるか≥90 ml/min/1.73m2であること、さらにレスキュー治療を行っていないことと定義されたComplete Renal Response。
・52週時におけるPERR
・腎関連イベント (ESRD/血清Cr二倍化/腎悪化(how?)/ 腎炎治療の失敗
Results:
全体として448 例がランダム割り付けされ、効果判定には各群223、安全性には各群224。Wk 104にPERRを達成した患者はBELで有意に多かった (43% vs 32.3%) (OR 1.55, 95% CI 1.04, 2.32; p=0.0311).
Key secondary efficacy endpoints、other efficacy endpointsもBELでPBOよりも多かった (Table)。
Table.
*PBO and BEL columns represent the n (%) responders
†Data presented as n (cumulative incidence)
全体としてBEL 214例 (95.5%)、PBO 211例 (94.2%)がひとつ以上の有害事象(AE)を経験した。各58例 (25.9%)、67例 (29.9%)がひとつ以上の重症AEを経験した。
各群とも29例 (12.9%) が治療中止に至るAEを経験し、BEL 4例 (1.8%)、PBO 3 (1.3%)は治療中に死亡に至るAEsを起こした。
Conclusion:
現在までに最大のLNの研究において、BLISS-LNの結果はBEL+標準治療が標準治療単独と比べ有意にLNの腎反応を改善させることを示した。安全性のプロフィールも良好であった。
Study funding: GSK.
<リウマトロジストのコメント>
またひとつ、BelimumabがSLE治療の歴史を変えてくれそうです。個人的にはPD-1阻害薬が各癌腫の標準治療に入ってきた時のような衝撃を受けました。
論文かはNEJMか!?ARD?楽しみです。
(2020/923追記)
↓N Engl J Medに2020/9/17に出版されましたね。ほぼ全訳しています