リウマチ膠原病のQ&A

日常診療で出会ったギモンに取り組んでいきます!

ACE阻害薬の前使用はSRCの予後を悪くさせるかもしれない

SScガイドラインfreedownloadできます。最近公開されたばかりです。
 
全身性強皮症の診療ガイドライン2017

CQ8. SRCの予防にACE阻害薬は有用か?
推奨文:SRCの予防効果の報告はなく,SRC予防の ために投薬しないことを推奨する.  推奨度:1B
解説:早期のSScにACE阻害薬を少量服用させ, SRCの発症の予防効果を見た研究が,QUINS‌trialで あったが,予防効果はみられなかった312).また,多施 設,2重盲検法での検討においても少量でのACE阻害 薬のSRC予防効果は認められなかった313).近年,少量 のACE阻害薬をSRC発症前から内服していたSScで は,SRC発症後の生命予後が有意に悪いことが示された314).

ref314をひっぱってきました。

Exposure to ACE inhibitors prior to theonset of scleroderma renal crisis-results from the International SclerodermaRenal Crisis Survey.
Hudson M, et al.
Semin Arthritis Rheum. 2014Apr;43(5):666-72.
 
Abstract
OBJECTIVE:
SRC発症より前のACE阻害薬への暴露がSRCのアウトカムを悪い方向に導くかどうかを決定すること。
 
METHODS:
偶発的なSRC患者の前向きコホート研究。SRC発症前のACE阻害薬を調査した。アウトカムはSRC発症後1年以内の死亡や透析。
 
RESULTS:
偶発的なSRC87例が同定され、1年間のフォローアップデータが75 (86%)で得られた。全体で27 (36%)1年以内に死亡し、さらに19 (25%)SRC発症後1年後、透析をされていた。補正の解析を行い、SRC発症前のACE阻害薬への暴露は死亡を増やした (ハザード比 2.42, 95% CI 1.02, 5.75, p < 0.05in the primary analysis and 2.17, 95% CI 0.88, 5.33, p = 0.09 after post-hocadjustment for pre-existing hypertension).
 
CONCLUSION:
全体として、SRC発症1年後のアウトカムは不良。ACE阻害薬の前投与はSRC発症後の死亡リスクの上昇に関連した。ただし、リスクの強さに関しては確定的ではなく、その他の交絡因子の可能性は除外されていないかもしれない。このことを確かめるためにはさらなる研究が必要である。

イメージ 1


Fig.1


SRC診断後1年間フォローされたACE阻害薬の暴露群・非暴露群のKaplan-Meier曲線 (log-rank p = 0.13).
 
 
 
<リウマトロジストのコメント>
p=0.13(trend)でも結果が重大です。追随する試験がでるのでしょうか。 

でも、「示された」というほどの根拠でもないかも・・・