リウマチ膠原病のQ&A

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ACRのSLE分類基準(1982)の1997年改訂版 -Duboisより-

SLICC分類基準が提唱されましたが、これまでのゴールドスタンダードであり続けたACR分類基準をまとめておきます。
 
2006年発行のDubois’ Lupus Erythematosus (7th edition) のなかの
 
The Definition and Classification of Systemic Lupus Erythematosus
 
に記載されているものを訳します。
 
ACRの1997年改訂基準とは、1982年の基準に抗リン脂質抗体を盛り込んだものです。
 
Table 2 -1
 
全身性エリテマトーデス(SLE)の分類のための1997年改訂基準
 

 

 
1.頬部の皮疹
平坦または隆起した、固定された頬部の紅斑
 
2.円盤状皮疹
角化隆起性の紅斑。皮膚の角化と毛孔性角栓を伴う;古くなれば萎縮性瘢痕を来たしてもよい。
 
3.光線過敏症
日光に対する通常でない反応としての皮疹。患者の病歴、あるいは医師の診察であってもよい。
 
4.口腔潰瘍
口腔または鼻咽頭の潰瘍。通常無痛性。医師の診察による。
 
5.関節炎
2個以上の末梢性関節における非びらん性の関節炎。関節炎とは圧痛、腫脹、または液貯留を伴うものであること。
 
6.漿膜炎
a.胸膜炎(胸膜痛の病歴を確認する、あるいは医師による摩擦音の聴取、または胸水貯留の証拠)
b.心膜炎(心電図、または摩擦音、または心嚢液貯留)
 
7.腎病変
a.持続的な蛋白尿(0.5g/日または>3+) OR
b.任意のタイプの細胞性円柱
 
8.神経学的な異常
a.痙攣(その他の原因がない場合) OR
b.精神病(その他の原因がない場合)
 
9.血液学的異常
a.溶血性貧血 OR
b.白血球減少(2回以上<4000/mL) OR
c.リンパ球減少(2回以上<1500/mL) OR
d.血小板減少(<100000/mLで血小板減少の原因となる薬剤がないこと)
 
10.免疫学的異常
a.抗二本鎖DNA抗体 OR
b.抗Sm抗体 OR
c.抗リン脂質抗体が以下の基準に基づき陽性であること
(1) 血清のIgGまたはIgM型抗カルジオリピン抗体が異常値
(2) 標準的な方法によるループスアンチコアグラントが陽性
(3) 少なくとも6ヶ月の間梅毒血清検査が偽陽性で、トレポネマ・パリイウム免疫または蛍光トレポネマ抗体吸収試験で確かめられたもの
 
11.抗核抗体
任意の時期において免疫蛍光法またはそれに相等する検査法で抗核抗体が異常な値であること。薬剤性ループス症候群を似関連することが知られている薬剤を投与していないこと。
 

 

 
臨床研究において患者を同定する際、11項目中任意の4項目を有する場合SLEを有すると言うべし。観察期間の間、連続的でも同時でもよい。
 
 
 
ps; Referenceとなるoriginalの文献は以下です。
 
Arthritis Rheum. 1997 Sep;40(9):1725.
Updating the American College of Rheumatology revised criteria for the classification of systemic lupus erythematosus.
Hochberg MC.
 
 
Arthritis Rheum. 1982 Nov;25(11):1271-7.
The 1982 revised criteria for the classification of systemic lupus erythematosus.
Tan EM, et al.
 
 
→ご参考までに、EULAR/ACRの分類基準2019
 
 

ps

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