成人スティル病の分類基準、Yamaguchi criteriaについて解説します。
日本で作られた、世界に誇るべき基準です。
一方、コントロール群として、10施設から267例が集められました。
33 with sepsis
31 PAN
31 seronegative RA
31 PMR
25 rheumatoid vasculitis
15 Takayasu’s arteritis
11 AS
5 arthritis with IBD
5 allergic purpura or hypersensitivity angiitis
3 WG
2 temporal arteritis
1 CSS
1 pustulotic arthroosteitis
62 FUO
各々のアイテムにおいて、もっとも良い定義やカットオフを決めていきます。
熱なら何度の熱とするか、期間はどうするのがよいか・・
白血球ならカットオフを1万とするか、1.5万とするか、WBCだけでいくか、顆粒球でいくか、それとも両者を組み合わせるか・・
関節痛は関節炎とするか、期間で定義するか・・
この二つの集団を用い、感度と特異度を計算して、決めるのです。
その結果、以下が優れた検査特性を有することがわかりました。
大項目
1.発熱≧39℃ and ≧1週間 感度76 特異度76
2.関節痛≧2週間 感度90 特異度48
3.定型的皮疹* 感度87 特異度99
4.WBC≧1万and顆粒球≧80% 感度78 特異度78
小項目
1.咽頭痛 感度70 特異度83
2.リンパ節腫脹and/or脾腫† 感度84 特異度62
3.肝機能障害‡ 感度85 特異度59
4.RF陰性 and ANA陰性 感度89 特異度39
※項目の定義について
* 非掻痒性のサーモンピンクの斑点または斑状丘疹性発疹。通常発熱時に出現する。
† リンパ節腫脹は最近の有意なリンパ節腫脹と定義され、脾腫は触診かエコーで確認されたもの。
‡ 肝機能障害はトランスアミナーゼ and/or LDHの異常な上昇と定義する。薬剤アレルギーや肝毒性またはその他の原因によらない、この疾患に関連したもの。鑑別のために肝障害のある薬剤を中止して肝機能が正常値に戻るかどうかを確認してから、この基準に当てはめることを勧める。
つぎに、これらの組み合わせを検討しました。
4項目満たせば良いのか、5項目満たせば良いのか、あるいは、大項目2項目を必須として、計何項目が検査特性が良くなるかを検討しました。
その結果、 「大項目2項目を含む計5項目以上§」 の検査特性が
感度96.2% 特異度92.1% と、もっとも優れていました。
こうして、世界に誇る分類基準ができあがりました。
でも、この基準のなかで、計算はできない、もっとも大切な記載があります。
「§ 全ての基準はその他の臨床状況で説明がつかない場合にのみ適用すべし。」
「悪性腫瘍、感染症、その他のリウマチ性疾患を除外する」
です。
(ASDを真似したNK/T cell lymphoma)
(ASDを真似したMulticentric Castleman's disease)
(ASDを真似したバルトネラ症)
山口の基準はあくまで、完成された病気(上述のコントロール群)を集めて作られた分類基準です。満たせば診断決定ではなく、除外に精を出しましょう。
※分類基準とは・・・
主に研究対象を定義するときに用いる基準です。このように「有疾患群とコントロール群を用いて、検査特性を調べる」ことで作られる基準はすべて分類基準なので、SLEもRAも分類基準となるのです。さまざまな臨床セッティングで診断に使える診断基準を作ることは難しいのです。
ps;↓ですが、執筆協力しております!