リウマチ膠原病のQ&A

日常診療で出会ったギモンに取り組んでいきます!

The Five Factor Score (revised) -その2- (2/2)

(前回からのつづき) 
 
Table 3 (一部削除)
Global Prognostic 2009 FFS for 5-Year Mortality and Differences According to Each of the SNV
 
 
PAN
     
WG
 
所見
HR
(95%CI)
p
HR
(95%CI)
p
HR
(95%CI)
p
HR
(95%CI)
p
年齢
1.04
(1.02-1.06)
<0.001
1.05
(1.02-1.08)
0.001
1.04
(1.01-1.07)
0.01
1.03
(1.01-1.06)
0.001
腎不全
1.4
0.09
2.6
0.055
1.1
0.09
3.6
0.001
 
(0.7-2.9)
 
(1-6)
 
(0.7-9)
 
(1.8-7)
 
消化器
3
0.003
1.1
0.82
0.6
0.49
0.9
0.88
 
(1.9-5.6)
 
(0.4-2.7)
 
(0.5-2)
 
(0.8-3)
 
1.8
0.06
1.1
0.51
2.8
0.02
2
0.06
 
(0.98-3)
 
(0.5-2)
 
(1.2-5.9)
 
(1-4)
 
ENT
1.3
0.58
0.46
0.28
0.3
0.03
0.4
0.01
 
(0.4-4)
 
(0.2-1.6)
 
(0.15-0.9)
 
(0.2-0.8)
 
 
 
2009 FFSは以下の要素から構成され、あれば+1としてカウントされる。
・年齢 >65 years;
・腎不全(Cr1.70 mg/dL
消化器障害
耳鼻咽頭がないこと(あれば予後良好なので、ない場合に+1とする)
 
スコアを全ての血管炎患者にあてはめると、
5年後の死亡率は2009 FFS
0の場合、9%
1の場合、21%
2の場合、40%
 
(Figure 6A; p<0.001)
 
 
一方の1996 FFSの場合
0の場合、12%
1の場合、18%
2の場合、29%
 
(Figure 6B; p<0.01)
 
 
2009 FFSを各々の血管炎にあてはめても全患者と同様の結果が再現された (Figures 7A-D). ←これは使えます!
 
 
<リウマトロジストのコメント>
無理にWGまで統合しなくても・・という印象を持ちましたが、nが増えた分、1996 FFSよりも改善されたと考えるべきでしょう。Table 3Figures 7にあるように各疾患別の予後不良因子がはっきりしたので、これで十分です。CYの有効性に関するエビデンス1996 FFSにしかありませんが、2009 FFSも今後のガイドラインに反映されるのでしょうね。
 
改善点は、
Cr>1.58→≥1.70に変更されたこと(CYCLOPSInclusion criteriaに一致)、
・蛋白尿が削除された事(nが増えたら有意でなかった)
・心筋症→心不全症状であると明記されたこと、
だと思います。
 
本文中にもありますが、中枢神経症状は稀すぎて統計学的なパワーが足らないため削除されましたが、こういう患者は今後もCY併用で治療すべきかと思います(肺胞出血もしかり)。
 
 
年齢については、有意ではありますが、HR1.0某と低いようです。65歳より年上の人は以下の人と比べ5年生存率がわずかに悪いという、当たり前と言えば当たり前の話のようですが。。臓器病変がわずかで、年齢だけ+1だった人の取り扱いは迷わしいところです(CYを使った方がよいか、使わない方がよいか・・)。
 
むしろ、注目すべきは各疾患における死亡のHRが高い臓器合併症です。くりかえしになりますが、
 
PNの消化器障害(HR3.0)、
MPACr HR2.6)、
CSS心不全HR2.8)、
WG心不全HR2.0)とCr HR3.6
が各々の予後不良を示唆し、
ENTCSSWGの予後良好を示唆するということです。
 
ps;
 
1996 FFSが改訂されても、その意義が薄れることはありません。予後不良因子を有する患者にCYを併用することの妥当性は1996 FFSをもとに確立されたものであって、2009 FFSではないわけですから。
 
※FFS 1996
 
 

 

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