リウマチ膠原病のQ&A

日常診療で出会ったギモンに取り組んでいきます!

腎炎がほぼないSLEの集団で、腎炎を予測する因子@ACR 2022

ABSTRACT NUMBER: 0540

Evaluation of Traditional Laboratory Markers as Predictors of Renal Flares: A Post-hoc Analysis of Four Phase III Clinical Trials of SLE

Sandra Jägerback1, Alvaro Gomez, et al.

 

Evaluation of Traditional Laboratory Markers as Predictors of Renal Flares: A Post-hoc Analysis of Four Phase III Clinical Trials of SLE - ACR Meeting Abstracts (acrabstracts.org)

 

Objective

全身性エリテマトーデス(SLE)患者において、腎病変は高い罹患率となり、腎フレアは長期予後不良の大きな要因である。ループス腎炎(LN)は、SLE患者の約10-20%に依然として末期腎臓病を引き起こす。免疫抑制剤治療にもかかわらず腎フレアを起こしやすい患者を同定し、個々の患者に適した治療を行うことが必要である。これを本研究の目標とした。


Methods

本研究では、BLISS-52試験(NCT01597622)、BLISS-76試験(NCT00410384)、BLISS Northeast Asia試験(NCT1597622)、BLISS-SC試験(NCT01484496)の4つのSLE患者に対するベリムマブの無作為化比較試験からプールされたデータを用いた。中等度から重度の疾患活動性を有するSLE患者が集められ、活動性のある重度のLNは除外基準であった。参加者は、非生物学的標準治療を受けており、belimumab静注療法(1mg/kgまたは10mg/kg、第4週)、belimumab静注用200mg、またはプラセボに割り付けられた。本試験の結果は再現性のある以下のいずれかで定義された腎フレアの発生とした;(i)蛋白尿の増加(baseline値が<0.2g/日の場合≧1g/日、0.2-1.0g/日の場合≧2g/日、>1gの場合baselineの>2倍)、(ii)蛋白尿、血尿、or 赤血球円柱を伴う血清Crの20%以上or 0.3mg/日の増加、(iii)蛋白尿or RBC castsを伴う新たな糸球体性血尿。Cox比例ハザード回帰モデルを用いた。次に、性、年齢、民族、BMI、臓器障害、ベースラインのSLE疾患活動性、過去の腎障害、baselineのPSN等価量、免疫抑制剤およびベリムマブの使用でモデルを調整した。


Results

平均年齢36.7歳,94%が女性,腎フレアは192例で起こり、中央値141日.腎臓病歴のある患者の割合は54.6%。単変量Cox回帰分析では、baseline時の低C3は腎フレアの発生リスク上昇と関連し(HR 2.6、95%CI:1.9-3.5、p<0.001、Figure)、同様に抗dsDNA陽性も同様だった(HR 1.8; 95% CI: 1.3-2.6; p=0.001), 抗Sm抗体(HR 1.6; 95% CI: 1.1-2.5; p=0.022), 血漿Alb値 (HR: 0.9; 95% CI: 0.8-0.9; p< 0.001), および蛋白尿 (HR 1.5; 95% CI: 1.4-1.6; p< 0.001) も腎フレアに関連した。C4低値は、腎フレア発症とは関連しなかった。調整後解析においても、低C3、血漿Albおよび蛋白尿との関連は有意に保たれた。

 


Conclusion

baseline時のC3低値、血漿Alb、蛋白尿は、重症の活動性LNではない活動性SLE患者を含む臨床試験環境における腎フレアの発生と関連した。抗dsDNA、抗Sm抗体は未調整モデルにおいてのみ腎フレアと関連していたが。C3と抗dsDNAは腎SLEのサーベイランスに重要なマーカーとして知られているが、抗Smと血漿Albは腎フレアのマーカーとして確立されていない。これらの従来のバイオマーカーを補完する予測特性を調査することにはメリットがある。