プラセボとくらべ有意な改善を示せなかった抗ウイルス薬が承認されそうですが、一方でサイトカインストームにターゲットしたTocilizumabが期待できそうです。
Effective Treatment of Severe COVID-19 Patients with Tocilizumab
https://www.ser.es/wp-content/uploads/2020/03/TCZ-and-COVID-19.pdf
Methods
Patients
・2020/2/5-2/14の間に2つの病院でTocilizumabを投与された患者を解析。全例重症or Critical。診断は咽頭スワブのRT-PCR陽性。
・重症severeは以下のいずれかと定義。
1) 呼吸数30回以上
2) SpO2 93%以下
3) PaO2/FiO2 300以下
・criticalの定義は以下のいずれかと定義
人工呼吸器を要すること、
ショック、
ICU入室を要するその他の臓器障害
Treatment
全例lopinavir、メチルプレドニゾロン、その他の対症療法と酸素、さらにTocilizumab(400mgを1回点滴投与)。
Results
Demographic
・56.8±16.5歳で、範囲は25-88歳。21例中男性18例。
・17例が重症、4例がcritical。
・18例(85.7%)がtocilizumabを1回、3例が12時間以内に発熱のため同量で2回目の投与を受けた。
Clinical presentations
・全例が最初発熱を呈し、ついで乾性咳嗽(66.7%)、少量の喀痰(42.9%)、倦怠感(28.6%)、呼吸困難(28.6%)、嘔気(19%)、胸痛(4.8%)。
・発熱から呼吸困難発生までは中央値6日で範囲は2-14日。
・12例は酸素を要し、high-flow 9例、nasal cannule 7例、mask 1例、NIPPV1例、IPPV2例。
Laboratory
・WBCは4例が異常値。リンパ球は85%で減少。
・CRPは測定された20例全例で上昇。PCTは0.33±0.78 ng/mLで、異常値は2例のみ。
・IL-6値は132.38 ± 278.54 pg/mlであり、これらの重症/criticalな患者でIL-6のupregulationがあることが分かった。
Imaging
・全例が初診時CT異常があった。最初の異常はプラーク様のGGO+限局的な浸潤影で、これらは主に末梢優位で特に胸膜直下にみられた(Figure 1A-C)。
・全例で7日以内にGGOはサイズ、範囲、重症度が増大した。
・胸水、縦隔リンパ節、中枢性の肺塞栓はみられず。
Treatment outcome
・体温はTCZ投与1日以内に全例劇的に正常化し、その後も解熱を維持(Figure 2B)。臨床症状も数日以内に改善した。SpO2も劇的に改善(Figure 2C-D)。
・1例は酸素を必要としなくなった。15例(75%)が酸素を減量された。1例がtocilizumabを投与したその日に呼吸器を離脱した。criticalなある患者は5日目に抜管され意識も回復した。当初人工呼吸器管理であったもう1例は呼吸器のパラメーターを漸減し、近日中に離脱できそうだ。
・リンパ球%とCRPはtocilizumab投与後に有意に変化した(Table 2、Figure 2A)。投与5日後、2/19(10.5%)だけがWBC異常値で、10例でリンパ球%が正常化した。CRPは有意に減少し16/19(84.2%)で正常化。
・治療後のCTで肺病変は19例(90.5%)で吸収され、その他2例ではわずかに改善。critical2例を含む19例が退院し、残り2例はまだ入院中であるが、解熱し全ての症状が著明に改善した。
・tocilizumab投与後の平均入院期間は13.5 ± 3.1 日。投与後の肺感染症、悪化、死亡はなかった。薬の副作用も報告されなかった。
ps
こちらも合わせて読みたい(co-authorsによるレビュー)
Why tocilizumab could be an effective treatment for severe COVID-19?
https://translational-medicine.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12967-020-02339-3
ps
Cleveland Clinic Fairview Hospital between March 13, 2020 and April 19, 2020における51例の比較試験です。
↓SLEの緊急病態
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