リウマチ膠原病のQ&A

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GIOPのACRガイドライン2017

2017 American College of Rheumatology Guidelinefor the Prevention and Treatment of Glucocorticoid-Induced Osteoporosis.
Arthritis Rheumatol 2017Aug;69(8):1521-1537.
Buckley L, et al.
 
ACRのGIOPガイドライン2017が発表されました。治療方針のTableとFigureを訳します。

Table 2
GC長期治療を受ける成人(出産可能でない女性と男性)におけるGIOPの予防のための初期治療のリコメンデーション
 
 
1.PSN2.5mg/d以上を3ヶ月以上投与される全ての年齢の成人
 
Ca摂取とVitamin Dの最適化(800-1000mg/d600-800 IU/d)、およびライフスタイルの改善(バランスよい食事、推奨される範囲の体重を維持すること、禁煙、定期的な体重負荷or抵抗性のトレーニングエクササイズ、アルコールを1-2アルコール・ベバレージ/day)を無治療やこれらの単独療法よりも勧める。
 
 
 
※状況に応じた推奨である。その理由はライフスタイルの改善によって得られる骨折リスクに対するインパクトは直接的なエビデンスでないこと、GC userに対するCa+VitDインパクトはエビデンスの質が低いこと、Ca+VitDの利益は一般のOP人口における非直接的なエビデンスであること。
 
 
 
2.骨折リスクが低い40歳以上の成人
 
Ca摂取とVitamin Dの最適化とライフスタイルの改善を行うべし。ビスフォスフォネート、テリパラチド、デノスマブよりも。
 
 
 
Ca摂取とVitamin Dをビスフォスフォネート、テリパラチド、デノスマブよりも勧めることは状況に応じた推奨である。なぜならこの低リスク群において代替の治療の骨折を減らす付加的な利益に関するエビデンスは低い質であり、コストの問題、有害性の可能性があるため。
 
 
 
Ca摂取とVitamn Dを静注ビスフォスフォネートとラロキシフェンよりも強く推奨する。なぜならこの低リスク群における骨折を減らす付加的な利益、可能性のある有害性に関するエビデンスは低い質であるためである。
 
 
 
3.骨折リスクが中等度の40歳以上の成人
 
CaVitamin Dよりも経口ビスフォスフォネート剤で治療せよ
 
静注ビスフォスフォネート剤、テリパラチド、デノスマブ、orラロキシフェンよりも経口ビスフォスフォネート剤で治療せよ
 
経口ビスフォスフォネートが好まれる理由はその安全性、コスト、およびその他のOP治療で骨折が減少する利益があるといエビデンスがないためである。その他の治療は経口ビスフォスフォネートが適切でない場合は以下の順に好まれる。
 
①静注ビスフォスフォネート(経口ビスフォスフォネート剤よりも副作用プロファイルが高い)
 
②テリパラチド(コストが高く、毎日注射することの負担)、デノスマブ(免疫抑制剤で治療される患者における安全性のデータの欠如)
 
③ラロキシフェン(上述の治療のいずれも適切でない閉経後の女性において)(利益のデータが十分でないこと、すなわちGC userの椎体・大腿骨骨折のリスクに対するインパクトがないこと、そして血栓症のリスク、死亡のリスクの可能性があること)
 
 
 
※状況に応じた推奨である。なぜなら中等度のリスクの人口における代替のOP治療の利益と有害性を比較するエビデンスは非直接的で質が低いため。
 
 
 
4.骨折リスクが高い40歳以上の成人
 
CaVitamin Dよりも経口ビスフォスフォネートを使用せよ
 
静注ビスフォスフォネート剤、テリパラチド、デノスマブ、orラロキシフェンよりも経口ビスフォスフォネート剤で治療せよ
 
経口ビスフォスフォネートがその安全性、コストより好まれる。またその他のOP治療が骨折をより減らすという利益を示すエビデンスはないため。その他の治療は経口ビスフォスフォネートが適切でない場合は以下の順に。
 
①静注ビスフォスフォネート(経口ビスフォスフォネート剤よりも副作用プロファイルが高い)
 
②テリパラチド(コストが高く、毎日注射することの負担)
 
③デノスマブ(免疫抑制剤で治療される患者における安全性のデータの欠如)
 
④ラロキシフェン(上述の治療のいずれも適切でない閉経後の女性において)(利益のデータが十分でないこと、すなわちGC userの椎体・大腿骨骨折のリスクに対するインパクトがないこと、そして血栓症のリスク、死亡のリスクの可能性があること)
 
 
 
CaVitamin D単独よりも経口ビスフォスフォネートを進めるのは強い推奨である。なぜなら非直接的ではあるが骨折を減らすというエビデンスの強さと低い有害性のため。
 
 
 
※その他の全ての推奨は状況に応じた推奨である。なぜなら骨折のハイリスク群において代替の治療の利益と有害性を比べたエビデンスは非直接的で質が低いため。
 
 
 
5骨折リスクが低い40歳未満の成人
 
Ca摂取とVitamin Dの最適化とライフスタイルの改善を、ビスフォスフォネート、テリパラチド、デノスマブよりも行うべし。
 
 
 
CaVitamin Dをビスフォスフォネート、テリパラチド、デノスマブよりも勧めるということは状況に応じた推奨である。その理由は代替の治療が骨折をさらに減らすという利益は低い質のエビデンスであること、コストの問題、有害性の可能性があるためである。
 
 
 
CaVitamin Dを静注ビスフォスフォネートよりも勧めるということは強い推奨である。なぜならこの低リスク群について骨折を減らすという付加的な利益に関するエビデンスは低く、有害性の可能性もあるためである。
 
 
 
6.骨折リスクが中等度から高い40歳未満の成人
 
CaVitamin D単独よりも経口ビスフォスフォネートで治療せよ。
 
静注ビスフォスフォネート、テリパラチド、デノスマブよりも経口ビスフォスフォネートで治療せよ。
 
経口ビスフォスフォネートが好まれる理由は安全性、コスト、および他のOP治療薬がより骨折の頻度を減らすという利益が欠如していること。経口ビスフォスフォネートが適切でない場合、その他の治療が以下の順に好まれる。
 
①静注ビスフォスフォネート(経口ビスフォスフォネート剤よりも副作用プロファイルが高い)
 
②テリパラチド(コストが高く、毎日注射することの負担)
 
③デノスマブ(免疫抑制剤で治療される患者における安全性のデータの欠如)
 
 
 
※状況に応じた推奨である。なぜなら絶対的な骨折リスクのエビデンスはこの年齢層において低いか非常に低く、また代替の治療の相対的な有害性・利益を比較したエビデンスは非直接的で低い質であるため。
 

 


Figure 3.

イメージ 1
 

成人における最初の薬物療法CaVitaminDの推奨される投与量は各々1000-1200mg600-800IU/d(serum20ng/ml)。ライフスタイルの改善とはバランスのとれた食事、推奨される体重の維持、禁煙、定期的な体重に基づく抵抗性のトレーニングエクササイズ、アルコール摂取を1-2アルコールビバレージ/dに制限すること。超高用量のGC治療はPSN30mg/d以上で過去1年の総投与量が>5gと定義される。PSN>7.5mg/dであればFRAXで計算される主なOP骨折は1.15倍、大腿骨頸部の骨折リスクは1.2倍にするべし。BMDが測定できない患者もいることも認識された。

 

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