リウマチ膠原病のQ&A

日常診療で出会ったギモンに取り組んでいきます!

ビタミンD欠乏② ―ビタミンD補充―

Vitamin D deficiency in adults: Definition,clinical manifestations, and treatment
 
ビタミンD欠乏の定義、臨床所見について学びました。
 
この度は治療についてです。
 
VITAMIN D REPLETION
Preparations — どの型のVitaminDを補充に使うかについては議論がある。私たちは入手可能であればコレカルシフェロールcholecalciferolをエルゴカルシフェロールergocalciferolよりも勧める。
Vitamin D3(cholecalciferol)400, 800, 1000,2000, 5000, 10,000, および50,000単位カプセルがある。筋注で入手できる国もあるが、かなり痛い。
Vitamin D2(ergocalciferol) は経口で400および50,000単位カプセル、あるいは液状タイプ(8000 unit/mL)。過去に入手できた筋注製剤は現在ではUSでは入手が難しい。
VitaminDとその代謝物の多数の剤型がVitaminD欠乏に使える。可能であれば、VitaminDはその代謝物よりもコストがかからないため用いられている。もっともよく用いられるVitaminDの剤型はcholecalciferol (vitamin D3)ergocalciferol (vitamin D2)D2D3を血清25(OH)Dにおいて比較した7つのRCTのメタ解析においてD3は血清25(OH)DD2よりも効果的に上昇させた (25(OH)Dの差の平均は6 ng/mL)。最も大きな違いは連日の投与よりも毎週または毎月で用いられた試験においてみられた。この差に臨床的意義があるかは分からない。とくに25(OH)Dが正常な患者において。加えてメタ解析における臨床試験は投与量と投与期間が様々であり、試験間に有意な不均一性があった。
 
Dosing — VitaminDの経口投与は欠乏の本質と重症度による。正常な吸収能を有する患者ではD3 100単位あたり25(OH)Dが約0.7-1.0 ng/mL上昇した。ベースラインの25(OH)D値が低いほど大きな増加が見られた。25(OH)D>40ng/mLでは増加分は減少した。
●25(OH)D<20 ng/mLのハイリスクの患者ではD2D3 5万国際単位を経口で毎週6-8週間治療するという臨床プラクティスがコモン。その後は25(OH)Dの目標値を維持するのに必要な投与量、通常少なくとも800Uを連日で継続する。しかし、このプラクティスの効果は連日、毎週、毎月投与と比べ厳密に確立されていない。安全性に関するデータがないため、私たちは高用量の連日投与のレジメン(5万単位連日など)を正常な吸収能の患者に勧めない。
●25(OH)D 20-30 ng/mLのハイリスク群には最初のD3 600-800Uの補充はターゲットの値を維持するのに十分かもしれない。
吸収不良の患者にとって経口投与と治療期間は個々のVitaminD吸収能による。高用量VitaminD1-5万連日は胃切除や吸収不良の患者を十分に補うためには十分かもしれない。その投与量でも欠乏または十分でない患者はOH-VitaminD代謝物で治療される。それらはより確実に吸収されるから。because they are more readily absorbed, or with sun or sunlampexposure.
・上述の推奨はVimitanD欠乏に関する内分泌境界プラクティス・ガイドラインに大きく一致している。しかし、VitaminD欠乏の成人では内分泌協会ガイドラインは25(OH)D >30ng/mLを保つようにVitamin D2 or D3投与の維持を提案する。
・多くの投与は効果的にvitaminD欠乏を治療することが分かっている。投与頻度は感覚月1回まであるが総投与量と比べ重要な問題ではないようだ。例えば股関節骨折の高齢女性にVitaminD補充を行った2ヶ月の試験において同じ総投与量である連日(1500U)、毎週(10500U)、毎月(45000U)の投与は同様の25(OH)Dの上昇を示した。1年に1回の大量のVitaminD3の投与は25(OH)D値を上げるが、私たちは勧めない。ある研究において50UVitaminD3の経口投与は高齢者において転倒と骨折を増やすという好ましくない結果であった。
 
Special populations
Pregnancy —
 
Chronic kidney disease —
慢性腎不全の代謝性骨疾患(CKD-MBD、例;副甲状腺機能亢進症、高リン血症)の生化学的所見を有さない推定GFR>30ml/mの患者は通常の腎機能の患者と同様のVitaminD補充を受けるべきだ。腎不全が進行するにつれ、Calcitriol (1,25 dihydroxyvitaminD)の産生が糸球体濾過量の減少、構造的な腎障害による1αヒドロキシラーゼの損失、高リン血症による酵素活性の抑制のため低くなるかもしれない。それらの結果は副甲状腺機能亢進症による高Ca血症の傾向と骨疾患。この人口におけるVitaminD補充は別に示す。
 
Coexisting primary hyperparathyroidism —
 
Monitoring —
VitaminD600-800U/日で開始した健康な成人は最初とフォローの25(OH)Dの測定を要さないが、VitaminD欠乏のために治療される患者では25(OH)Dの測定を治療開始3-4カ月後に繰り返してもよい。VitaminDの投与量の調整、追加の25(OH)Dの測定を要するかもしれない。たとえば、5万単位の高用量の初回投与後に25(OH)D値がかなり上昇しても理想的な25(OH)D濃度を達成できていない患者はさらにVitaminD2 or D35万単位)を毎週6-8週間要するかもしれない。また治療中にも関わらず至適濃度よりかなり低い患者はVitaminD2 or D35万単位)を週2回、3-6週間要するかもしれない。いずれも25(OH)Dの測定を治療1ヶ月後に繰り返す必要がある。25(OH)Dのゴールを達成した事を確認するために。
VitaminD欠乏を効果的に治療するために必要なVitaminDの量は部分的には25(OH)Dのベースラインによる。個々のVitaminDの吸収能、肝臓におけるVitaminD25-hydroxyvitaminDに変換する能力による。いくらかは分かっていない遺伝的な要素にもよる。VitaminD補充のコンプライアンスが良いが25(OH)Dの上昇がないか、あってもわずかな患者にはセリアック病のための組織トランスグルタミナーゼ抗体を測定する。
 
Adverse effects —
・最初に測定できるVitaminD毒性は高カルシウム尿症とカルシウム血症であり、これは25(OH)D88ng/mLを超えて始めて観察される。2010年、IOMVitaminD補充の安全な上限を4000単位/日と決めた。
・多くの患者、とくに高齢者はVitaminDを含むVitamin電解質の補充をとっている。患者はこれらのサプリがVitaminDを含んでいると気づいていないかもしれない。VitaminDを処方する前に患者がさらにサプリメントをとっていないか聞いておくことが大切である。
 
Vitamin D metabolites — VitaminD代謝物はVitaminD欠乏を治療するために用いられる。とくに腎臓や肝臓のVitaminD代謝に異常がある時。
 
●Calcidiol – Calcidiol (25-hydroxyvitaminD)20μg50μgのカプセルで得られる。肝臓での25-hydroxylationを要さないので、肝疾患の患者には有用。作用時間はより急速で2-3週間の半減期VitaminD3のそれよりも短い。VitaminD2と同様。重症肝疾患におけるVitaminD欠乏はCalcidiolで治療できる (50 to 200 micrograms/day)CalcidiolUSでは確実に入手できるとは限らない。そのためCalcitriolVitaminD2 or D3で治療後もVitaminD不足が続く重症肝疾患には使用されるかもしれない。
 
 
Calcitriol– Calcitriol (1,25-dihydroxyvitamin D)0.25μg0.5μgのカプセルがある。慢性腎不全や1VitaminD欠乏くる病(1-hydroxylase遺伝子の不活化突然変異による)で最も有用。Calcitriolは急速な作用開始を有し、半減期はわずか6時間。高Ca血症の発生率は高く、血清Cあを慎重にフォローしなければならない。Calcitriolをサプリメントとして用いた場合、25(OH)Dは臨床的なVitaminDの状態を示唆しない。
 
●Dihydrotachysterol (DHT) – DHT0.125, 0.2, and 0.5 mgのタブレットで入手できる。機能的には1-alpha-hydroxyvitaminDと同等。活性型となる前に肝臓での25-hydroylationを要する。DHTはカルシトリオールを用いる様な病態で用いることができる。作用時間は急速で比較的短い作用期間を有する。
 
Ultraviolet B exposure — 日焼け用ベッドにおける人工的な紫外線UVB照射(太陽灯用ベッド、太陽灯)は25(OH)D値を上昇させ保つために有用。しかし、UVB曝露のために安全な曝露の限界は決まっていないため、私たちはVitaminD欠乏を治療するのに通常UVBを用いない。例外は高用量の補充(15万単位)を行ってもVitaminD欠乏が続く患者は例外である。そのような患者では適切なUVBの量と頻度を決めるために25(OH)Dをモニターするべきだ。
 
Calcium — 全ての患者は食事とサプリメントを合わせて1日の総Ca摂取量を1000mg19-70歳)から1200mg51-70歳の女性と71歳以上の男女)とすべし。Ca摂取の上限はほとんどの成人において12000-2500mg。しかし14gまでの高用量のCaが吸収不良の患者には必要。
 
BENEFITS OF VITAMIN D REPLETION
Skeletal — CaVitaminD補充の骨に関する利益を支持するエビデンスは一般住民の高齢者におけるCaVitaminDの前向きRCTによるところが大きい。
 
Prevention of falls — Vitamin Dは筋の機能を改善させ転倒のリスクを減らすことで骨折リスクを減らすかもしれない。
 
Extraskeletal benefits — 骨密度と転倒・骨折の予防に加え、VitaminDは免疫機能、心血管系を含むいくつかの利益が推定される。

 

ビタミンD欠乏の原因

 
摂取不足または吸収不足
食事
不十分な日光曝露
脂肪の吸収不良
胃切除
小腸疾患
膵臓機能不全
25-hydroxylationに欠陥がある場合
肝硬変
VitaminDの不活化代謝物への異化亢進
てんかん
VitaminD結合蛋白の損失
ネフローゼ
1-alpha 25-hydroxylationの血管
副甲状腺機能低下症
腎不全
1-alpha hydroxylase欠乏(VitaminD依存性くる病;type 1)
Defective target organ response to calcitriol
遺伝性VitaminD抵抗性くる病(vitamin D依存性くる病;type 2)