<Scenario case>
75歳女性、筋痛と筋力低下。
既往に心房細動がある。
皮疹はなし。
大腿MRIで筋炎を認め、筋生検にて筋炎が証明されている。
(症例は架空です)
< 疑問、発生!>
抗ミトコンドリア抗体陽性筋炎について勉強しよう。
<Pubmedにて>
mitochondrial antibodies myositisを検索すると40件、まだ新しいコンセプトのようだ。
以下のふたつの論文をチェック!日本語の論文はありがたいですね。
Inflammatory myopathy associated withanti-mitochondrial antibodies: A distinct phenotype with cardiac involvement.
Albayda J, Khan A, Casciola-Rosen L, CorseAM, Paik JJ, Christopher-Stine L.
Semin Arthritis Rheum. 2017
[Clinical and histopathological features ofmyositis associated with anti-mitochondrial antibodies].
Shimizu J.
Rinsho Shinkeigaku. 2013;53(11):1114-6.
<Albayda 2017>
・John Hopkinsの筋炎センターを受診した1180例のうち7例が抗ミトコンドリア抗体陽性(0.6%)。
・平均年齢は55歳(62,52,61,64,49,46,51)。
・筋力低下は6/7で慢性の経過;10/6/5/0.3/8/11/5(年)
・Scapular wingingを2例に認めた。
・CK最大値は846-3024
・NCSでNeuropathyを2/7で認め、EMGでMyotonic dischargeを3例に認めた。
・筋生検ではImmune-mediated necrotizing myopathyが4例、Perifascicular atrophyを1例、非特異的な肉芽腫性炎症1例。
・Mitochndrial changeを2例に認めた。
・心臓の障害を5/7(71%)に認め、Cardiomyopathy 5例、Arrythmia5例(新ブロック1、心房性頻拍5例、心室頻拍1例)、Myocarditis1例。
・心臓の障害は有意な主訴となりえ、しばしば筋炎を先行した。CardiomyopathyとMyocarditisのケースは免疫抑制療法で心機能が改善した。
・間質性肺炎は0/7(0%)、Arthritis 1/7、DM rash1/7、Dysphagia4例(軽症)
・予後は1-11年のフォローで1例が死亡@1年後
<Shimizu 2013>
・自験例のレビュー。212例の連続症例のうち24例(11.3%)がAMA+。
・24例中7例がPBC合併。そのうち3例は筋炎に先行し、4例は同時診断。
・男:女=9:15。平均年齢54±13歳。初発症状から診断までの期間は平均20ヶ月(1-60ヶ月)。
・初発症状は筋症状18、不整脈2、CK上昇4例。
・23/24例で近位筋優位の筋力低下であったが、13例で筋萎縮を認め、長期経過例の3例では傍脊柱筋の筋障害を認めた。
・呼吸筋合併症として6例が%VC≦80%。2例で人工呼吸器管理を要した。
・筋病理では筋炎に合致する所見に加え15例で筋の線維化を伴う慢性変化を認め、6例で肉芽腫性炎症性変化を認め、そのうち4例では炎症細胞浸潤はCD4+Tリンパ球優位(CD8+よりも)。
<まとめ>
・抗ミトコンドリア抗体陽性筋炎は東大の連続症例では24/212(11.3%)と結構多かった。
・慢性経過で傍脊柱筋の筋力低下。
・病理はJohn HopkinsではImmune-mediated necrotizing myopathyが4/7と最多。日本では筋炎以外の所見として、筋の線維化を伴う慢性変化が最多であり、CD4+Tリンパ球優位の肉芽腫性炎症性変化が特徴的である。