リウマチ膠原病のQ&A

日常診療で出会ったギモンに取り組んでいきます!

抗SRP抗体(+)PMの予後

<Clinical scenario>
75歳女性、筋力低下・筋痛

CK3000台、間質性肺炎を認め、多発性筋炎の疑いで入院。DMの皮疹なし。
 
ANA<40倍であったが、Cytoplasmic(細胞質型)※で80倍。抗ARS抗体を測定したところ陰性であったため、抗SRP抗体(保険適応外)を追加したところ陽性であった。この結果が分かった頃、ステロイド+AZPで治療3週間を経過していた。
 
退院前に再度ICを計画した。抗SRP抗体陽性の筋炎の予後についても触れなければ・・・

(症例は架空です)
 
Cytoplasmic(細胞質型)となる自己抗体の覚え方
SSA → ARS → SRP → ribosom Pと大文字が続くと覚える。最後にP2回出てくるので、抗ミトコンドリアM2抗体を思い出す。
 
 
< 疑問発生!>
SRP抗体陽性筋炎の予後を調べよ。
 
 
Pubmedにて>
("Polymyositis"[Mesh])AND "Signal Recognition Particle"[Mesh]を検索し、English+Japanese25件。
 
Case seriesがほしいですね。
 
タイトルチェックを行い、3つの記述研究を拾いました。
 
●12. Clinical andhistopathological features of myopathies in Japanese patients with anti-SRPautoantibodies.
Takada T, HirakataM, Suwa A, Kaneko Y, Kuwana M, Ishihara T, Ikeda Y.
Mod Rheumatol.2009;19(2):156-64.
 
以前にチェック済でした。日本人の21例のデータです。
 
aSRP+23例中21例がPM/DMPM14DM3、傍腫瘍性2、オーバーラップ2)、残りの2例がRAPM/DM21例の平均年齢± SD 51.6 ± 14.917 – 87)。
予後は21例中、生存12例、死亡3例、NA6例(Table 2
 
経過観察期間は記載されておらず、何年で3例が死亡したのかが分かりませんでした。
 

18. Anti-signalrecognition particle autoantibodies: marker of a necrotising myopathy.
Hengstman GJ, etal
Ann Rheum Dis.2006 Dec;65(12):1635-8. Epub 2006 May 5.
 
欧州6施設からの抗SRP+筋炎23例(DM3例)。

 
Table 1 抗SRP+の患者の臨床所見;抗SRP(-)の大きなコホートと比較して

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治療と予後。ほとんど全例で免疫抑制・調整に反応。一般に治療反応性は比較のための筋炎グループと有意差なし。ほとんどの患者がステロイドと免疫調整剤の併用で治療された。2例がステロイドのみで反応。その他の薬剤や治療はMTX (n=15), AZP (n=11), シクロスポリン(n=5), IVIG (n=5), シクロフォスファミド(n=2)血漿交換(n=2)。薬剤中止はほとんど達成されず。研究の時点で23例中19例がいまだ積極的な治療を受けた。一般に漸減・中止の間の再発率は高かった (70%)。ほとんどの患者が良い臨床的回復を示した。ほとんどで筋力低下が残存していたが。研究時に75%が正常または正常に近い歩行ができた。筋炎発症から平均12年で23例中5例が死亡。3例の死亡は筋炎に明らかに関連した者ではなかった。2例の死亡はその可能性があった(ILDの患者が肺炎で死亡;歩行困難と乳癌を有する患者が肺塞栓で死亡)。
 
いったん反応を示すが、長い目でみれば再発率は7割と高く、治療抵抗性を示すことが多い。12年のフォロー期間で死亡は5/23
 

24. Anti-signalrecognition particle autoantibody in patients with and patients withoutidiopathic inflammatory myopathy.
Kao AH, Lacomis D,Lucas M, Fertig N, Oddis CV.
Arthritis Rheum.2004 Jan;50(1):209-15.
 
米国からの19例ですが、SRP+PM/DM16例(SSc2例、ARS1例)。
 
Table 1 抗SRP+患者19例の臨床所見

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平均4.5(範囲2.5–6)のフォローで、16例中4例が死亡。そのうち2例はPMに関連しない原因;COPD63歳時)、肺炎(78歳時)であり、各、筋炎発症から2年後と6ヶ月後。3例目はCADの既往のある71歳の患者の心停止。4例目の死因は不明。Figure 2に示すとおり、抗SRP+PMは抗SRP(-)PM118例と比べ有意差なし。5年累積生存率は抗SRP+PM86%、抗ARS(-)のコントロール群では83%、抗ARS(+)のコントロール群では75%。抗SRP+の筋炎患者の多くが持続的な筋力低下と治療抵抗性を呈し、通常いくつかの免疫抑制剤を要した。全例がプレドニゾンで、ほとんどがMTX, Cyclosporine, or AZPの追加を要した。その他にタクロリムス、IVIG、シクロフォスファミド、インフリキシマブ。
 
Table 2. SRP+PMと抗ARS陰性・陽性のPMコントロール
 
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SRP+PM患者の半数より多くが(63%)、難治性筋炎に対して少なくとも3つの治療を要した。免疫抑制療法の併用はよくあった。抗SRP+PM患者は重症の筋症を有したが、CK正常化+筋力回復+最小限のステロイドの維持量で定義される良好な治療反応性は1/3。正常筋力を回復したのは全例ではなく、筋症をコントロールするために多数の免疫抑制療法を要する者もいた。プレドニゾンだけで正常筋力に回復したのが2例。全例に利益がある特別な免疫抑制療法や治療レジメンはなかった。
 
5年生存率はSRP+PM86%でその他の筋炎と同等。多くが持続的な筋力低下と治療抵抗性を呈し、63%3つ以上の治療を要した。CK正常化+筋力回復+最小限のステロイドの維持量で定義される良好な治療反応性は1/3
 
 
Scenario caseの経過>
SRP抗体陽性の多発性筋炎であることを説明した。
 
「治療抵抗性であることが多いです。再発すれば治療を変更することになるかもしれませんが、粘り強く治療を続けていきましょう。」