リウマチ膠原病のQ&A

日常診療で出会ったギモンに取り組んでいきます!

実臨床ではTCZは○○よりも感染症リスクが低い

生物製剤の比較はRCTをもとに行われることが多いのですが、Real worldでの比較はもっと重要です。日常診療における生物製剤の感染症リスクを比較した、後ろ向き多施設研究です。
 
Comparative risk ofhospitalized infection between biological agents in rheumatoid arthritispatients: A multicenter retrospective cohort study in Japan.
Mori S, et al.
PLoS One. 2017 Jun8;12(6):e0179179.
 
OBJECTIVE
各々の生物製剤に関連する感染症による入院のリスクを知ることはRA患者にベストな治療を選択するために重要である。この研究は日常診療における感染症による入院のリスクを生物製剤間で比較した。
 
METHOD
私たちは2009.1月より2014.12月の間日本の参加地域病院のリウマチ科で開始された全てのRA患者のデータを用いた。ETN, IFX, ADA, ABT, TCZによる新しい治療エピソードを含めた。患者は異なる多数の生物製剤を用いていてもよいこととした。最初の1年間の感染症による入院の発生率Incidence rates (IRs)を調査した。感染症による入院全体と肺感染症による入院に関するHazard ratio (HRs)を計算するために可能性のある交絡因子で補正してCoxregression analysisを用いた。
 
RESULT
1596の新たな治療エピソードがあった。最初の1年間における感染症による入院全体は1239人年のうち86であり、粗のIR6.9 per100 PYs (95% CI, 5.6–8.6)。交絡因子で補正すると感染症による入院の有意なリスク上昇があった。ETNに対してIFX 1.54 (0.78–3.04), ADA 1.72(0.88–3.34), ABT 1.11 (0.55–2.21)TCZ 1.02 (0.55–1.87)。年齢、RAの機能分類、BMI、プレドニゾロンの使用、慢性肺疾患のような患者に特異的な要素は特異的な生物製剤よりも感染症による入院に寄与した。肺感染症による入院の発生は50で粗のIR100人年で4.0 (95% CI, 3.1–5.3)。交絡因子による調整の後、ADAにおけるTCZと比べた時の肺感染症による入院のHRが有意に高かった:補正HR 4.43 (95% CI, 3.1–5.3)BMI、プレドニゾロンの使用、糖尿病、慢性肺疾患が同様に肺感染症による入院リスクに有意に関連した。感染症による入院の全体のリスクの強さは生物製剤のタイプによって決められない。
 
CONCLUSION
患者に特異的なリスク因子がより感染症による入院のリスクにおいてよりインパクトがあった。肺感染症による入院についてはADAの使用はTCZと比べ有意に高いリスクに関連した。
 

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