<Clinical scenario>
60歳女性、咽頭痛に始まる発熱です。
(架空の症例です)
< 疑問、発生!>
Uptodateでは全身症状にはAnakinraの次に勧められていますね。
"Still's Disease,Adult-Onset"[Mesh] tocilizumab
その中から3件をチェックしました。
6. Nationwide epidemiological survey of 169patients with adult Still's disease in Japan.
Asanuma YF, Mimura T, Tsuboi H, Noma H,Miyoshi F, Yamamoto K, Sumida T.
Mod Rheumatol. 2015 May;25(3):393-400
21. Therapeutic response of patients withadult Still's disease to biologic agents: multicenter results in Japan.
Suematsu R, Ohta A, Matsuura E, TakahashiH, Fujii T, Horiuchi T, Minota S, Ishigatsubo Y, Ota T, Takei S, Soejima S,Inoue H, Koarada S, Tada Y, Nagasawa K.
Mod Rheumatol. 2012 Sep;22(5):712-9.
OBJECTIVE:
成人スティル病(ASD)における生物製剤の効果が提案されているが、その情報はいまだ不十分で、妥当性は分かっていない。日本の難治性ASDにおいていくつかの生物製剤の効果を決定するため、多施設調査が行われた。
METHOD:
少なくともひとつの生物製剤で治療されたことがある16例(24回)の臨床データを後ろ向きに集めた。
RESULTS:
IFXは9例、ETN 4例、TCZ11例に使用された。半数は最初にIFX or ETNで治療され、その後もう一つの生物製剤に変えられた。TCZはIFXとETNからスイッチされたケースにおいて有効であった。TCZは全身性の症状、関節症状ともに有効であった。明らかなステロイド減量効果があり、もっとも高い継続率を示した。
CONCLUSION:
Table 1 患者のプロフィールとアウトカム
Figure 1
(A)
(B)
つぎに、TCZを使用したASD34例についてのスペインの観察研究も読んでみました。
12. Efficacy of tocilizumab in conventionaltreatment-refractory adult-onset Still's disease: multicenter retrospectiveopen-label study of thirty-four patients.
Ortiz-Sanjuán F, et al.
Arthritis Rheumatol. 2014Jun;66(6):1659-65.
Objective.
Methods.
Results.
患者(男性8例、女性26例)の平均年齢±SDは38.7±16.1歳。TCZ投与前のASDの罹病期間の中央値は4.2年 (IQR 1–9年)。TCZ静注の最初の投与量は22例で8 mg/kg/4wks、2例で4 mg/kg/4 wks、10例で8 mg/kg/2 wks。TCZは急速に改善をもたらし、改善を維持した。臨床的にもラボ的にも。TCZ1年後、関節所見の発生はベースラインの97.1%より32.4%に、皮膚症状、発熱の発生率はともに58.8%から5.9%に、リンパ節腫脹は29.4%から0%になった。CRP、ESR、フェリチンを含む炎症マーカーの劇的な改善が達成された。PSNの中央値はTCZ開始時の13.8 mg/day (IQR 5-45)より12ヶ月後2.5 mg/day (IQR 0-30)に。中央値19ヶ月後(IQR 12-31 months)、TCZを永久的に中止されたのは2例のみで、とおに重症感染症が原因であった。
CONCLUSION:
Figure1. TCZ開始後の急速な改善と12ヶ月の改善の維持
Aの値は平均±SD; B–Dは中央値 (IQR)。 *はベースラインと比較した時のP<0.05
(本文より)中央値19ヶ月(IQR 12–31 months)のフォロー期間において感染症はTCZに関連してコモンな合併症であった。にもかかわらず、TCZが永久に中止されたのは2例のみで、ともに重症感染症が原因であった。1例は腎盂腎炎と急性腸炎、もう1例はブドウ球菌による細菌性化膿性椎間板炎で腸腰筋膿瘍を伴った。両者とも抗生剤投与にて完全回復が得られた。TCZに起因するその他の感染症は肺炎 (1例), 上気道感染 (3例), 歯の感染(1 例), 尿路感染(1例), EBウイルス感染 (1例), 帯状疱疹 (1例)。その他のマイナーな有害事象は軽度の白血球減少または好中球減少 (4例)、TCZ投与中の肝機能障害(4例)。スタチンを要する高コレステロール血症 を1例に認めた。この患者は投与前はコレステロールは正常であった。TCZ点滴に関連した頭痛をもう1例に認めた。
<Scenario caseの経過>
パルス後1週間たっても発熱が持続した。
保険外の診療であること、副作用として時に重症感染症が起きうることも忘れないように。
ps;↓ですが、執筆協力しております!