リウマチ膠原病のQ&A

日常診療で出会ったギモンに取り組んでいきます!

単剤ならトシリズマブorエタネルセプト(Tarpらのネットワーク・メタ解析)

Defining the optimal biological monotherapyin rheumatoid arthritis: A systematic review and meta-analysis of randomisedtrials.
Tarp S, Furst DE, Dossing A, Østergaard M,Lorenzen T, Hansen MS, Singh JA, Choy EH, Boers M, Suarez-Almazor ME,Kristensen LE, Bliddal H, Christensen R.
Semin Arthritis Rheum. 2016 Sep 14.
 
Abstract
OBJECTIVES:
従来型DMARDに耐用できない患者のために治療方針の決定の根拠を示すため、RAにおいて単剤で使用する場合の生物製剤の利益と害をサマリーして比較すること。
 
METHODS:
MEDLINE, EMBASE, CENTRAL,その他のRCTのデータより、生物製剤単剤とMTX, placebo, またはその他の単剤の生物製剤を比較したRCTを検索した。Primary outcomes ACR50と有害事象による治療中止の患者の数。私たちのnetwork meta-analysismixed-effects logistic regressionに基づき、各のRCTのランダム化比較は残しつつ治療効果の直接的・間接的な比較を含んだ。
 
RESULTS:
解析は28 trials (8602 patients)を含み、RAに承認された生物製剤9剤を含んだ。8ヶのRCT"DMARD-naïve",20RCT "DMARD-Inadequate responder"(DMARD-IR)を対象としていた。anakinraIFXを除く全ての生物製剤がlaceboよりもACR50達成においてプラセボ(たとえばno DMARD)よりも優れていた (p < 0.05)ETNRTXanakinra寄りも優れいていた (p = 0.018 and p = 0.049, respectively). TCZADA (p = 0.0082), anakinra (p = 0.0083), certolizumab (p = 0.037), golimumab(p = 0.049)よりも優れていた。ETN TCZRTXの間では有意差がつかなかった (p> 0.52)。しかし、RTX40例でおいてのみ評価されていたため、私たちの見積もりにおける信頼性には制限がある。DMAR-IR飲みを対象とした場合、統計学的なパターンは同じであった;ETNTCZABTよりも優れていたこと以外は。推奨される投与量において、ETNTCZADACERよりも優れていた。副作用中止に関してはいかなる生物製剤間の比較も優位差があったものはなかった (p > 0.068)
 
CONCLUSIONS:
RCTからのエビデンスから言えることはほとんどの生物製剤が単剤としては有効であるということである。私たちの研究における推定値は制限があるものの、ETNTCZは生物製剤単剤での治療を必要とする患者の理想的な選択肢になるかもしれない。しかしながら、バイスの可能性を含んだ本研究の推定値の信頼性には制限があるとしても、最終的な治療選択において重きを置くべきは患者の好みと価値観であるべきである。
 
 
イメージ 1
 
 
Fig.5. network meta-analysisによる個々の生物製剤の単剤としての利益と害。ACR50達成のためのOdds ratio 95%CIは斜め線の下(行vs列)で示し、有害事象のための中止を経験するためのOR 95%CIは斜め線の上(列vs行)で示す。反対の比較のためのORを求めるためには推定値の逆数を求めよ。たとえばETNanakinraに対するOR 95%CI1/0.30(1/0.79-1/0.11)=.38(1.26-9.01)統計学的に有意な結果は太字で示す。
 
<リウマトロジストのコメント>
network meta-analysisを理解するほど賢くないので、なんとも言えないのですが、生物製剤同士を比較する唯一の方法ではないでしょうか。もちろん、Head to headのRCTを行うに超したことはないのですが、そのような試験は数えるほどしかありません。
 
Fig.5を見る限り単剤の有効性はTCZが優れているように見えます。ADACERGOLTCZに対するACR50を達成するOR 95%CIが各、0.51(0.32-0.82)0.43(0.19-0.940.57(0.32-1.00)といずれも有意に低いです。すなわち、TCZは単剤ではETN以外のTNF阻害薬よりもACR50を達成しやすいと言えます。ETNはその他のTNF阻害薬と有意差はつきませんでした。MTXに対して有意にACR50を達成しやすい薬剤はETNTCZのみでした(各1.541.82)。