リウマチ膠原病のQ&A

日常診療で出会ったギモンに取り組んでいきます!

抗MDA5抗体の予後についてメタ解析をしてみました(2017.5月)

抗MDA5抗体に関する、ざっくりメタ解析をしてみました。論文によって様々な頻度で報告されている、以下のCQに対するリウマトロジストなりの回答です。

CQ1.抗MDA5抗体が陽性であれば、どの程度がILDを呈するのか

CQ2.抗MDA5抗体が陽性であれば、どの程度がRPILDを呈するのか

CQ3.抗MDA5抗体が陽性であれば、Mortalityは何%なのか?
 
CQ4. 抗MDA5抗体陽性RPILDであればMortalityは何%なのか?

CQ5. 抗MDA5抗体陽性となるのはCADM+DM。ではその比(CADM:DM)は?

(方法)
Pubmedで検索し、重複の可能性のある報告を除外しました(同じ著者、同じ大学からの報告は重複S/oと考えました)。すみません・・・
 
※「ざっくり」な理由は、 ①RPILDの定義が一貫していない点(A/SIPで報告されているものも含めた)、②DM vs CADMの定義をちゃんと吟味していない点(Sontheimerだったり、記載がなかったり)、③Mortalityをカウントするまでの期間は多様であるという点(3ヵ月、6ヵ月、、)等です。くれぐれも大まかな目安としてご覧下さいませ。
 
(結果)
 
イメージ 1
 
 
(結果;回答)

CQ1MDA5抗体陽性のなかにもILDを呈するものと呈さないものがあるでしょう。

ILDのなかにもRP-ILDもあれば、NSIPUIPのようなnon-RP-ILDもあるでしょう。

まずは抗MDA5抗体陽性の患者における、ILD全体の頻度を調べます。

表のなかでILDの記載がないChen 2012, Fujiki 2017を除外して、解析すると、抗MDA5に対するILDの頻度は240/275=0.8727,,
 
→ 抗MDA5陽性であれば、RP/non-RPILDを合併する頻度は 87%

 
CQ2. つぎに問題となるRPILDの頻度を調べます。

CQ1と同様に表の中でRP-ILDの記載がないHoshino 2010, Hamaguchi 2011を除外して、抗MDA5に対するRPILDの頻度は146/248=0.588,,
 
→ 抗MDA5陽性であれば、RP-ILDを合併する頻度は 59%
 

CQ3.同様に死亡の記載のないFiorentina 2011, Chen 2012, Hall 2013を除外して、抗MDA5におけるMortality95/272=0.349
 
→ 抗MDA5陽性であればMortality 35%


CQ4. deathの記載のないFiorentina 2011, Chen 2012, Hall 2013, RPILDの記載のないHoshino 2010, Hamaguchi 2011を削除して、73/127=0.5748
 
→ 抗MDA5陽性のRPILDMortality57%
 

CQ5DM:CADMの記載は全ての研究にありましたので、合計を割り算して、180/312=0.5769
 
→ 抗MDA5陽性であれば CADM 58%, DM 42%



<まとめ>

抗MDA5抗体はILD87%、RP-ILD59%、Mortality35%

・抗MDA5陽性のRP-ILDであればMortality57%

・CADM:DMの比率は58% vs 42%

ps;

MDA5抗体陽性の間質性肺炎予後不良因子
 
MDA5抗体陽性のDM/CADM患者の臨床所見