リウマチ膠原病のQ&A

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抗MDA5抗体陽性のDM/CADM患者の臨床所見

Clinical Manifestations of Dermatomyositis and Clinically Amyopathic Dermatomyositis Patients With Positive Expression of Anti–Melanoma Differentiation–Associated Gene 5 Antibody
Arthritis Care Res (Hoboken) 2012; 64: 1602-10
 
MDA5抗体陽性のDM/CADM患者の臨床所見
 
Objective.
MDA5抗体陽性のDMCADMの臨床所見を調査すること
 
Methods.
DM32例、CADM32例、特発性肺線維症を含む、様々な膠原病患者140例において抗MDA5抗体をスクリーニングした。抗MDA5抗体陽性のDM/CADM患者の臨床経過を詳しく調査した。
 
Results.
・抗MDA5抗体はCADMにおいてDMよりも頻繁に検出されたが(12/32 vs 3/32; P=0.016)、その他の膠原病、特発性肺線維症、健常人では検出されなかった。
・抗MDA5抗体陽性の患者は陰性例と比べ、皮膚潰瘍を来たしやすく (12/15 vs 4/49; P<0.001)間質性肺炎を起こしやすかった(15/15 vs 31/49; P=0.003)
・抗MDA5抗体陽性患者のHRCTスコアは陰性群と比べ高かった(mean ±SD 117.7±76.3 vs 54.4±50.7; P=0.004)HRCTスコアは抗MDA5抗体の値とよく相関した(r2 = 0.582, P = 0.029)
・抗MDA5抗体<500 units/mlの患者は皮膚潰瘍と呼吸器症状は治療後劇的に改善した。一方、抗MDA5抗体>500 units/mlの患者は治療に抵抗性で短期間で呼吸不全にて死亡した。
 
Conclusion.
MDA5抗体の値は皮膚潰瘍、間質性肺炎の重症度、予後によく相関をした。抗MDA5抗体の値は間質性肺炎の経過を予測したり、より良い治療対象を手助けするのに役立つであろう。
 
 
Figure 1
膠原病と特発性肺線維症、健常人における抗MDA5抗体の値
→ 抗MDA5抗体はCADM/DMに対する特異度は100%
 
 
Table 1
MDA5陽性と陰性患者における入院時臨床データの比較
 
イメージ 2
 
→抗MDA5抗体陽性の患者は80%が皮膚潰瘍、100%がILDを起こす。ILDの6割が急性・亜急性。
 
 
Table 2
MDA5陽性患者における治療前後の皮膚潰瘍と抗MDA5抗体値との比較
 
イメージ 1
→抗MDA5抗体>500の4例は全例、深い皮膚潰瘍が多発する。
→抗MDA5抗体>500の4例は全例死亡。<500の11例は全例生存。
 
ps;
抗MDA5抗体陽性ならILDの頻度は?RPILDの頻度は?予後は?
→ざっくりとしたメタ解析をしてみました。

MDA5抗体(ELISA)の検査特性