リウマチ膠原病のQ&A

日常診療で出会ったギモンに取り組んでいきます!

抗MDA5抗体の検査特性(免疫沈降法と比べて)

PM/DM間質性肺炎において、抗MDA5と抗ARSの測定が板に付いてきた今日この頃です。さて、リウマトロジストは長らく、MDA5の測定を限られた大学にお願いしておりました。最初にお願いしたのは10年前にもなるでしょうか。開発者に直接測定をお願いして、快諾いただいたことを覚えております(結果は陰性でしたが)。
 
2016.10月よりこの抗体が測定できるようになって、リウマチ科の病棟では余裕をもってIVCYの準備を計画することができるようになっております。さて、そのELISA法の有用性についての論文をご紹介します。
 
臨床的な表現と関連が深いとされる免疫沈降法をGoldstandardとしたときのELISA法の検査特性を調べておられますが、素晴らしい結果です。
 
 
PLoS One 2016;11(4):e0154285.
Clinical Utility of an Enzyme-Linked ImmunosorbentAssay for Detecting Anti-Melanoma Differentiation-Associated Gene 5Autoantibodies.
Sato S, et al.
 
Abstract
OBJECTIVE:
MDA遺伝子5に対する自己抗体はとくにDM患者に表現され、RP-ILDを合併するDM患者の亜型に関連する。この抗体を検出するための新しいELISAシステムの有用性を調査する
 
METHODS:
MDA5抗体を検出するために改善されたELISAを開発した。ついで8つの医療センターを含んだ多施設臨床試験を行い、PM/DM242例、non-PM/DMCTD190例、IIP154例、健常人123例を対象とした。患者血清中の抗MDA5抗体は新しく開発したELISA定量された。結果は免疫沈降法(IP)をゴールドスタンダードとして用いて得られた結果と比較された。加えて、ELISA定量化した抗MDA5抗体と臨床的特徴の関連を評価した。
RESULTS:
PM/DM患者においてELISAIP法で得られた抗MDA5抗体の測定は非常に一致していた;ELISAは(IP法と比べ)感度98.2%,特異度100%, PPV 100%, NPV 99.5%。抗MDA5抗体はDM患者の22.7%で検出されたが、PM,non-PM/DM CTD, or IIPでは検出されなかった。CADMRP-ILD、関節炎、発熱が抗MDA5抗体を有するDM患者において陰性と比べ高頻度であった(P≤ 0.0002 for all comparisons)。さらに、RP-ILDを有する抗MDA5抗体陽性の患者はRP-ILDを有さない患者と比べより高い抗体価を示した(P = 0.006)
 
CONCLUSION:
私たちが新たに開発したELISAは抗MDA5抗体をGoldstandardであるIP法と同等に検出する。臨床上DMが疑われる患者において抗MDA5抗体をルーチンに測定することを促進するだけのパワーがある。
 
イメージ 1
 
 
ps;
MDA5抗体陽性ならILDの頻度は?RPILDの頻度は?予後は?
→ざっくりとしたメタ解析をしてみました。