難治性TAKに生物学的製剤の導入を考慮しております。
<pubmedのつづき>
23. Sustained inflammation ofthe aortic wall despite tocilizumab treatment in two cases of Takayasuarteritis.
Rheumatology (Oxford). 2013Sep;52(9):1729-31.
難治性TAK2例にTCZを開始したが、2例とも画像上進行したという最初の報告。
→大切な報告です。画像上進行しては・・・です。
29. Clin Exp Rheumatol. 2012Nov-Dec;30(6):922-8.
Long-term efficacy andimprovement of health-related quality of life in patients with Takayasu'sarteritis treated with infliximab.
OBJECTIVES: TAK患者におけるIFXの健康のQOLにおける長期の効果、インパクトを調べること
METHODS: TAK15例の臨床データを後ろ向きに集めた。IFXを最後のフォローまで継続していた10例においてSF36質問票を用いてベースラインと最後のフォロー時に評価した。
RESULTS: IFX開始後のフォローは71±44ヶ月(range10-162)。最後のフォロー時における寛解は15例中11例(73.3%)。BVASスコアの有意な低下は最後のフォロー時に見られた [4.0 (1-16) → 3.0 (0-9), p=0.003]。有意なステロイドの減量が見られた[10 mg/day(0-50) → 2.5 mg/day (0-15), p=0.005)]。ステロイドの中止は反応した11例中5例。炎症マーカーは約2/3で正常化。画像上の活動性をIFX投与中15例中13例で評価した;改善2/13、Stable9/13、悪化2/13。副作用や重症の感染症はなかった。1例は注射時反応のためIFX3回目で中止。健康のQOLはTAKでは障害されていた;主な障害は疼痛と全体的な健康感。IFXは健康のQOLを有意に改善させた;とくに疼痛 (40.0±32.3 vs. 67.2±27.6, p=0.035)、全体的な健康(31.2±21.5 vs. 54.9±21.1, p=0.007)、Vitality (VT) (47.0±28.7 vs. 67.0±20.3, p=0.01)。
CONCLUSIONS:
IFXは健康のQOLの有意な利益をもたらし長期的に持続する改善をもたらした。
→IFX開始したTAK15例において約6年後の寛解は11例(73.3%)。画像評価ができた13例において改善2/13、Stable9/13、悪化2/13;IFXで画像が悪化する割合は6年で2/13。
33. Tocilizumab for the treatment of large-vessel vasculitis (giant cell arteritis, Takayasu arteritis)and polymyalgia rheumatica. Arthritis Care Res (Hoboken). 2012Nov;64(11):1720-9.
GCA7例、TAK2例にTCZを使用。TAK2例はいずれも改善。一例は4回投与後のPETで改善を認めた。
35. Rescue treatment withtocilizumab for Takayasu arteritis resistant to TNF-α blockers.
Clin Exp Rheumatol. 2012;30(1Suppl 70):S90-3.
PMRの権威、Salvaraniらの報告だったので読んだのですが、Case reportでした。IFX, ADAに抵抗性のTAKにTCZを使用し、6ヶ月でPETが改善。
36. Tumor necrosis factorinhibitors in patients with Takayasu arteritis: experience from a referralcenter with long-term followup.
Arthritis Care Res (Hoboken).2012 Jul;64(7):1079-83.
OBJECTIVE: 単一施設においてTAKに対するTNF阻害薬の使用について報告する。
METHODS: 後ろ向きに自施設においてTNFiを使用した難治性TAKの患者のコホートを調査した。ACR基準を満たす症例を登録した。疾患活動性はNIH基準によって評価した。
RESULTS: 20例(19例女性、17例白人)平均年齢±SD 33 ±10.2歳、TNFi使用前の罹患歴の中央値15.9ヶ月(interquartile range [IRQ] 2-32.7months)。TNFi使用前20例全例がプレドニゾンで治療された。その他の薬はMTX(18)、AZP(5)、MMF(3)、CY(3)。17例 (85%)がIFX、2例 (10%)がADA、1例(5%)がETNを使用。平均治療期間は23ヶ月(IQR 8.7-38.9 months)。TNFiの治療によって寛解が20例中18例 (90%)、持続的寛解が10例(50%)。12例中10例(83%)がPSN<10mgに減量でき、7例が中止できた。しかし、寛解に到達した18例中6例がTNFi投与中に再発した。11例 (55%)がTNFiを以下の理由で中止した:再発、 持続する疾患活動性、ステロイド減量効果がなかったこと、副作用 (4例)、その他(4例)。
Table1
→TNF阻害薬20例の内訳は、IFX17例 (85%)、ADA2例 (10%)、ETN1例(5%)。平均FUP=23ヶ月。20例中18例 (90%)が少なくとも一度は寛解し、持続的寛解が10例(50%)。12例中10例(83%)がPSN<10mgに減量でき、7例で中止できた。ただし、寛解に到達した18例中6例(33%)がTNFi投与中に再発。11例 (55%)がTNFiを中止。
37. Efficacy and tolerance ofinfliximab in refractory Takayasu arteritis: French multicentre study.
Rheumatology (Oxford). 2012May;51(5):882-6.
Objective. 難治性TAKにおけるIFXの効果と耐用性研究する。
Methods. TAK患者を含んだフランスの多施設後ろ向き研究。疾患活動性は新しい血管and/or全身性のサインと定義。
Results. 対象はTAK15例[年齢の中央値41歳 (range 17-61);13例が女性]。IFX開始時、14例がCS[prednisone; 中央値20 (range 5-35) mg/day]で治療され、MTXが7例、AZAが4例だった。IFXは中央値5 (range 3-5) mg/kgで中央値6週間毎に治療された。部分的または良い全体的反応は3, 6 and 12 ヶ月で各15例中13例(87%)、13例中10 (77%)、11例中8例 (73%)に見られた。臨床的、生物学的活動性は3ヶ月以内に有意に減少した (ベースラインでは11例にあったが、12ヶ月後には4例; P<0.05)。CSの投与量についても同様[ベースラインの中央値20 (range 5-35)mg/日より12ヶ月後の6 (range 2.5-30) mg/日; P<0.05]。一例のみ12ヶ月後も依然としてステロイドに依存性であった(vs IFXは8例)。CRPは中央値30 (4-70) mg/Lより3ヶ月後5 (range 0-57) mg/lに、6ヶ月後に6 (0-50) mg/l (P<0.05)。副作用は注射時反応2例、肺結核1例、重症肺炎とEBV再活性化1例。
Conclusion. この研究はTAKにおいてsteroid-sparing効果はもちろん、臨床的・生物学的な改善が見られるという点においてIFXが興味深いことを確認した。
※(本文より)Safetyのところ。
経過観察期間中、5例(30%)が副作用を経験し、2例が治療中止を要する注射時反応を経験した。これらはIFX開始から2-3分で出現し、皮疹、低血圧、全身性の皮疹を含んだ。重傷の皮膚感染症が1例におき、1例にEBV再活性化が起きた。別の患者は肺結核になった(スクリーニングの時にはなかったが偶然右上葉に空洞影が発見された)。IFXは15例中3例(20%)において中止された。死亡例はなかった。
→IFXを使用した難治性TAK15例。部分的または良い全体的反応は3, 6, 12 ヶ月で各15例中13例(87%)、13例中10 (77%)、11例中8例 (73%)。副作用は注射時反応2例、肺結核1例、重症肺炎とEBV再活性化1例。
38. Anti TNF-α in refractory Takayasu'sarteritis: cases series and review of the literature.
Autoimmun Rev. 2012 Jul;11(9):678-84.
TAKは稀な大血管炎。従来の治療はステロイド剤であり、その他の免疫抑制剤と併用されるかもしれない。しかし、従来型の治療によって寛解を達成しない患者もいる。治療が難しいTAK患者における抗TNF阻害薬の使用は有用かもしれない。私たちはTNF阻害薬で治療された難治性TAK84例の主な特徴、治療とアウトカムを報告する(5例が自験例、79例が報告例)。平均年齢は28.5歳 [中央値26.0歳, range 7-61歳]で74/83(89%)が女性。1例を除き全例がその他の免疫抑制剤によって十分にコントロールされていなかった。TNF阻害薬の第1選択薬はIFX 81%(68/84)、 ETN 19% (16/84)。ほとんどがIFXを5mg/kgでMTXかAZPと併用で治療を受けた。84例中31例(37%)において完全寛解、45 (53.5%)が部分寛解。無反応8 (9.5%)。84例中27例 (32%)がコントロール不十分のためTNF阻害薬の量を増やす必要があった。15例(18%)がTNF阻害薬を変更しなければならなかった。ステロイドが減量できたのは41/79 (52%) [20mg (13.1-60) → 2.5mg (0-10);p<0.0001]、中止できたのが31/77 (40%)。中央値10ヶ月後[range3-82]、17 (20%)の副作用が記録され、8例においてTNF阻害薬の中止につながった。それは主に感染症、過敏反応。結論として、TNF阻害薬は難治性TAKにおいて有効な治療薬である。20%のケースで副作用が見られるが。TAKにおけるTNF阻害薬の長期的な効果と安全性を評価するため、TAKの早期に処方されるべきかどうかをよりよく決定するためにはさらなる研究が必要だ。
→難治性TAKにIFXを使用した5例の自験例と過去の報告例と合わせた計84例をサマライズしてくれています。
・中央値10ヶ月において、4割でステロイド中止、5割でステロイド減量ができるとのこと。
・2割に副作用があり、1割弱(8/84)で中止を余儀なくされる。
この素晴らしい論文に出会ったおかげで、これより古い論文を読む必要がなくなりました。良いレビューですね。
41. Takayasu's arteritisprogression on anti-TNF biologics: a case series.
Clin Rheumatol. 2011May;30(5):703-6
39歳女性のTAK。難治性のためIFX+MTX開始し反応したが、MRI上再燃。ADAに変更後もMRI上再燃。報告時はCYで寛解中。17歳女性のCrohn病。IFX治療中にTAKを発症。MTXに変更しPSN20mgで活動性なし。
a. IFX投与中に動脈壁肥厚。b. ADA投与中に動脈壁肥厚。ともに1例目の39歳女性。
→TCZでもありましたが(↑23)、IFXでも画像上の進行はあるのですね。
<Scenario caseの経過>
患者さんに説明を行った。
・日本ではTCZの使用経験が多いが、国際的にはIFXの使用経験が豊富であること
・IFX抵抗性のTAKにTCZが有効であった症例報告があること(逆がないのは時代のためか)、
・いずれの薬剤でも臨床的には改善しやすいこと、
・画像上改善するケースも報告されているが進行したケースの報告もあること、
・いずれの薬剤もまだ成績が十分ではなく研究段階の治療であること
ps;↓でGCAのreviewを執筆させていただきました!
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以下でEGPAのreviewを執筆をさせていただきました!
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