リウマチ膠原病のQ&A

日常診療で出会ったギモンに取り組んでいきます!

RAの二次性アミロイドーシスにおける難治性下痢症

AAアミロイドーシスは少なくなりましたね。
 
昨今のT2Tの時代において、この疾患は絶滅する恐れすらあるのではないでしょうか(笑)
 
ご存じ、RAの末期症状とでもいいましょうか、慢性炎症が持続し、血清アミロイドAが臓器に沈着することで、臓器障害を呈する病態のことです。典型的には、尿蛋白を伴う腎機能障害、慢性下痢症を呈します。
 
この度、若手Drとアミロイドーシスの話題になり、リウマトロジストが若かりし頃に強く印象に残った論文の話をしました。
 
RAのアミロイドーシスにおいて難治性下痢症は予後不良因子であるかもしれない」とした報告です。
 
臨床に根付いた研究で、患者さんをよく診ておられるな~~と感動した内容です。
 
今後は難治性下痢症を呈する患者も少なくなるかもしれませんが、Pre-biologic eraの貴重な記録として後世に残ることでしょう。
 
 
Intractable diarrhoea associated withsecondary amyloidosis in rheumatoid arthritis.
Ann Rheum Dis. 1997 Sep;56(9):535-41.
Okuda Y, Takasugi K, Oyama T, Oyama H,Nanba S, Miyamoto T.
 
 
Abstract
Objective—RAの二次性アミロイドーシスに合併する難治性下痢症の臨床的特徴を調査すること
Methods—生検で確認された二次性アミロイドーシスのRA患者179例のうち、1か月より長く続く難治性下痢症の患者24例(女性23例、男性1例)をretrospectiveに調査した。
Results—下痢の平均期間 (SD)87 (64)。前駆症状として消化管不全の症状(n = 21)、蠕動障害 (n = 16)が見られた。Laboデータは吸収障害や蛋白漏出性胃腸症による低蛋白血症(4.7 (0.85) g/dl)CRP高値 (17.0 (9.3) mg/dl)。難治性下痢症の再発 (n = 4)と難治性下痢症からアミロイドーシスによるその他の消化管障害への移行 (虚血性大腸炎(n = 2)と偽性腸閉塞 (n = 4))が見られた。19 (25エピソード)において、寛解時の中心静脈栄養(18エピソード)の期間 68 (52)。ステロイドパルス療法が10例(11回)に行われ、ステロイドパルス療法後より下痢が止まるまでの期間は18 (14)。難治性下痢症の発症後、1年後、5年後の生存率は73.4%38.9%13例中7 (54%)感染症で死亡した。
Conclusion—RAの二次性アミロイドーシスによる難治性下痢症は重症の臨床病態であり、予後は不良である。中心静脈栄養とステロイドパルス療法が難治性下痢症に好まれるレジメンと推定されるが、感染症の可能性についてモニターしなければならない。
 
Figure 6
イメージ 1
 
 
 
 
(本文より)
Log rank testにおいて統計学的に有意ではなかったが(p = 0.0704)、二次性アミロイドーシスの診断からの生存曲線は難治性下痢症群では非難治性下痢症群と比べ低い生存率を示した (5年生存率, 47% v 61.1%) (fig 6)