リウマチ膠原病のQ&A

日常診療で出会ったギモンに取り組んでいきます!

皮膚筋炎の皮膚所見

 
DMの皮疹とはなんでしょうか。
 
 
 
Bohan&Peterの診断基準において、DMとはGottron丘疹・サイン、ヘリオトロープ疹=Typical rashを呈するものと定義されております。
 
 
 
しかし、しっかりとした皮疹を呈するのに、Gottron丘疹・サイン、Helitotrope疹を呈さない筋炎患者をしばしば経験します。
 
 
 
こういうCasePMというべきなのでしょうか。
 
 
 
Vサイン・ショールサインも定義に入っていないため、これだけならPMということになります。
 
では、爪囲紅斑だけなら?
 
以前、ご紹介した金沢大学皮膚科からの論文では、抗Mi-2抗体、抗155/140抗体、抗MDA5抗体では、Truncal erythema(体幹の紅斑)も多く見られます。
 
40年前のDMのTypical rashの定義に従っていると、どっちつかずになっているPM/DM患者がいるように思っており、Typical rashとはなんなのかを定義しなおす必要があります。
 
 
 
ということで、この度はいつものUptodateを訳してみました。
 
 
Uptodate
Clinicalmanifestations of dermatomyositis and polymyositis in adults-Skin findings
 

 

皮膚所見いくつかの特徴的な皮疹がしばしば発症時にPMではなく、DMにおいてみられる [15,16]。その他の皮膚変化がPM患者とDM患者に見られるが、その他の疾患に特異的なものではない。皮膚科的所見は顕著かもしれないが、ごくわずかであってもよい。
 
 
 
 
 
DMに特徴的な皮膚所見— Gottron丘疹とヘリオトロープ疹がDMの特徴。Gottronサイン、日光露光部の紅斑、poikiloderma(多形皮膚委縮症)、爪郭の変化、頭皮の皮疹、皮膚石灰沈着も特徴的であり、PMDMから区別するために有用。
 
 
 
Gottron丘疹–Gottron丘疹は紅斑からスミレ色の丘疹。MCPIP関節の伸側(背側)に対称的に出現する。加えて、これらの所見は皮疹がひどいときにはMCPIP関節の間の皮膚に及ぶかもしれない。Gottron丘疹はしばしば瘢痕を残し、潰瘍化するかもしれない。瘢痕がある場合、乾癬や扁平苔癬を真似する。
 
 
 
Gottronサイン Gottronサインの定義は文献によって異なる。私たちはGottronサインとは手以外の関節、とくに肘、膝、足の伸側に出現する紅色からスミレ色の斑状皮疹、丘疹erythematous toviolaceous macules, patches, or papulesの存在を言う。これとは異なり、これらの領域に出現する丘疹をGottron丘疹と呼び、斑上の皮疹をGottronサインという著者もいる。
 
 
 
Heliotrope eruption ヘリオトロープ疹)– ヘリオトロープ疹は上眼瞼の紅色からスミレ色の皮疹。時々、上眼瞼の浮腫を合併し、顕著な腫脹になることもある。
 
 
 
●顔面の紅斑–顔面中央に紅斑が出現しているかもしれない。SLEの頬部紅斑に似る。SLEとは異なり、DM患者は鼻唇溝をしばしば侵し、両者を区別する上で有用になりうる。
 
 
 
Photodistributed poikiloderma (including the shawl and V signs) 日光露光部の多形皮膚委縮症(ショールサイン、Vサインを含む)– Poikilodermaは毛細血管拡張、表皮の萎縮に加え、色素過剰沈着と色素沈着減少の両方ともが存在する皮膚を言う。DM患者ではPoikilodermaはいかなる皮膚露光部に出現してもよい;しかし、典型的な部位は上背部(shawl sign)と頸部から上胸部のVである。DMPoikilodermaはスミレ色の様相を呈する。皮疹の早期にはこれらの領域は完成されたPoikilodermaというよりは単なる紅斑であるかもしれない。紅斑は斑状(触知できない)、または丘疹になるかもしれない。稀にこれらの皮疹は肥厚し、papular mucinosis(丘疹性ムチン沈着症)になるかもしれない。DMの皮疹はしばしば有意な掻痒に関連し、そのことが日光露光部の皮疹をLEと区別するのに役立つかもしれない。
 
 
 
Holster sign DM患者は大腿の外側にpoikilodermaを呈してもよい。“Holster sign”と呼ばれる。なぜこれらの皮疹が典型的な日光に曝露されない領域に出現するのかは分かっていない。
 
 
 
Generalized erythroderma 稀には紅斑が出現し、紫外線により曝露されない領域を含み広範になるかもしれない。
 
 
 
Periungual abnormalities爪周囲の異常– DMにおける毛細血管の爪床は紅いかもしれない。強皮症やSLEのようなその他の全身性リウマチ性疾患で見られる所見と同様の血管の変化を示すかもしれない。異常な毛細血管の爪床のループは移行部の拡張・脱落や爪囲紅斑を伴い明らかかもしれない。加えて、時にragged cuticlesぎざぎざの爪上皮と言われる表皮の過成長が特徴的であり、過形成の領域の中に出血性の梗塞を伴うかもしれない。爪上皮の障害の程度は進行中の皮膚疾患のを反映すると考えられており、活動性の血管症を表している [18]
 
 
 
 
 
Psoriasiform changes in scalp DM患者の多くが頭皮の変化は脂漏性皮膚炎や乾癬を真似する。DMの頭皮sの皮疹はびまん性でしばしばpoikiloderma様の変化と顕著な瘢痕を呈する。頭皮の皮疹は重症の燃えるような感覚、掻痒、and/or睡眠障害を呈する。加えて、重症の掻痒は視覚では分からなくても起きることがある。
 
 
 
Calcinosis cutis 皮膚の中のカルシウムの沈着は通常若年性DMによく起きる。成人のDMにおいては稀。小児では石灰化はステロイド治療・免疫抑制剤の治療の遅れに関連する。皮膚石灰沈着症は治療するのが大変難しいことで知られており、強皮症(とくに限局皮膚型強皮症)、SLE(稀)、オーバーラップ症候群などの様々な病態で見られる。抗p140/MJ抗体を有するDM患者ではよりコモン [19,20]
 
 
 
Skin findings in antisynthetase syndrome — DMPMのいずれの患者、典型的には抗合成酵素症候群の患者は“mechanic’s hands,”機械工の手を呈するかもしれない。手指の掌側・外側に過角化性で皮膚に亀裂の入った皮膚を呈する。時にこれらの変化は不整で汚く見える水平な線に至る。肉体労働者の手に似る。[9]
 
 
 
 
Rare cutaneous findings — DM患者において稀に報告される皮膚所見には魚鱗癬、脂肪織炎、皮膚血管炎、扁平苔癬、陶器の様な白さの萎縮性瘢痕、小嚢と水泡形成、毛孔性角化症、malakoplakia丘疹性ムチン沈着症、鞭を打った後の様な紅斑[15,16,22-24]。びまん性の圧痕を伴わない浮腫がもうひとつの稀なDMの皮膚所見であり、より重症の疾患のマーカーになるかもしれない[25]