地域医療を支える先生方にお話をさせていただく機会をいただきました。
「強皮症をスクリーニングする」というメッセージを伝えるにはどうしたらよいでしょうか。
内科クリニックの外来と、総合病院のリウマチ科外来とでは大きな違いがありますよね。
そこで、この度は、強皮症でよくみられる所見をお知らせします。
以前まとめました、SScのACR分類基準(2013年)の検査特性を報告した臨床研究より引用します。
これらの強皮症でよくみられる臨床所見はいずれも特異性が高いため、Rule outだけでなくRule inするパワーも大きいのです。
対象となるコホートは欧米23施設を連続して受診した強皮症患者368例。
この論文はSScの分類基準を作成するために用いたDerivationの患者群(n=100)と、妥当性を評価するために用いたValidationの患者群(n=268)に分けられていますが、ここでは合計して%で示します。
強皮症でよく見られる臨床所見
1 | レイノー現象 | 95% |
2 | Puffy fingers | 63% |
3 | 自己抗体 (Scl-70/RNAP3/Cent) |
56% |
4 | 爪郭の毛細血管異常 | 54% |
5 | MCPより遠位の皮膚硬化 | 50% |
6 | 指尖の潰瘍 | 44% |
7 | 指尖の瘢痕 | 43% |
8 | 間質性肺炎 | 39% |
9 | MCPより近位の皮膚硬化 | 36% |
10 | 毛細血管拡張 | 28% |
※自己抗体の頻度は抗Scl-70抗体28%、抗セントロメア抗体20%、抗RNApolymerase抗体8%でした。
Table 3
ps;
強皮症に関するReview of systemsも忘れずにチェックしておきましょう。
レイノー減少はもちろんのこと、胸やけ、便秘・下痢、咳・息切れ、口腔・眼球乾燥です。
皮膚硬化の自覚症状として、手指が曲げにくい、お化粧のりが悪いという症状を訴えられます。
身体所見としてはmodified Rodnan total skin thickness score (m-Rodnan TSS)をつけます→指定難病の申請に必要になりましたね。
ps;↑の論文には記載されていませんが、スクリーニングに適していると思われる身体所見として、Round fingerpad signというものがあります。