リウマチ膠原病のQ&A

日常診療で出会ったギモンに取り組んでいきます!

胸鎖関節の化膿性関節炎 (1/2)

Clinical scenario
 
 
 
 
5日前からの胸痛、発熱にて搬送された。
 
 
 
右胸鎖関節に腫脹と圧痛を認め、CTにおいても胸鎖関節の腫脹が確認された。
 
 
 
血液培養にてGroup B streptococcusが検出された。
 
 
 
胸鎖関節の化膿性関節炎?
 
 
(症例は架空です)
 
 
Uptodateにて>
 
sternoclavicularseptic arthritisを検索し、Septic arthritis in adultsを読みます。
 
・胸鎖関節炎は鎖骨下静脈カテーテル穿刺の稀な合併症である [17].
 
IV drug userは胸鎖関節や胸骨・胸骨柄の関節のような軸の関節に細菌性関節炎を起こす傾向がある。[29]
 
あまり記載がありません。
 
 
 
uptodateの孫引き>
 
[29] Medicine (Baltimore).2004 May;83(3):139-48.
 
Sternoclavicularseptic arthritis: review of 180 cases.
 
Ross JJ,Shamsuddin H.
 
 
 
INTRODUCTION
 
1970年より報告された胸鎖関節の化膿性関節炎170例をレビューした。過去に報告されていない10例について述べる。1988年、Wohlgethanらは最近の包括的レビューを出版し、4例を提示し、1949-1987年の間に出版された64例をレビューした。それ以降、胸鎖関節の化膿性関節炎の微生物学に大きな変化が起きた。すなわち、重要性においては緑膿菌が減少し、MRSAが増加した。画像検査法の進歩によって、膿瘍形成、骨髄炎、縦隔炎、膿胸のような重症の合併症の頻度が高いことが良く分かるようになった。これらの変化はこのユニークな症候群の最適の内科的、外科的管理において重要になる。胸鎖関節は健康な人における化膿性関節炎の場所としては稀な部位であるが、IV drug userえはコモン。この特有の傾向は理解されていない;可能性のある説明をレビューする。
 
 
 
METHODS
 
1970年以降報告された胸鎖関節の化膿性関節炎の症例をpubmedを用いて同定した。症例は胸鎖関節の化膿性関節炎の診断を支持する身体所見と画像所見に加え、針穿刺、傷口からの排液、または胸鎖関節の手術時の標本の培養が陽性であるか、血液培養が陽性であれば登録された。ブルセラ菌による化膿性関節炎の症例は血清学的検査または骨髄培養が陽性であれば登録してもよいこととした。文献からの170例がこの基準を満たした。過去に報告されていない10例が著者らの施設で個人的に診療された。
 
 
 
RESULTS
 
Epidemiology andClinical Features
 
Table 1は過去に報告されていない胸鎖関節の化膿性関節炎10例をまとめたものだ。全ての患者の臨床的特徴はTable 2にまとめた。胸鎖関節の化膿性関節炎の平均年齢は45(範囲, 11–88)。平均年齢35歳であったIV drug userの患者を除外すると平均年齢は48歳。顕著な男性優位があった(123 of 168 patients; 73%). これはIV drug userでは特に顕著であったが(30 of 33 male; 91%)、そうでない患者でも見られた (93 of 135 male; 69%)
 
ほとんどの患者が胸鎖関節に限局した胸痛を呈した (122 of 156 patients; 78%)。患者は肩の疼痛や(38 of 156 patients; 24%)、稀ではあるが頸部痛(3 of 156 patients; 2%)も訴えた。胸鎖関節上の有痛性の腫脹が主訴であったのは156例中7 (4%)であり、結核性関節炎の6例のうち3例でそうであった。
 
患者は通常亜急性の経過を呈した。初診時までの症状の持続期間の中央値は結核ブルセラ症を除くと14日(平均29日)。ブルセラ(平均44日)、結核128日)では潜在性の症候であった(ただし、10年の症状を有した結核による胸鎖関節の化膿性関節炎を除外した)。
 
IV drug userでない片側性の胸鎖関節の化膿性関節炎の患者では右側が多かった (78 of 129 cases; 60%)。右側有意はIV drug userではそれほど顕著ではなかった (13 of 24 cases; 54%)。多関節性の化膿性関節炎は168例中35(21%)で見られ、両側性の胸鎖関節の化膿性関節炎も8(5%)ほど含まれた。
 
38.0度以上の発熱は144例中94 (65%)。胸鎖関節の圧痛は147例中132 (90%)、肩の動きに制限があったのは147例中25 (17%)
 
 
 
Table 2 胸鎖関節の化膿性関節炎の臨床所見  
臨床所見 患者数 (%)
男性 123/168 (73)
女性 45/168 (27)
胸痛 122/156 (78)
肩の疼痛 38/156 (24)
胸鎖関節の疼痛と腫脹 7/156 (4)
右胸鎖関節 91/161 (57)
左胸鎖関節 62/161 (39)
両側性胸鎖関節 8/161 (5)
多関節化膿性関節炎 35/168 (21)
胸鎖関節の圧痛 132/147 (90)
肩ROM制限 25/147 (17)
38度以上の発熱 94/144 (65)
白血球上昇 > 11000 39/70 (56)
菌血症 61/99 (62)
手術例 102/174 (59)
鎖骨and/or胸骨の骨髄炎 94/168 (56)
胸壁の膿瘍 42/168 (25)
縦隔炎 21/168 (13)
死亡 7/173 (4)
 
 
Laboratory andRadiologic Findings
 
白血球上昇が見られたのは70例中39例のみ (56%)。菌血症は99例中61 (62%)において証明された; 180例全例のうち24 (13%)において微生物学的検査が陽性になったのは血液培養だけであった。関節穿刺はほとんどの患者において施行できなかったが、針穿刺が行われていれば培養は65例中50 (77%)で陽性であった。180例中64(36%)において、微生物学的診断は手術時の標本の培養でなされた。ブルセラ症4例は骨髄培養が陽性であり、他の3例は血清学的な診断であった。1例では、胸鎖関節に行く洞管からの培養でブドウ球菌が育った。32例において、病因微生物は血液、関節液、手術時の標本より培養されなかった。
 
102例中87(85%)において最初のX線検査は正常であった。2例で後のX線検査にて鎖骨や胸骨の骨髄炎が証明されたが。古いX線断層写真において29例中22(76%)において骨髄炎が証明された。
 
CT95例で施行され、すべてのスキャンが少なくともひとつの以上を示した。骨髄炎66 (69%)、胸壁の膿瘍や蜂窩織炎54 (57%), joint space widening or fluid in 関節腔の拡大や液貯留24 (25%), 縦隔炎19 (20%)、胸膜外の膿瘍1 (1%)10例はMRI検査を受け、全例以上を指摘された。胸壁の蜂窩織炎9 (90%)、骨髄炎6 (60%)、関節腔の拡大5 (50%)、縦隔炎1 (10%)
 
 
 
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