リウマチ膠原病のQ&A

日常診療で出会ったギモンに取り組んでいきます!

リウマチ・膠原病科における指定難病の申請について

20151月、特定疾患の対象が拡大されました。
 
その反面、各疾患とも軽症例は対象から外れます。
 
すでに認定されていても次回の更新は認定されないかもしれません。
 
拡大された疾患においても、申請の前に認定されそうかどうかを確認しましょう。
 
→ 雑感をコメントします。
 
 
指定難病(特定疾患)の申請について
 
 
巨細胞性動脈炎(GCA
 
3度(以上)が対象。「視力障害、大動脈瘤AR、下肢または上肢の虚血性病変」が存在する。
→ 新たに対象疾患となりましたが、ここまで呈するケースは稀!
→ 新規参入には厳しいようです。
 
 
●結節性多発動脈炎(PN
 
 
→ 以下に示すMPAと全く一緒
 
 
顕微鏡的多発血管炎(MPA
 
3度;機能不全に至る臓器病変(腎、肺、心、精神・神経、消化管など)ないし合併症(感染症、圧迫骨折折、消化管潰瘍、糖尿病など)を有し、しばしば再燃により入院または入院に準じた免疫抑制療法ないし合併症に対する治療を必要とし、日常生活に支障をきたしている患者。臓器病変の程度は注1ののahの何れかを認める。
→ ahは結構厳しい条件です。肺線維症によるPaO260~70Cr2.5~4.9など。
→ かなり通りにくくなるのではないでしょうか。血管炎には厳しくなった印象です。通らなくても、「軽症ということです」とでも言って励ましてあげましょう。 
 
 
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)
 
3度「血管炎により,不可逆的な臓器障害※2ないし合併症を有し,しばしば再燃により入院又は入院に準じた免疫抑制療法を必要とし、日常生活(家庭生活や社会生活)に支障をきたす患者。」
→ ※2GPAMPAよりも厳しい条件です。PaO2<60Cr5.0-7.9など。その中では「末梢神経障害による知覚異常および運動障害」が満たしやすいでしょうか。
→ しかし、入院または入院に準じた免疫抑制療法を必要とする状態が続くEGPAは稀。
→ やはり、新規参入には厳しいようです。
 
3度「治療にもかわらず再発性の血栓症がある、軽度臓器障害やADL の低下がある」以上が対象。
→おおむね2度が多いでしょうから、実際のところ対象となる患者さんはごくわずか。
 
 
混合性結合組織病(MCTD
 
中等症以上を対象とする。中等症に該当する症状・所見は発熱、リンパ節腫脹、筋炎、食道運動機能障害、漿膜炎、腎障害、皮膚血管炎、皮膚潰瘍・手指末端部壊死、肺線維症、末梢神経障害、骨破壊性関節炎。これに対し、軽症はレイノー現象、指・手の腫脹、紅斑、趣旨に限局する皮膚硬化、非破壊性関節炎。
→ 軽症のため対象から外れるMCTDは多いでしょう。GERDがあれば満たしやすいか。
 
 
再発性多発軟骨炎(RP)
 
ポイント制で9点以上。9点以上与えられているのは、明らかな軟骨炎・臓器障害。
→ なぜか気管・気管支軟骨は入っていないようです。
 
 
シェーグレン症候群(SjS)
 
ESSDAI5点以上なら重症になり、対象になる。
→ 重み(係数)×活動性(0~3)の合計で求める。加点が見込めるところは・・・
・腺症状だけなら重み2点×1~2点なら、2~4点。
・血液障害の1点(Neutro<1500、Hb<12, Plt<15万)があれば、重み2点をかけて2点。
・しびれがあった場合、末梢神経障害の重みは5点ですが、最低点(1点)の定義は神経伝導速度検査(NCS)で証明された純粋感覚性軸索多発ニューロパチー、三叉神経痛とされハードルが高い。
 
成人スチル病(ASD
 
対象は中等症以上。漿膜炎、好中球比率≧85%、フェリチン≧3000ng/ml、著名なリンパ節腫脹、ステロイド治療抵抗性(PSL換算≧0.4mg/kg)が各1点、DIC血球貪食症候群が各2点とし、合計点が2点なら中等症。
→ その重症度は診断時で記載していても、最近6カ月以内の状態の記載を求められており、これで軽症と判断される可能性があります。
 
 
全身性エリテマトーデス(SLE
 
SLEDAI※4点以上を対象とする。
 
※SLEDAI
http://blogs.yahoo.co.jp/oiwarheumatology/13676116.html
 
→ ループス腎炎が主体であれば寛解すれば更新されにくくなるのかもしれません。寛解はいいことなので励ましてあげましょう。
 
 
 
強皮症(SSc
 
①皮膚、②肺、③心、④腎、⑤消化管のうち、最も重症度スコアの高いものがmoderate以上の患者を助成の対象とする。
①皮膚;TSS10以上、
②肺;%VC79%以下、
③心;治療を要する不整脈・伝導障害、40<EF<45
④腎;高血圧性じん障害(SRC)、正常血圧腎障害(ANCA-relatedHUS
⑤消化管;GERDまたは抗菌薬を要する腸内細菌叢異常
→ 皮膚はのTSSを計算します。
※Modified Rodnan’s total skin thickness scoreの評価法 (強皮症研究会議HPより)
 
皮膚硬化では、0;normal, 1~;mild, 10~;moderate, 20~;severe, 3~;very severeで、moderate以上が対象なので、mRodnan-TSS10点以上が申請の条件です。
 
例)手指がスコア2なら両側で4点、同じく両側で、手背でスコア2点、前腕で1点があれば、(2点+1)×2を足して、10点になります。
 
→ 限局皮膚型は通りにくくなっております。消化管のGERDがあれば通りやすいでしょうか。
 
 
高安動脈炎(TAK)
 
Ⅲ度は「ステロイド剤を含む内科療法、あるいはインターベンション(PTA)、外科的療法にもかかわらず、しばしば再発を繰り返し、病変の進行、あるいは遷延が認められる。」
→ 再発性は対象となるが、新規は対象から外れやすいかもしれません
→ 血管炎には厳しくなった印象です。
 
 
 
多発血管炎性肉芽腫症(GPA/WG
 
 
 
 
3度、すなわち「上気道(鼻,耳,眼,咽喉頭など)及び下気道(肺),腎臓障害あるいはその他の臓器の血管炎症候により,非可逆的な臓器障害※1ないし合併症を有し,しばしば再燃により入院又は入院に準じた免疫抑制療法を必要とし,日常生活(家庭生活や社会生活)に支障をきたす患者。」
 
→ ※1とは結構厳しい条件です。肺線維症によるPaO2 60~70Cr2.5~4.9など。
 
→ やはり、血管炎には厳しくなっています。再発性の経過であれば通りやすいかもしれません。
 
 
 
 
 
TRAPS
 
 
 
 
重症例、すなわち「頻回の発熱発作の為ステロイドの減量中止が困難で生物学的製剤投与を要する症例」を対象とする。
 
 
 
 
 
皮膚筋炎/多発性筋炎 (DM/PM)
 
 
 
 
以下のいずれかに該当する症例を重症とし、医療費助成の対象とする。
 
1)体幹・四肢近位筋群(頸部屈筋、三角筋上腕二頭筋腸腰筋大腿四頭筋、大腿屈筋群)の平均MMT 4+以下、またはいずれかで4以下
 
2)原疾患に由来するCK値もしくはアルドラーゼ値上昇
 
3)活動性の皮疹、4)活動性の間質性肺炎
 
→ MMT4以下であればいずれかの筋にあるでしょう。とくに診断時にはCKは上がっているでしょうし、通りやすいでしょう。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
Ⅱ;眼症状以外の主症状に虹彩毛様体炎、関節炎、副睾丸炎、Ⅲ;網脈絡膜炎、Ⅳ;失明の可能性があるか失明に至った網脈絡膜炎またはその他の眼合併症、活動性、ないし重度の後遺症を残す特殊病型(腸管ベーチェット病、血管ベーチェット、神経ベーチェット病)、Ⅴ生命に危険のある特殊病型または中等度以上の知能低下
 
→ 軽症のBDは通らなくなりそうです。虹彩毛様態炎、関節炎は比較的軽症でも通りやすいか。特殊型は通りやすいかもしれません。
 
 
 
※強直性脊椎炎が2016年7月1日に追加されました。
 

 

※若年性特発性関節炎

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000189760.pdf

 

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