リウマチ膠原病のQ&A

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APSの治療に関する2007年のシステマチックレビュー

A systematic review of secondary thromboprophylaxis in patients with antiphospholipid antibodies.
Arthritis Rheum 2007;57(8):1487-95.
Ruiz-Irastorza G, et al.
 
Abstract
OBJECTIVE:
抗リン脂質抗体と血栓を有する患者における様々なアプローチに関する有効性と安全性のデータを系統的にレビューすること
 
METHODS:
Medlineのデータベースと選択されたレポートのreference、レビューの文献を用いた。抗リン脂質抗体を有する患者における血栓症の二次予防に焦点を当てたRCT、前向き・後ろ向きコホート研究とサブグループ解析(n > 15)を選択した。
 
RESULTS:
16の研究を抽出した。静脈血栓症と抗リン脂質抗体1回のみ陽性の患者においてINR2.0-3.0をターゲットとした抗凝固療法を行えば再発率は低かった。脳卒中と抗リン脂質抗体1回のみ陽性の患者において抗リン脂質抗体を持たない患者と比較して再発のリスクは上がらなかった。抗リン脂質抗体症候群と確定診断された患者において、静脈血栓症の患者における再発率は動脈疾患and/or再発イベントを有する患者と比べ低かった。これは治療の有無によらなかった。実際のINR>3.0では再発率は3.8%だった。再発性の血栓症による死亡は出血による死亡よりも高かった(18vs1人)。
 
CONCLUSION:
APSの確定診断例において、最初の血栓症が静脈血栓症の場合はINR 2.0-3.0、再発例や動脈血栓症の場合はINR > 3.0をターゲットとした長期間のワーファリン療法を勧める。抗リン脂質抗体が1回のみ陽性である静脈血栓症脳卒中の患者では持続的な抗リン脂質抗体があるかどうかを確かめるために再検査を勧める。もしなければ一般の治療と同様に治療する(各々INR2.0-3.0のワーファリン、低用量アスピリン)。
 
イメージ 1
 
Definitions
A; arterial thrombosis
V; venous thrombosis
M; major bleeding
m; minor bleeding