リウマチ膠原病のQ&A

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新しいSLEの分類基準、SLICC分類基準 -その1-

SLEの新しい分類基準についてまとめます。
 
 
その1では、定義を述べます。
 
Table 3は原文のとおりに改行、スペース、斜めの文字を記載しております。斜めの文字はその項目をカウントする際の注意事項であり、分かりやすくするため、直前に※を追加しております。
 
Lupus erythematosus tumidus をどう訳してよいのか、分かりませんでした。
 
その2でこの基準の検査特性について述べます。
 
Arthritis Rheum 2012;64(8):2677-86.
Derivation and validation of the Systemic Lupus International Collaborating Clinics classification criteria for systemic lupus erythematosus.
Petri M, et al.
 
 
 

 

RESULTS
(第5パラグラフ)
Table 3は基準の最終リストであり、各々の基準をどのように定義したかについて詳細を示す。各々の基準は同時に存在しなくてもよい。提案する分類のルールは以下の通り:患者が臨床基準、免疫学的基準をひとつずつ以上を有し、計4項目満たす場合、SLEと分類する。あるいは、 患者が生検で証明されたSLEに合致する腎炎を有し、ANAまたは抗ds-DNA抗体を有する場合もSLEと分類する。
 
 
Table 3
SLICC分類システム*で用いた臨床的・免疫学的基準
 
臨床基準
1.急性皮膚ループス。以下を含む。
 ループス頬部皮疹(頬部の円盤状皮疹であればカウントしない)
 水泡性ループス
 SLEの中毒性表皮剥離症型
 斑状丘疹性ループス
 日光過敏症性ループス疹
※ただし、皮膚筋炎がないこと。
 
  OR 亜急性皮膚ループス(硬くない乾癬様and/or環状の多環性皮疹で瘢痕化せず改善する。ただし、時に炎症後の色素沈着や血管拡張を来たすことがある)
 
2.慢性皮膚ループス。以下を含む
 典型的な円盤状皮疹
  限局性(頸部より上)
  全身性(頸部の上下)
 肥大性(いぼ状)ループス
 ループス脂肪織炎(深在性)
 粘膜ループス
 Lupus erythematosus tumidus tumidとは「腫れた」の意味)
凍瘡状ループス
円盤状ループスと扁平苔癬のオーバーラップ
 
3.口腔潰瘍
 口蓋
  頬
  舌
 OR 鼻の潰瘍。
※ただし、血管炎、ベーチェット病感染症ヘルペス)、炎症性腸疾患、反応性関節炎、酸性の食事のようなその他の原因がないこと
 
4.非瘢痕性の脱毛症(びまん性に薄毛、または髪の破壊が見える髪の脆弱性
※ただし、円形脱毛症、薬剤性、鉄欠乏性、アンドロゲン性脱毛症がないこと。
 
5.腫脹か液貯留を伴う2関節以上の滑膜炎
 OR 30分以上の朝のこわばりを伴う2関節以上の圧痛
 
6.漿膜炎
1日より長く続く典型的な胸膜痛
 OR 胸水貯留
 OR 胸膜摩擦音
1日より長く続く典型的な心膜痛(臥位で悪化し前かがみに座ると改善する疼痛)
 OR 心膜液貯留
 OR 心膜摩擦音
 OR 超音波検査における心膜炎
※ただし、感染症、尿毒症、ドレッサー心膜炎のようなその他の原因がないこと。
 
7.腎
 500mg/24時間に相当する尿蛋白/Cr比または24時間尿蛋白
  OR 赤血球円柱
 
8.神経学的
 痙攣
 精神病
 多発性単神経炎
  ※ただし、原発性の血管炎のようなその他の既知の原因がないこと。
 脊髄炎
 末梢性神経障害または脳神経障害
  ※ただし、原発性血管炎、感染症、糖尿病のような他の既知の原因がないこと。
 急性混迷状態
  ※ただし、中毒性、代謝性の原因、尿毒症、薬剤などのその他の原因がないこと。
 
9.溶血性貧血
 
10.白血球減少(<4000/mm3が少なくとも1回)
  ※ただし、フェルティ症候群、薬剤、門脈亢進症のような既知の原因がないこと。
   OR リンパ球減少(<1000/mm3が少なくとも1回)
     ※ただし、ステロイド、薬剤、感染症のような他の既知の原因がないこと。
 
11.血小板減少(少なくとも1<100000/mm3
 
免疫学的基準
1.抗核抗体が検査室の基準値を超える
 
2.抗dsDNA抗体が検査室の基準値を超える(またはELISAで検査した場合、基準値の2倍を超える)
 
3.抗Sm抗体;Sm核抗原に対する抗体
 
4.以下のいずれかで判定された抗リン脂質抗体陽性
 ループスアンチコアグラント
 急速血漿反応(RPR)の偽陽性
 抗カルジオリピン抗体の中等度または高力価(IgA, IgG, or IgM
 β2GPI抗体陽性(IgA, IgG, or IgM
 
5.補体低値
 C3低値
 C4低値
 CH50低値
 
6.直接クームス試験陽性 ※ただし、溶血性貧血がないこと

 
* 基準は加算し、同時に存在しなくてもよい。SLICC =  Systemic Lupus International Collaborating Clinics; SLE = systemic lupus erythematosus; ANA = antinuclear antibody; anti-dsDNA = anti–double-stranded DNA; ELISA = enzyme-linked immunosorbent assay.
 

 

 

ps

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