リウマチ膠原病のQ&A

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NSAIDs潰瘍予防にランソプラゾール15mgを使う理由

プロトンポンプ阻害薬PPI)を使うようになって、NSAIDs潰瘍を経験しなくなりました。
 
さまざまなPPIがあるなかで、ランソプラゾール15mgを使う根拠は以下の論文のデータです。
 
 
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Ulcer prevention in long-term users of nonsteroidal anti-inflammatory drugs: results of a double-blind, randomized, multicenter, active- and placebo-controlled study of misoprostol vs lansoprazole.
Arch Intern Med. 2002 Jan 28;162(2):169-75.
 
 
NSAIDsの長期使用に伴う潰瘍の予防:ミソプロストールvsランソプラゾールの実薬・プラセボ比較による二重盲検多施設RCT
 
 
Abstract
BACKGROUND:
NSAIDsの長期使用に伴う潰瘍の再発予防に関する研究はH.pyloriの有無で層別化されていなければ、H pyroliを有さない大規模な人口に一般化できないかもしれない。
 
METHODS:
この研究は前向き、二重盲検多施設、実薬・プラセボ比較による研究。対象はH pyloriを持たない、NSAIDsを長期に使用する患者で、内視鏡にて診断された胃潰瘍の既往を有する537例。患者は12週間、プラセボ、ミソプロストール200mg14回投与、またはランソプラゾール15mg30mgのいずれかの投与に割りつけられた。
 
RESULTS:
ランソプラゾール (15 or 30 mg) を投与された患者はプラセボを投与された患者と比べ長期間にわたって胃潰瘍がない状態が続いた(P<.001)。しかし、ミソプロストールの方が長かった。12週間まで胃潰瘍にならない患者の割合は以下のとおり;プラセボ51% (95%CI, 41.1%-61.3%);ミソプロストール 93% (95%CI, 87.2%-97.9%); ランソプラゾール15 mg, 80% (95% CI, 72.5%-87.3%); ランソプラゾール30-mg, 82% (95% CI, 75.0%-89.6%)。ミソプロストール群では有意に多い患者が治療に関連した副作用、早期の離脱を報告した。潰瘍発生における離脱のインパクトを治療失敗と考えれば、治療成功は実薬で69%プラセボ35%
 
CONCLUSIONS:
ランソプラゾールのようなプロトンポンプ阻害薬NSAIDs誘発性胃潰瘍の予防においてプラセボよりも優れていたが、ミソプロストールよりは優れていなかった。ミソプロストールに関連するコンプライアンス不良と副作用のリスクを考慮するとプロトンポンプ阻害薬とフルドーズのミソプロストールは臨床的には同等である。