リウマチ膠原病のQ&A

日常診療で出会ったギモンに取り組んでいきます!

ブロダルマブのPsAを対象としたRCT

Brodalumab (ルミセフR)PsAに対する唯一のRCTです。

 
Brodalumab, an anti-IL17RA monoclonalantibody, in psoriatic arthritis.
Mease PJ, et al.
N Engl J Med 2014;370(24):2295-306.
 
Background
IL17 receptor Aに対する人型モノクローナル抗体 (IL17RA), brodalumab の効果と安全性についてPsAを対象として第2DBRCTで評価した。
 
Methods
活動性PsAbrodalumab (140 or 280 mg sc) or placeboに無作為に割り付けた。Day 1 およびweeks 1, 2, 4, 6, 8, and10に投与した。Week 12において研究への参加を中止しなかった患者はopen-label brodalumab(280 mg)2週間毎を投与された。The primary end point12週時のACR 20
 
Results
無作為割り付けされた168例のうち (bro 140-mg, 57例、280-mg 56, プラセボ55), 159例がdouble-blind phaseを完了し、134例が40週のopen-label extensionを完了した。12週時にbro 140-mg and 280-mg groups群はプラセボ群と比べ有意に高いACR 20を有した (37% [P= 0.03] and 39% [P= 0.02] vs.18%); またACR50も高かった (14% [P= 0.05] and 14% [P= 0.05] vs.4%)ACR70については差がなかった。同じ程度の改善は過去に生物製剤の投与を受けた患者においても、受けなかった患者においても見られた。bro140-mg and 280-mg groups24週時, ACR 20改善率は51%64%であったが、placeboからOpen-labelにスイッチした患者では44%であった; 改善はweek 52まで持続した。12週時において副作用はbro 3%placebo2%に起きた。
 
Conclusions
BrodalumabPsA患者において有意に改善率を上げた。副作用を評価するためにはより長期で大規模な研究が必要。
 
 
<批判的吟味>
1.論文のPICOは何か?
PSJC, TJC 3ケ以上有し、CASPAR基準でPsAと診断された18-25歳の患者。
4週間以上前よりMTX (≤25 mg/w),LEF (≤20 mg/d), GC (≤10 mg/d of PSN equivalent), or NSAIDsを投与量の変化なく内服している者。
・抗TNF、抗IL12/23の治療は各23ヶ月のwashoutを要すこと。
・リツキシマブや抗IL17治療を受けたことがある患者は除外。
・他の除外基準は最近の感染症28日以内の活動性感染症)、8週間以内の重症感染症、再発性感染症、メジャーな慢性炎症性疾患や膠原病、臨床的に有意な全身性疾患、過去5年以内の悪性腫瘍の既往(ただしin situの子宮頸癌、in situの乳管癌、成功的に治療されたメラノーマ以外の皮膚癌を除く)結核の陰性結果(または予防投薬)を必須条件とした。
 
I 12週間のDBRCT5年までのopen-labelextension trialにおいて、bro 140 mg or 280 mg or placeboの皮下注に1:1:1に割り付けられた。これらはday 1 and at W 1, 2, 4, 6, 8,and 10に投与された。
12週時に参加を中止しなかった患者は残りの研究期間の間、open-label brodalumab  280mg/2 weeksを投与された。
・改善しなかった患者においても疼痛や関節症状に対するレスキューは24週以降になるまで許可されなかった。しかし、NSAIDsはフレアを治療するために使用できた。
・この報告はプラセボ比較の時期の結果とOpen-label extension phaseの最初の40週の中間解析を含んだ(全体では52w)。
 
プロトコールの図 (SUPPLEより)

イメージ 1

 
Cplacebo (describedabove)
 
O:第1エンドポイントはwk12ACR 20。第2の効果の評価法はACR 50ACR 70。個々のACR componentCDAIDAS28dactylitis (20の指趾におけるにおける指全体の腫脹、付着部炎。個々のACR componentは圧痛関節数or疼痛関節数、腫脹関節数、患者の疾患の全般評価、患者の関節痛の全般評価、医師の疾患活動性の全般評価、HAQ-DIの反応、CRP値、ESR。(略)
過去の生物製剤に基づいて予め決められたサブグループ解析はキーとなる効果のエンドポイントについて行われた。
安全性のendpointはAEs、重症のAEs (CTCAEv 4.036に基づく重症度評価)、興味のある副作用、検査の評価、バイタルサイン、Broに対する抗体。
 
2.ランダム割付けされているか? ■ランダム( 詳細不明 )、隠蔽化も不明
Randomizationは過去の生物製剤の有無と全体重 (≤100 kg vs. >100 kg)で層別化された。
各の層でa permuted-block designを用いてAmgen representativesにて作成された。
 
3Baselineは同等か? ■差がない 
結果に影響を与える可能性のある因子は全て検討されているか?
●検討されている
 
4.全ての患者の転帰Outcomeに反映されているか?
4-1ITT解析か?
4-2.結果に影響を及ぼすほどの脱落があるか?
→全ての患者の転機がOutcomeに反映されている。ITT解析・脱落は不明ながら、脱落すればNon-responderとするルール、Non-responder imputationなので問題ないと考えます。
 
5.マスキング(盲検化)されているか?
マスキング(盲検化)されているのは誰か?
→記載はないが、おそらく患者と治療実施者と思われます。
 
6.症例数は十分か?
■結果に有意差がある →症例数は十分 →サンプルサイズは?●計算されている 
 
7.結果の評価; Bro 140mg or 280mgvs placebo
□時間軸に垂直な指標
追跡期間=( 12wks )
介入群の発生率=a(a+b)21/57 or 22/56=37% or 39%=EER
対照群の発生率=c(c+d)10/55 = 18%CER
RREERCER=( 2.03 or 2.17 )
RRR1RR=( -1.03 or -1.17
ARREER-CER=19% or 21%
NNT1ARR=( 6 or 5 )→140mgならNNT@12wk=6280mgならNNT@12wk=5

 
 
<論文とSupplより入手した有効性データ>
 
@12w
Bro 140 mg
Bro 280 mg
p
ACR20
18% (10/55)
37% (21/57)
39% (22/56)
0.03/0.02
ACR50
4%
14%
14%
0.05/0.05
ACR70
0%
5%
5%
NS
 
@24w
pl to Bro 280
Bro 140/280
Bro 280/280
ACR20
44
51
64
ACR50
20
33
33
ACR70
0
14
9
 
@52w
pl to Bro 280
Bro 140/280
Bro 280/280
ACR20
50
71
56
ACR50
38
47
27
ACR70
14
22
7
 
 
<安全性データ>
Table 3. 12週時の副作用
12週間でplacebo vs Combined doses of Broは概ね同等
・上気道炎は4/55 (7%) vs 13/112 (12%)
・死亡なし。肺炎の記載なし。
Depression0
 
Supplementary Table S6.
Open-label phase (W12 to W52)の間の患者報告による有害事象
・ここは比較がないExtended report
Infection18/156 (12%);肺炎の記載なし
12-52wDepressionの発生が7/156 (4.5%)
52週間ずっと280mgを投与された51例のうち5例がDepression (10%)

<リウマトロジストのコメント>
日本のBrodulmabの投与量は210mgなので、140280の間くらいと考えます。
12週の有効性はPlaceboに比べ有意に高いACR20/50達成率を有しました。 Open-labelではありますが、24w ACR20 6割、ACR50 3割、ACR70 1割でした。52wでも概ね 6/3/1割でした。 
安全性は、12wで差なし。Infectionでまとめられていて、肺炎などの詳細は不明です。
52wずっと280mgを投与された51例中5(10%)Depressionを来しております。