リウマチ膠原病のQ&A

日常診療で出会ったギモンに取り組んでいきます!

シェーグレン症候群の眼科的基準

シェーグレン症候群のACR分類基準(2012)に用いられた眼科的基準が引用されてあったので、説明します。
 
簡単にいえば、フルオレセイン染色による角膜のスコア(0-3点+特別加算ポイント0-3点)、リサミングリーン染色による眼球結膜のスコア(鼻側0-3点+外側0-3点)を合わせ、その眼球のスコアとします。右眼0-12点、左目0-12点で評価されます。
 
眼科的基準は感度が高い半面、多くの偽陽性(とはいっても、SSによらない乾燥性角結膜炎)があることを知っておきましょう(Figure 4)。
 
 
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A simplified quantitative method for assessing keratoconjunctivitis sicca from the Sjögren's Syndrome International Registry.
Am J Ophthalmol. 2010 Mar;149(3):405-15.
 
シェーグレン症候群の国際レジストリーにおける乾燥性角結膜炎のための簡略化した量的評価法
 
PURPOSE:
サミングリーンとフルオレセインを用いた乾燥性角結膜炎の評価のための新しい眼球グレーディングシステムを述べ、応用し、評価すること
 
DESIGN:
前向き、観察的、多施設コホート研究
 
METHODS:
NIHにファンドされたシェーグレン症候群国際レジストリー(シェーグレン国際協力臨床アライアンス[SICCA]と呼ばれる)はシェーグレン症候群(SS)の標準化された分類基準を作っており、将来の研究のために生物検体バンクを作っている。SICCAに所属する8名の眼科医が新しい量的な眼のグレーディングシステムを作った(SICCA ocular staining score [OSS])。私たちはSICCAコホートにおいてOSSの分布とシェーグレン症候群のその他の表現型との関連を調べた。SICCAコホートには早期の可能性のあるSSから進行した症例を含んだ。方法としては連続した麻酔をしないシルマーテスト、涙液層破壊時間、眼球表面染色、およびスリットランプによる外的な眼の診察を含んだ。統計解析と比例ベンズ法を用いて、異常OSS3以上)とその他のSSの所見(口唇唾液腺生検における局所性リンパ球性唾液腺炎とフォーカススコア>1、SSA抗体かSSB抗体陽性または両者陽性)との関連を調べた。
 
RESULTS:
1208名の参加者のなかで、私たちは異常OSSと血清学的検査陽性、唾液腺生検のフォーカススコア陽性との強い関連を見つけた(P < .0001)。これら3つの要素の重複する関係を解析することで、その他のSSの要素を持たない乾燥性角結膜炎が大勢存在することが分かった。これはSSの乾燥性角結膜炎とは異なる臨床的な概念を表す。
 
CONCLUSIONS:
この新しい乾燥性角結膜炎の評価法は将来の分類基準におけるSSの眼科的基準のための方法になるであろう。私たちは原因が異なるかもしれない乾燥性角結膜炎の二つのタイプを見つけた。
 
 
 
Figure 1   乾燥性角結膜炎の角膜におけるフルオレセイン染色 
 (元の論文を参照ください。freeで閲覧できます)
 
 (左上)スコア1
非常に明瞭な散在性の点状上皮びらんが1-5ヶ下部に見られる。
 
(右上)スコア3
下部の6-30ヶの点状上皮びらん、スコア2plus 瞳孔領域の1ヶの点状上皮びらん、スコア1、合わせてスコア3
 
(下)スコア5
下部の>30ヶの点状上皮びらん、多くが癒合性の染色で瞳孔領域の染色、合わせてスコア3;繊維状のものはない。
 
 
 
Figure 2 SICCA ocular staining score form
 
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Figure 3 乾燥性角結膜炎における眼球結膜のリサミングリーン染色
 (元の論文を参照ください。freeで閲覧できます)
 
(左上)スコア0
いくつかの染色液のプールが存在するが、眼瞼間の領域に見られる散在性の個別の緑色のドットは< 10
 
(右上)スコア1
>10 and <33の緑色のドットが眼瞼間の領域にある(眼裂斑に隣接した表面の染色はアーチファクトと考えられ、カウントしない)
 
(左下)スコア2
33 to 100の緑色のドットが眼瞼間の領域にある(部分的に癒合する二つのエリアがあり、いずれも<4 mm2。したがって、33 to 100のドットとスコアリングされる;テキスト参照)
 
 
 
Figure 4 OSS異常と唾液腺生検(> 1 focus score)、aSSA or aSSB(+)との関係を示すベン図
 
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