リウマチ膠原病のQ&A

日常診療で出会ったギモンに取り組んでいきます!

ALMS試験(ループス腎炎に対するMMF vs IVCYのRCT)の治療の詳細

ALMS試験の治療の詳細は試験開始前に述べられています。最近のRCTは宣言してから、始めるようになっています。
 
治療の詳細を見てみます。
 
ステロイドの減量スピードは日本よりも早い印象です。
 

※必要に応じて ↓ 飛んでくださいませね

 寛解導入(ALMS-1)

 https://oiwarheumatology.hatenablog.com/entry/12536069

 維持療法(ALMS-2)

 https://oiwarheumatology.hatenablog.com/entry/12574894

 ALMS治療の詳細

 https://oiwarheumatology.hatenablog.com/entry/12588707

 ALMSの対象

 https://oiwarheumatology.hatenablog.com/entry/12943433

 
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Study treatment
 
寛解導入療法の間、患者はOpen-label24週間の経口MMFIVCYにランダムに1:1に割りつけられるだろう。MMFは最初の一週間0.5g12回で開始され、第2週は1g12回、第3週以降は1.5g12回に増量する。MMFは朝と夕方、食前にコップ一杯の水で内服する。12回に耐用できなければ、1g13回にしてもよい。MMFはいつの受診日においても好中球の絶対数<1300/mm3ならげ減量か中断、<1000/mm3なら中止とする。MMF 3g/日に耐えられない患者は2.5g-2.0gに耐用できるなら研究に残ってよいこととした。2g未満の一次的な減量は試験期間中14日、寛解導入療法期間中7日を超えなければ許容する。50kg以下の患者は2.5g/日か2g/日でもよいこととした。これらの許容条件を超えるいかなる減量や中止も予めMedical Monitor(医療的な監視)と協議される。
 
・シクロフォスファミド(CYC)4週間おきに6回投与される。最初の1ヶ月は0.75g/m2にて開始し、以降は0.5-1.0g/m2とする。Target dose1.0g/m2であり、投与量は白血球の最低値を2500-4000/mm3を保つように0.25g/m2ずつ調整される。投与の遅れは白血球減少を経験した患者であれば7日までを許容する。60歳以上の患者とCr>3.4mg/dLの患者はCYCTarget dose25%の減量を推められる。一次的なCYCの中断は寛解導入療法期間中7日を超えなければよいこととする。投与が遅れた患者は最初のCYC投与から24週の時点で評価される;7日を超えていればCYCの耐用性による脱落とするかどうかがMedical monitorと協議される。
 
・全ての患者は最大60mg/日のステロイド(経口プレドニゾロン、またはその他のステロイドの相当量:プレドニゾンPSL、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、デキサメサゾン)を併用され、2週間おきに減量される。ステロイドの減量は予め決められたスケジュールに従うこととする:PSL40mgになるまで10mgずつ、ついで10mgになるまで5mgずつ減量する。10mg未満の減量は4週間安定していれば許可される。反応がない患者は減量を4週間延ばしてもよいこととする。あるいは試験期間中いかなる時期においても直前の投与量に2週間増量することは1回だけ許可される。無反応とは3ヶ月以上状態に変化がないかほとんどないと研究者が判断した場合か、この研究基準を満たさない状態の悪化と定義される。
 
寛解導入療法期間中に治療への反応(※)、あるいは腎炎の完全寛解(※)を示した患者は二重盲検プラセボコントロールの維持療法のphaseに入る前に再度ランダム割り付けされる。すなわち、経口MMF(1gを12)、または経口AZP 2mg/kg/日。MMFの開始は寛解導入療法の治療によって異なる(Figure 1; もともとMMF寛解導入された患者はMMF 2g/日+プラセボステロイド25週より、もともとIVCYCで治療された患者は25週はMMF1g26週以降2g/日とし、プラセボステロイドを投与される。AZP群の患者は25週よりAZP 2mg/日+プラセボステロイド)。維持療法の治療は最後のCYCが投与されて3週間後に開始される。維持療法期間中、MMFAZPの投与量の調整は治療への反応や副作用によってしてもよいこととする。全ての患者がステロイド(最大10mg/日)を投与され、調査者の判断によって減量してもよいこととする。維持療法の期間は予測される治療失敗の頻度を反映したものである。
 
Table 1 ALMS寛解・維持療法におけるPrimary efficacy outcome
寛解導入の期間:24週時における「反応」とは、以下の通り定義する。
1.蛋白尿の減少;尿蛋白/尿Cr>3Nephrotic rangeの患者は<3<3sub-nephrotic rangeの患者では尿蛋白/尿Cr50%以上の減少。尿蛋白/尿Cr比は24時間蓄尿で検査する。
and
2.24週時の血清Crの安定(ベースラインの±25%に維持される)、あるいは改善
 
維持療法期間:治療失敗とは以下のいずれかに該当する場合とする。なお、いかなる理由においても脱落した患者やフォローができなくなった患者も治療失敗と考えることとする。
1.死亡(原因を問わない)、
2.慢性透析や腎移植を要する末期腎不全
3.Crの二倍化(最初の二倍化を、スクリーニングから寛解導入終了時までの最低の2つのCr値の平均値の2倍となることとし、その最初の二倍化から4週間以上たって測定した血清Crにおいても2倍であること)
4.腎臓の再燃(蛋白尿の増加、またはCrの増加)
※蛋白尿の増加・・・尿蛋白/尿Cr比の二倍化and
   寛解導入療法の終了時の24時間蓄尿において、尿蛋白0.5g以下の患者では≧1.0g/24h、>0.5g/24hの患者では≧2g/24h
Crの増加・・・スクリーニングから寛解導入療法までの最低値の25%以上の上昇。ただし以下のひとつ以上を満たすこと
 ・少なくとも2g/24hに到達する蛋白尿の二倍化が同時にある(または尿蛋白/尿Cr比の相当量でもよい)
 ・新たな尿潜血・尿潜血の増加
 ・細胞円柱の出現
5.メジャーな腎外の再燃;BILAG scoreにおけるcategory Aの腎外臓器症状、あるいはCategory Bスコアが3系統においてあることと定義。
6.状態の悪化や病気の悪化のため、ステロイドパルス療法、血漿交換、免疫グロブリンまたはプロトコール以外の免疫抑制療法が必要になること、
 

 

ps

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