反応性関節炎(ReA)を経験したので、これについてUptodateの記載をまとめておきます。
HLA-B27の頻度が低い、日本では非常にまれな疾患です。
単に見逃されているだけかもしれませんが。。。
(リウマトロジストもしかり・・・)
ReAの診断については別にまとめました。
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DEFINITION — 反応性関節炎という言葉は1969年に体内の他の部位の感染症の発症直後、あるいは発症している間に出現する関節炎のことで、その関節より病因微生物は検出されない関節炎として紹介された。最初の定義はReAの原因として認められる病原体を特定していない。1999年、専門委員会は原因となりうる消化管および尿生殖器系の病原体の特定リストを決めた。これにはChlamydia trachomatis, Yersinia, Salmonella, Shigella, Campylobacterが含まれ、後にEscherichia coli, Clostridium difficile, Chlamydia pneumoniaeが含まれた。
さらに原因として追加された病原体、代わりとなる病名、ReAの診断・治療上のストラテジーが提案された。しかし、新たな診断・治療のアプローチ、あるいは代わりとなる名称とも妥当性を検証されていない。もう一つの問題はこれらのアプローチを生む多くの研究がリウマチクリニックやよくある病原体への曝露後に発生したアウトブレイクのフォローであったりすることである;そのような患者は一般社会における患者の代表になりそうにない。したがって、ReAの定義はいまだに変化しつつある。
ReAを特徴づける二つの主な臨床症状が定義された:
・先行感染症と関節炎との間隔は数日から数週間に及ぶ。
・しばしば下肢の関節に出現する、典型的には単関節炎あるいは少数関節炎
慣例では、6ヶ月以上のReAは急性ではなく、慢性とみなされる。
初診時あるいは後にaxial or peripheral ASAS criteriaを満たすReAを有する患者はSpAの一型となるとも考えられる。先行する尿生殖器or消化管の感染症がASAS criteriaには含まれており、そのため、peripheral SpAの診断を支持するかもしれない。つまり、ReAの患者をSpAの分類に含めることを支持するかもしれない。
EPIDEMIOLOGY — ReAは非常に稀な疾患であり、典型的には若い成人に起き、男女とも起きる。人口におけるReAの有病率と1年あたりの発症率はスカンジナビア諸国の結果から分かる。有病率は10万人の成人あたり30-40人であり、1年あたりの発症率は10万人あたり0.6-27人。米国のpopulation-based studyによるとオレゴンとミネソタにおいて消化管の細菌感染症後に起きるReAの発生率は10万人あたり0.6-3.1人で、病原体によって異なる。http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18272671
リウマトロジストによって診られるSpAの全ての型のなかで、ReAは少数派である。これはスペインの2つのregistry-based studyにて示されており、SpAの患者の1.2-1.4%がReAと診断されていた。
CLINICAL MANIFESTATIONS — ReAの患者は典型的には非対称性の少数関節炎を来たし、通常原因となる感染症から1-4週間である。専門医委員会によってReAに矛盾しないと考えられた、感染から関節炎発症の期間は数日から数週間である。少なくとも半数において全ての症状が6週間以内に改善する;ほとんどの患者において症状は1年以内に収まる。ReAの臨床所見のいくつかのタイプは以下:
・筋骨格の症状と所見
・関節外の症状と所見
Preceding infection —ReAの原因となる消化管or尿生殖器系の感染症に特徴的な症状は下痢か尿道炎。消化管の細菌によって引き起こされた関節炎の患者が無菌性の尿道炎を呈してもよい。感染性尿度炎、とくにクラミジア尿道炎の患者のなかには、感染症が無症候性であるかもしれない。その場合、ReAの疑いをもって行われた検査においてのみ診断される。
ReAに関連する、コモンな腸管細菌は以下:サルモネラの様々な型、Shigella、とくにShigella flexneri。Shigella dysenteriae, Shigella sonneiでもよい。Yersinia;Yersinia enterocolitica 0:3 and 0:9、Yersinia pseudotuberculosis、Campylobacter, とくにCampylobacter jejuni、Clostridium difficile
その他、ReAを起こすと報告された病原体にChlamydia pneumoniae, Escherichia coli, Ureaplasma urealyticum, and Mycoplasma genitalium。膀胱癌に対する膀胱内BCG治療もReAの稀な原因である。
ReAはHIV感染の患者においても報告されており、一般にHIV自体というよりも患者が曝された別な感染症に関連して発症したものと考えられている。ReAとHLA-B27の関連性はコーカシアンのHIV感染患者においては報告されているが、HLA-B27の頻度がずっと少ないsub-Saharan Africaの患者ではない。
Musculoskeletal signs and symptoms — ReAの筋骨格系の症状は関節炎と付着部炎という二つの主な所見がある。
Arthritis — リウマチクリニックで見られる典型的な関節炎は急性の非対称性少数関節炎であり、しばしば下肢の関節をおかす。しかし、約50%の患者は上肢も侵す。小関節の多関節炎を呈する者もいる。頻度は少ないが、任意のレベルの脊椎、または仙腸関節を侵す、軸の関節炎も起きて良い。慣例では、6週間以内に関節炎が治らない少数派の患者を慢性ReAと呼ぶ。
Enthesitis — 付着部とは靭帯、腱、関節包、筋膜が骨に刺入する場所のことである;付着部炎(or 付着部症)は付着部周囲の炎症を表す言葉であり、ReAやその他のSpAの患者に起きる。踵の腫脹は付着部炎のもっとも特徴的な症状である。踵病変のコモンな場所はアキレス腱の付着部、足底筋膜の踵骨への付着部である。疼痛、腫脹、局所の圧痛は疑わしい臨床所見である。ReAにおける付着部炎の頻度は20-90%と見積もられる。
Dactylitis — 指(趾)炎を来たす患者もおり、典型的にはソーセージ指(趾)である。ReAにおける指(趾)炎の頻度は報告されていないが、我々の経験ではおそらく乾癬性関節炎よりも低い。
Extraarticular signs and symptoms — ReAの関節外症状は様々である。急性や慢性の経過で出現するかもしれない。これらの症状の各々の相対的な頻度はよく研究されていない。ヨーロッパで臨床治験に登録された186例のコホート研究によると、目の症状は20%、、皮膚の症状は15%。
関節外症状には以下がある:結膜炎。
・粘膜潰瘍のような口腔内の病変
・発熱、倦怠感、頭痛、体重減少のような全身症状が急性期にみられ、通常は改善する。
・膿漏性角皮症(足底・手掌の角化性の皮膚病変)、結節性紅斑
・乾癬で見られる爪変化を真似する爪変化。ただし、乾癬でよく見られるPitting nailは典型的にはReAでは見られない。
・環状鬼頭炎のような生殖器病変
・心病変はコモンではないが、急性期の心膜炎、非常に慢性的な大動脈弁閉鎖不全症のような弁膜症がある。
いずれもReAに特異的ではない。たとえば、鬼頭炎はReA以外の様々な原因によって起きてよい。
LABORATORY AND IMAGING FINDINGS — いくつかの所見のタイプがあり、以下の通り
・急性期反応物質の上昇
・HLA-B27陽性
・炎症性関節炎
・付着部炎or関節炎の画像所見
Laboratory findings
Antecedent or concommitant infection — Salmonella, Shigella, Campylobacter, Yersiniaを検査する便培養などのラボによって先行または同時発症の感染症を時々確認できる。しかし、患者が関節炎を来たすまでに下痢は通常治っており、病原体を検出することは不可能かもしれない。核酸増幅法によって尿と生殖器スワブより時にクラミジア感染症を検出する。
先行感染症を調べるための疫学研究において血清学的検査が最初に行われるが、日常診療では通常役立たない。Yersinia, Salmonella, Campylobacter, and Chlamydiaによる感染症は強い抗体反応をもたらす。そして、トリガーとなる腸管感染症はYersinia or Salmonellaの感染症で血清学的検査を行ったとしても50%以上で同定される。感染症が流行しているが、臨床的にははっきりしない事も多いが、そういう臨床状況では血清学的検査は最近の感染症に特異的ではない。
Acute inflammatory changes — ESRやCRPのような急性期反応物質が全身の障害や疾患の重症度・活動性に応じ上昇しているかもしれない。多くの患者では、これらの検査は正常であるかもしれない;ある研究によると、急性期反応物質の上昇はReAにおいて半分未満であった。白血球上昇と顆粒球上昇を示す患者もいるが。
Genetic predisposition — ReAを含む多様なSpAの型を有する患者でよく見られるHLA-B27の頻度はReAでは一般に30-50%と見積もられている。しかし、その数値の範囲は広い。より重症の患者を有するHospital-based studiyでは頻度は60-80%と報告されている;しかし、population-based studyにおける推定、アウトブレイクの解析では一般にその頻度はずっと低く、ときに一般人口と変わらないとする報告もある。
Imaging abnormalities — ReAと診断できるような特異的なX線所見はない。炎症性関節炎があった場合、画像の異常は通常腫脹関節にのみ見られる。同時発症or過去の踵の疼痛があった患者は踵骨棘が見られるかもしれない。しかし、そのような変化は非特異的で、その他の関節炎や無症状の患者でも見られる。http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/901031
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