リウマチ膠原病のQ&A

日常診療で出会ったギモンに取り組んでいきます!

医療統計の初心者に届けたい良書3選(R編)

EZRで統計のいろはを勉強したリウマトロジストでしたが、その後、いつかRに挑戦したい!!という希望を持っておりました。

https://oiwarheumatology.hatenablog.com/entry/2020/05/15/233811

 

当初、とあるRの本(400ページ余り)で、読破を目指して最初から頑張っていたのですが、100ページくらいで、つかれて挫折。当時は、いきなりRのスクリプト(プログラミング)を打ち始めていて、そういう作業に慣れていないなかったのです....

(この本も良い本でしたがお勧めしませんのでね)

 

2020/1/25、Rセミナーに参加させていただき、そこではR studioでRを始めることを勧められました。丁寧に教えてもらえたおかげで、徐々にR studioを触れることができるようになってきました。

 

R studioとは「Rの不便さを克服するための広い画面」とでもいいましょうか。4つのマルチ画面になっていて、左上で下書きをしておいて、実行すると左下のR画面で実行されます(結果も同時に記録)。右上にdatasetや用語の定義が残っているので、途中で忘れてもすぐに確認できます。右下の画面でファイルの中身を確認できたり、ggplotで描いたFigureもここに表示されます。

 

医療関係者の方には(プログラミングがお得意でないかぎり)、いきなりRから入ることよりもR studioから触れはじめてみられた方がよいかと思います。

 

なぜRなのか?という問いに対する小生の答えは、「図が細かく設定できて、きれい」なこと、くらいでしょうか。初心者からすればEZRとさほど変わらないのではないかと思います。

 

上級者に参考になるかもしれない事として、Rセミナーの講師が言われていたコメントをご紹介しますと、

「EZRやSPSSでもいずれ出来ないことがあることに気が付いて、結局Rを勉強することになる。」ということでありました。

 

リウマトロジストもまだまだ勉強中ですが、大きなハードルであったRを使って解析をしたり、図を書くことが出来るようになりましたので、これまで支えてくれたRの良書をご紹介しておきたいと思います。

 

実は最近、Rで解析した論文がアクセプトされて、ここ数週間、燃え尽きてしまっています、、、それで、ブログに戻ってきているのであります(笑)

 

 

①超入門! すべての医療従事者のためのRstudioではじめる医療統計 笹渕裕介先生ほか

(おススメ度★★★)

 

超入門とありますように、統計の初心者の方はこの本から入った方がよいと思います。基本的なことしか書いていないですが、成功体験(そうなるように丁寧に説明されている)を繰り返しながら2週間くらいで読了することができました。

 

実際、自分のデータと向かいあった時にこの本での成功体験にしたがって、同じことをやるということを繰り返して、研究を進めることができました。

 

 

フリーソフトRを使ったらくらく医療統計解析入門 大櫛陽一先生

(おススメ度★★★)

 

 

①超入門が読破型なのに対して、こちらは辞書的に使えます。

 

①で扱っていないrepeated measures ANOVA、Friedman検定をこの本で克服できました。生存曲線の解説も詳しくて良かったです。

 

 

③Rグラフィックスクックブック 第2版 Winston Chang著、石井弓美子訳(おススメ度★★)

 

 

Rのストロングポイントはなんと言っても、Figureだと思います。論文を投稿するときに妥協したくないですものね。この点はEZRより格段に優れています。

 

ということで、グラフを書くために特化したこの書籍は、Rの細かい調整機能を説明してくれています。目次も索引も充実していて、おおむね痒いところに手が届くようになっています。

 

もちろん辞書的に使っています。As neededでよいと思います。

 

以上、長文を読んでいただきありがとうございました。当初、Rとはとてつもなく高いハードルに見えましたが、この3冊のおかげで、Rで統計解析を行った最初の研究結果がpublishされました。Figureも満足できる出来栄えに仕上がりました(↓)。

 

HCQを使用したSLEの観察研究

https://www.jstage.jst.go.jp/article/internalmedicine/advpub/0/advpub_5042-20/_article

 

n=47で検討した結果、副作用が出ても再投与を試みることで継続率が高くなることが示されました(Figure 1)。疾患活動性マーカーを比較検討することができました(Table 3、Figure 2)。